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海外在住のお子様や国内での指導を通して講師が感じた想いや、受験に関してのお役立ち情報を皆様にお届け致します。

TCK Workshop通信 Vol.19

投稿日
2017年1月10日
投稿者
岡留 智史
ブログテーマ
数学, 自学習, 解説, 質問

数学の解答や解法を見ても理解ができないという相談をよくされます。

問題を解いてみてわからなかった。解答や解法を読んでみたけれどもそれもよくわからない。解法が不親切であったり驚くほど雑であるものも市販の参考書でよく見かけます。また、解法を読み慣れていないと、どうしても完成図(答え)や途中途中の式変形などの結果だけが強い情報として入ってきてしまい、行間を読まなくなってしまう傾向にあります。

生徒達がわからない解法を行間を補足説明しながら"通訳"するのが一つの私達の大きな仕事となります。

解答が理解できない場合は、まずは解ろうと必死に読み解いてみる努力も大変重要です。書かれている言葉がわからない場合は意味を調べることも大事です。ざっと目を通すのではなく、丁寧に精読してみるだけで理解度も大きく変わります。

ただ、それ以前に数学を考える上で非常に重要なのは思考の巡らせ方にあります。

受験という枠内での数学は時折パズルのようだと比喩されます。一つ一つの事象を解るところから組み合わせて完成図に近づけていく。ですが、この考え方ですと「どこから始めればいいんだ?」という問いについては上手に説明ができていません。私は数学はジグソーパズルではなく模型を組み立てているような感覚が正しいのかなと感じています。

プラモデルなど模型などを作る際には必ず完成図と共に工程図があります。工程図と完成図が丁寧に描かれており、その通りに組み立てていけばゴールに到達できるようになっています。

ジグソーパズルはどうでしょう。

完成図はあるのですが工程図がありません。一つ一つのピースのはめ方と場所は決まっているのですが順序が決まっていません。ジグソーパズルのように、とりあえずはめられるものをくっつけていって塊を作っていき、ある程度大きくなったら塊同士をくっつけていく。そこには順序はありません。どこから攻めるかも個人の自由です。右からか左からか、端からか中からか。何よりその順序に理由がありません。

この考え方で家具や模型などを作ってみると大変なことになります。順序を間違えると上手くはめられなくなってしまうように成っているのです。組み立て順序を間違えるだけで、せっかく組み立て物をばらす必要があったり、無理やりはめこむしかなくなったり、または工具が入る隙間もなくなり最悪塊同士を接続できなかったりすることもあります。

数学は模型や家具の組み立てに非常に似ています。一つ一つの素材を正しい順序ではめていくわけです。正しい順序が確実にあるわけです。さらに何故この順序でないといけないかという理由が明確にあります。組み立て作業には最短経路が存在します。 最短経路とは”最もストレスがかからずに正しい形に仕上がる手順”です。見かけ上の最短経路だけを目指すと、所謂張りぼてであり中身がまったく伴っていないものが出来上がってしまうわけです。私は料理には詳しくはありませんが、料理も似た考え方が重要だと思います。 いろいろな工程を同時進行で行い、さらに温かい状態で提供するとなると、正しい順序とその理由がはっきりしているわけです。カレーのルーを仕込む前から、簡単だからと言って一番最初にご飯を盛って待つわけがないのです。

解法を読み慣れていないと、どうしても完成図(答え)や途中途中の式変形などの結果だけが強い情報として入ってきてしまい、行間を読まなくなってしまう傾向にあります。完璧な工程図が1~10番まであるとすると、参考書にはスペースを考慮してか1,3,6,10しか書かれていないこともよくあります。途中はご察しの通り、そのくらいわかってよ。と言わんばかりの雑な解答も多くあります。 ついついジグソーパズルをしているような感覚になっているお子様には、「適当にパズルをはめていっているわけではないんだよ。この次はこれ、そしてコレができたらアレができるようになる、の繰り返し。模型を作っているような感覚だよ。」とよく言い聞かせています。

順序を正しく飲み込み一つ一つの工程を理解をすることで頭もスッキリします。一つ一つの式変形、省略されている行間や背景にある論理を理解し解答に辿りついていく過程を吸収していく。その後も同じように一つの一つの問題に取り組むよう習慣化していければ、数学的思考力は飛躍的に伸びていきます。

完成図と工程図、これをセットとして考えてみるだけでもう少し数学が面白く感じられるようになるかもしれませんね。