帰国子女入試【中学入試】

海外転勤などの関係で偶然にもお子様が小学校の頃に海外に滞在することになった場合、日本国内の中学校受験も視野に入れながら帰国をされる親御様も多いことかと存じます。様々な価値観に触れ、人格が形成されていく非常に重要な成長期であるからこそ、中学校受験の検討を通して、中学校生活やそのあとの人生についてもお子様と一緒に相談する良い機会になるでしょう。帰国子女枠受験は中学受験では大きなチャンスとしてとらえ、生活面のみならず学習面でもしっかりとした準備を心がけましょう。

①受験資格

受験資格については、各中学校で定められています。一般的には、
・小学校の卒業見込みがあること
・海外滞在年数が2年以上
・帰国して1年以内
とされていますが、募集している中学校により異なり、上記の条件を満たしておらずとも、特別な措置などがある場合がありますので、学校に直接お問い合わせすることをおすすめいたします。

②受入体制

帰国生を受け入れる学校は増加傾向にあります。ただ、一言で受け入れ体制があるといっても、学校によって帰国生への配慮やフォローは全く異なります。せっかく入学したのに、「学校生活がおもしろくない」、「教育が肌に合わなかった」、では取り返しがつきません。お子様の性格や、入学時点での学力、日本語力などに合わせてお子様と話し合いながら検討することが大切です。

中学校の受入体制は大きく3つに分類できます。1つ目は、帰国生のみを対象とした、日本の学校生活や学習スタイルへの適応を目的とした指導をすることを約束している中学です。このような場合、帰国生用のクラス、一般学級のクラスとが分けられる場合があります。

2つ目は、帰国生としての語学力などを活かして帰国生を対象とした特別クラスを設けている中学です。このような学校では、帰国生のみの英語のクラスを設けているケースが多いです。

これら2つの場合は、特に日本の小学校生活を知らないお子様や、海外滞在が長いお子様には過ごしやすい環境となります。

3つ目は、逆に帰国生をあえて特別扱いしない中学です。入学後は一般生と同様のカリキュラムで指導をします。日本語力がある程度一定レベルにないと日頃の学習で苦労することもありますが、大学受験に向け一般生と同じ学習を積むことができ、生活面も学習面も日本の生活に馴染みやすくはなるでしょう。

進学する学校を選択する際に、一つ大きな分かれ目になるのは、大学受験を視野にいれるかどうかです。中学・高校受験では帰国子女枠での受験制度が使用出来たとしても、大学受験の時は一般受験となります。中学受験の時には英語力は他よりずば抜けていても、大学受験の時になれば、卓越した英語力を誇る一般生はたくさん出てきます。厳しい国内の受験戦争を後に控えることを覚悟するのであれば、英語といった武器を入学後も磨き続け、日本の学習のやり方にも適応できる柔軟な人間に成長しなければなりません。

③選考方法

語学力(主として英語)を試す適正試験を課す学校があります。また、一般受験の生徒は異なり、いわゆる受験問題ではなく、作文や面接といった内容が一般的です。

⑴学科試験

帰国生枠のある学校の学科試験は、ほとんどが国語・算数の二教科です。一般受験とは別に、帰国生のみを対象とした独自問題か、一般入試と同じ問題であるが合格基準点への優遇がされる場合のいずれかとなっていることが多いです。一部難関校では、一般入試と同じ基準で選考するため、試験が国算理社(国数理社)の4科目で、やはり競争率も高いです。こういった学校を希望される場合は、一般生並みの受験勉強も覚悟しなければなりません。重要な事は、海外に滞在しながらどのように受験勉強を対応するかです。インターネットがある現在は、教材も情報も比較的簡単に揃いますので、しっかりとした学習計画を策定の上、受験勉強に取り組みましょう。

⑵英語能力試験

そして、やはり英語能力を試される試験がもちろん課せられます。試験内容は、筆記、作文、面接の組み合わせとなり、評価に対する重みづけは学校によって基準が異なります。筆記試験もレベルが幅広く難しくなるとTOEIC600~700点レベルのものにまでなるといわれています。一般的には過去問題が出回っていないことも多いので、学校の説明会などで直接問い合わせてテストの内容やレベルを確認してください。

⑶適性試験

一部の中学校で実施されています。思考力や自己表現力を主に問う形式の問題が多く、単純に暗記すれば対応できるような問題ではありません。情報整理から問題解決まで、文章読解力から計算までといった具合に科目を越えた思考と分析が必要となります。こういった対策は一朝一夕でできるものではありません。日頃の学習、身の回りに対する観察力、生活の姿勢、好奇心などの積み重ねになります。海外滞在といった機会を是非有効活用すれば、きっと頭も心も鍛えることができるでしょう。

⑷作文

対策をしなくても対応できそうだと思われがちな作文ですが、作文ほど上手、下手がはっきりと相手に伝わるものはありません。「なんとなく」で書いているお子様が非常に多いですが、作文には構成から流れまである一定のルールがあります。作文の対策も非常に時間のかかるものですので、早め早めに対策をとるべきでしょう。

⑸面接

面接は、本人のみの場合、保護者同伴の場合、複数名のグループで受ける場合があります。滞在先の語学で行う学校もあります。面接はコミュニケーション能力、自己表現力が主に評価されます。海外滞在経験をしたからこそ得られた経験や体験を面接官は期待しています。マニュアル通りの面接の練習も大切ですが、大切なのは「どう話すか」ではなく、「何を話すか」です。入学に対する強い想いと海外生活で乗り越えた苦労や培った価値観と柔軟さをしっかりと表現できるよう心がけましょう。

④受験日程

東京都や神奈川県の中学一般入試は2月1日からとなっていますが、帰国枠入試は11月下旬から開始されます。1月31日以前に入試を行っている中学校は、帰国生を対象とした独自の入試を一般枠とは別に用意しています。2月1日以降の一般入試と同じ日程に実施する学校は、多少の優遇措置はありますが、その難易度は一般枠と同程度のものになりがちです。2月1日より前の枠を設けている学校は、帰国子女を積極的に受けいれている学校が多いので、2月1日より前と後の入試日程を上手に調整することで可能性は広がり、リスクは抑えられます。

いずれにせよ、出願などは各自で行うことになりますので、募集要項・願書など早めに取り寄せて内容を理解しておくことが大切です。資格審査・出願期間・試験日などの日程を十分に考慮して、帰国の日程を考えてください。なお、公立高校の場合は、帰国後居住する予定の都道府県にしか出願できません。