はじめにー英検準1級ライティング対策
英検準1級の出題では、お子様にとってはとても難しい、もしくは触れたことの少ないトピックが多く、それはライティングでも同様です。
ライティングでは、文章に入れるべき「ポイント」としてのキーワードが与えられるだけで、他に概念の説明などはもちろんありません。ですので、本番で自分の力だけでライティングに取り組めるよう、なるべく沢山の過去問を用いて様々なトピックの背景知識やアイディアに触れ、慣れながら学んでいきましょう。
今回は英検準1級ライティング対策として、2020年10月に行われた2020年度 第2回 英検準1級のライティングのTOPIC(トピック)の確認と、その回答の仕方を考えていきます。
2020年第2回 英検準1級ライティングTOPIC
早速ですが、以下のTOPICについて、どう回答しますか?
- TOPIC:<Agree or disagree> More needs to be done to improve public safety
POINTS: Accidents, Crime, Food, Technology
どのように回答を考えるのか?
この回では「公共の安全(public safety)を改善するためにさらなる施策が必要か」という質問に上記の4つのポイントのうち2つを用いて賛成か反対かを述べます。
英語の「public safety」は日本語では「治安」と訳されることが多いですが、英語の意味はもう少し幅広く、
- 「人々に危険を与える可能性のあるものから守ること」
くらいの意味のようです。
ですので、POINTSに「Accidents (事故)」や「Food (食物)」など犯罪に関係ないものも含まれています。
Crime and Accidentsについて
とはいえ、1番書きやすいのは「Crime (犯罪)」かもしれません。どのような犯罪が世界では起こっているでしょうか。特に、お子様でも考えやすい、そして英語で書きやすいものがよさそうですね。
例えば、
- 盗難(theft)
があります。
物が盗まれてしまうというのはお子様でも考えやすい例だと思います。英検では具体例も挙げなければいけませんが、これは「大切なものを失ったら悲しい気持ちなる」くらいのところから始めればよいと思います。
英検ライティングでは初めから難しすぎることは書かないというのが得策です。
上記のような身近な例から始めてみましょう。
では、盗難のような犯罪を減らし公共の安全を改善するためにできること はあるでしょうか?
例えば、セキュリティーカメラの設置を進めるということが思いつくかもしれません。他には、警察官の数を増やすこともできるかもしれません。このようなお子様にでも書ける身近な例から書いてみましょう。
そして、これらの例は「accidents」にもそのまま使えそうですね。
セキュリティーカメラを設置したり警察官の数を増やしたりすることで、人々の安全意識が向上し事故を減らすことができると文を展開できるかもしれません。
Foodについて
さて、「food」については何が書けるでしょうか?
「食の安全」といえばオーガニック食品などを思い浮かべる方も多いでしょうか。または遺伝子組み換え食品について意見を書く人もいるかもしれません。
いずれの視点も普段から意識しているお子様はそれほど多くないのではないかと思います。
「食の安全」はなかなか難しいので、ここでいくつか見ておきましょう。
オーガニック食品(organic food ; または有機食品)とは、
- 化学農薬(chemical pesticide)や化学肥料(chemical fertilizer)を使用せず米ぬかなど自然由来のものだけで育てた食品
のことです。
これら化学農薬や化学肥料は、一見すると収穫量を増やせる一方で、自然や身体に悪影響を与えるのではないかと懸念されています。(注意 : 現在、日本で出回っている食品は一応食品衛生法の基準を満たしたもので、化学肥料を使っているだけで全てが害悪とは言い切れません。)
例えば、化学肥料が土に入って
- 生態系(ecocystem)を破壊したり
- 食品に残っている農薬(残留農薬 ; pesticide residue)が身体に入って悪影響を与えたり
するのではないかと心配されています。
このような言葉を使いながら、より身体や自然によい食品を食べられる環境を整えるべきという主張をすることもできそうです。
例えば、化学肥料の使用を厳しく制限する法律を制定したりすることができるかもしれません。
Technologyについて
「technology」とは幅広い技術を指す言葉ですが、身近なものであればインターネット関連の技術が思いつくかもしれません。
インターネットでよく問題になるのは
- 「匿名性 (anonymity)」
です。
これは、名前を明かさないということですね。インターネットに匿名で書き込めることで、事実とは異なることが拡散されたりひどい言葉遣いの書き込みが見られたりという問題はいまだ解決されていません。
日本では
- 「表現の自由 (freedom of expression or freedom of speech)」
が認められており、名前を明かして意見を言いたくない場合にそれが制限されないように匿名での言論を認めているという解釈があります。
そうはいっても、嘘の拡散で大きな被害を被っている人がいることも事実です。このような問題を解決するためにはどのようなことができるのでしょうか。
極端なことをいえば、匿名でのインターネット利用を禁止するべきと主張することができます。
英検では実際に自分がその意見を本当に正しいと思っているかは、実は関係ありません。なので、この方法が一番いい、と思っていなくても、テストでそう主張することは問題ありません。英検では自分の主張が論理的に展開されていればよいのです。
このように、様々な問題点を指摘しながら、公共の安全を改善するべきと主張することができそうですね。
もちろん、「日本は安全だからこれ以上の対処は必要ない。」と主張することもできますが、その場合にも理由と具体例が必要なので、今回は改善するべきと主張する方が書きやすいと思います。
プロ講師の回答案を紹介!
さて、関連するトピックやキーワードに分けて詳しく説明していきました。 「プロ講師である私であれば、こういう風に回答案を考える!」という構成案を紹介します。
Agreeの場合の構成
Agreeの場合は、以下のような要点があげられます。
- 日本は安全だが、それでも毎年多くの事故が起こっている。これを解決するために街にもっと多くのセキュリティーカメラや警察官を用意する必要がある。これによって人々の意識が向上し、事故が減るだろう。
- 化学肥料が使用されている食品がいたることろで販売されている。化学肥料は生態系を破壊する恐れがあり、それはのちに人体にも悪影響を与える可能性がある。これを防ぐために化学肥料使用を制限する法律を制定するべき。
- インターネットで匿名の書き込みができることが人々に悪影響を与えている。匿名であることで責任を感じず、事実とは異なることを書き込んでしまう人がいる。このようなことを防ぐために、インターネットでの匿名の書き込みをやめるべきである。
Disagreeの場合の構成
Disagreeの場合は、以下のような要点があげられます。
- 街には多くのセキュリティーカメラが導入されており、これによって人々は事故を起こさないよう意識を高めている。すでに注意をしているのにそれでも事故が起こってしまっているので、これ以上対処できることはない。
- 日本では食の安全はすでに高水準で保たれている。例えば、食品に関する法律が多くある。この法律によって人体に悪影響を与えると考えられる食品は販売できないようになっている。
- テクノロジーは公共の安全を守るために活用されている。例えば、インターネットの書き込みは匿名のように見えるが実際は誰が書いたかを特定できるようになっている。このような事実は有名であり、人々はすでに自分の意見に慎重であるべきと自覚している。
英検準1級ライティング(2020年第2回)のまとめ
英検準1級のライティング対策として、2020年第2回のトピックとその回答の構成案などを取り上げていきましたが、いかがでしたか?
英検の資格は、日本に帰ってきたときに英検準1級を受けるためにも、早めの準備をしていきましょう。2級や準2級から順を踏んで挑戦していくことも、問題や形式慣れのためにも大切です。
早めに英検の資格取得しておくことで、
- 急な帰国になった場合でも焦らずに対策できる!
- 対策のウェイトが大きくなる数学・国語に勉強時間を使える!
といったように、効率の良い受験対策を進められるようになります。