競争ではない!学芸国際A方式グループディスカッションの貢献度評価の戦略

東京学芸大学附属国際中等教育学校(学芸国際)のA方式入試のグループディスカッション(グルディス)は10分〜15分程度の短い時間で行われ、「マナーとはどのようなものか?」「差別がない社会を作るにはどうしたらいいか?」といった、正解のないオープンクエスチョンがテーマとなります。

海外経験の豊富な帰国生でも、「初対面の人との議論で緊張してしまう」「どう振る舞えば目立てるのか」といった不安を抱きがちです。しかし、グルディスで評価されるのは、「議論の勝利者」ではなく、「グループで建設的な結果に貢献できる人物」です。

本記事では、グルディスで合格を勝ち取るために必要な「協調性」と「柔軟なリーダーシップ」を両立させる具体的な戦略を、TCK Workshopの指導実績に基づいて徹底解説します。


グルディス対策で多くの受験生が勘違いする3つの誤解

グループディスカッションを「競争の場」と捉えてしまい、結果として評価を下げてしまう受験生が多くいます。

1. 「目立つこと」への過度な執着

グルディスは、誰が一番良い意見を出したかを競う場ではありません。多くの受験生が「自分をアピールしなくては」と焦り、他の人の意見を遮ったり、自分の意見を押し通そうとしたりする傾向があります。これは、協調性を欠いていると見なされ、かえってマイナス評価に繋がります。

評価者が求めているのは、「このグループの議論をより良いものにするために、あなたがどう貢献したか」という視点です。独善的なリーダーシップではなく、全員が発言しやすい雰囲気を作る「ファシリテーション(進行役)能力」や、議論の方向性を修正する「論点整理能力」が重要になります。

2. テーマの「概念」を定義できないまま議論を進めてしまう

グルディスのテーマは、「自由」「健康寿命」「マナー」など、抽象的な概念を問うものが多く出題されます。しかし、受験生は焦りから、この概念の定義を曖昧にしたまま、具体的な事例や対処法の議論に進んでしまいがちです。

議論の土台が不安定なまま進むと、最終的に「結局、何を話していたんだろう?」と議論全体が散漫になってしまいます。最初に、「この議論において、『マナー』を『相手への配慮を示す社会的なルール』と定義して進めませんか?」といったように、議論の共通認識を作る提案ができると、思考の深さと議論をリードする能力を示すことができます。

3. 「怖い先生」の存在に萎縮してしまう

面接官が議論の様子を無言で見つめているため、「先生の雰囲気が怖い」と感じる受験生は少なくありません。しかし、面接官はあなたの議論の内容だけでなく、緊張した状況下での「振る舞い」を見ています。

面接官の存在に萎縮して発言ができなくなったり、発言が棒読みになったりすることは、実力を発揮できないだけでなく、精神的なタフネスが不足していると見られる可能性があります。彼らは、あなたの将来の同級生としての資質を評価しています。「緊張する場でも、周りの仲間を大切にし、建設的に振る舞えるか」という点に集中しましょう。


グルディスで「貢献者」になるための3つの戦略

グルディスを「試験」としてではなく、「仲間との最初の協働作業」として捉え、建設的な貢献者としての役割を果たすための戦略を解説します。

ステップ1:議論の「潤滑油」としての役割を意識する

グルディスで最も評価が高いのは、「リーダー」や「タイムキーパー」といった固定された役割にこだわる人ではなく、その場の状況に応じて最も必要な役割を柔軟に果たす人です。議論の潤滑油となることを意識しましょう。

状況貢献者の具体的な振る舞い
議論が停滞した時「まずは、皆さんそれぞれの意見から聞いてみませんか?」と議論の口火を切る。
話が脱線し始めた時「少し論点がズレてきたので、最初のテーマに戻りましょう」と論点を整理する。
発言が少ない人がいる時「〇〇さんは、海外での経験からどうお考えですか?」と意見を引き出す
否定的な意見が出た時「△△さんの意見も、××という側面から見ると重要ですね」と意見を擁護し、建設的な方向へ導く。

このように、周囲をサポートし、議論全体の質を高める発言は、独断的な発言よりも遥かに高い評価に繋がります。


📝 グルディス以外の面接試験でも、自己PRや志望動機をしっかり伝える力が求められます。面接準備の基本戦略については、こちらの記事をご覧ください。 帰国生の面接対策、何から始める?プロが教える効果的アプローチと注意点


ステップ2:大人を巻き込んだディスカッション練習で「視野」を広げる

グルディスで高い視座を示すには、自分とは異なる世界を持つ人との対話練習が不可欠です。文字起こしにもあるように、同年代だけでなく、大人とのディスカッションを重ねることが、議論の深みを増します。

  • 異質な視点に触れる
    両親、先生、兄弟姉妹、あるいはTCK Workshopの講師など、年齢や背景が異なる人を相手に練習してください。彼らは、あなたが気づかなかったテーマの「社会的な側面」や「倫理的な問題」といった、多角的な視点を提供してくれます。
  • テーマの深掘り
    「その解決策を実行するためには、どんな障害があるか?」「それは、誰にとっての利益になるのか?」といった、大人からの深掘り質問に対応する訓練を積むことで、本番でどのような角度から問われても論点を深く掘り下げられるようになります。

ステップ3:「録画・録音」による客観的な自己評価サイクルを作る

自分のディスカッション中の癖や非言語的な要素(表情、姿勢、声のトーン)は、自分ではなかなか気づけないものです。これらは、協調性や自信を評価する上で重要な要素です。

  • 客観的な観察
    練習の様子を録画・録音し、後で自分自身で客観的に見返す習慣をつけましょう。
  • 改善点の特定
    「声が小さくて聞き取りにくい」「話すスピードが速すぎる」「話すときに目が泳いでいる」など、具体的な改善点を特定します。
  • PDCAサイクル
    録画で自己評価 → 改善点を意識して再チャレンジ → 再度録画で確認、というサイクルを回すことで、本番で無意識に最高のパフォーマンスを発揮できるようになります。これは、スポーツやプレゼンテーションの訓練と同様に、実践的なスキルを磨くために最も効果的な方法です。

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TCK Workshopでは、学芸国際A方式入試のグループディスカッションに特化した実践講座や個別指導を提供しています。

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「グループ面接の講座」は、オンラインで実際の受験生同士が顔を合わせ、本番さながらのグルディスを体験できる人気の講座です。

  • 実践とフィードバック
    1回の参加で2回のグループディスカッションを行います。1回目のディスカッション後、担当講師から「あなたの貢献度」「協調性を示すべき点」などの具体的なフィードバックを受け、それを踏まえてすぐに2回目にチャレンジできるため、即効性の高い改善が期待できます。
  • 不安の払拭:
    初対面の仲間と実践的な練習を積むことで、「不安」が「楽しみ」に変わることが多く、本番でリラックスして実力を発揮する土台を作ることができます。

この講座を通じて、緊張を乗り越え、建設的な議論をリードする力を身につけましょう。
冬季開催の詳細は近日公開されますので、今しばらくお待ちください。

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まとめ

学芸国際A方式のグループディスカッションは、「建設的な議論への貢献度」を見る場です。競争心ではなく、協調性と柔軟なリーダーシップを発揮することが合格の鍵となります。

  • 貢献者になる: 議論の状況に応じて最も必要な役割(口火を切る、整理する、意見を引き出す)を柔軟に果たす。
  • 視野を広げる: 大人や異なる視点を持つ人とのディスカッション練習を通じて、議論を深いレベルに引き上げる力を養う。
  • 自己を客観視: 練習を録画・録音し、声や表情、論理的な癖を客観的に評価・改善する。

これらの戦略を実践し、本番で最高のパフォーマンスを発揮しましょう!