はじめにー英検準1級ライティング対策

英検準1級の出題では、お子様にとってはとても難しい、もしくは触れたことの少ないトピックが多く、それはライティングでも同様です。

ライティングでは、文章に入れるべき「ポイント」としてのキーワードが与えられるだけで、他に概念の説明などはもちろんありません。ですので、本番で自分の力だけでライティングに取り組めるよう、なるべく沢山の過去問を用いて様々なトピックの背景知識やアイディアに触れ、慣れながら学んでいきましょう。

今回は英検準1級ライティング対策として、2020年10月に行われた2019年度 第2回 英検準1級のライティングのTOPIC(トピック)の確認と、その回答の仕方を考えていきます。

2019年第2回 英検準1級ライティングTOPIC

早速ですが、以下の質問にどのように答えますか。

  • TOPIC:<Agree or disagree> High school education in Japan needs to be improved
    Points: Curriculum, Globalization, Pressure on students, Quality of teaching

どのように回答を考えるのか?

この回では「日本の高校教育は改善される必要があるか」という質問に上記の4つのポイントのうち2つを用いて賛成か反対かを述べます。

この問いは、日本の学校にほとんど行った経験がないお子様や、日本の学校に行ったことはあっても、高校にはまだ通っていないお子様にとっては答えづらい質問かもしれません。

高校でどのような教育を受けることがその人に合っているかは当然個人差が出てくるものですが、ここでは一般的に日本の教育について指摘されている点を見ていきましょう。

Curriculum(カリキュラム)について

まずはカリキュラムについて見ていきましょう。カリキュラムとは学校の指導計画や勉強する内容と考えてもらえれば大丈夫です。

日本の高校のカリキュラムで一般的によく指摘されること

  • 「自分で考えるのではなく暗記に頼る教育」
  • 「自分の主張を共有する機会がない教育」

になっているという点です。

アメリカなど西洋諸国やその影響を受けている国では自分で考え、自分の意見を周りと共有することがよいこととされ、それらの国の学校の授業には積極的にディスカッションを取り入れたりレポートを提出させたりしているという特徴がみられます。

それに対し、日本では、少しずつ変わろうとはしていますが、一般的に学校教育は教科書の内容を覚えることが中心で、そこから学んだことや考えたことを発表などする機会があまりに少ないと指摘されてきました。

これに対しては賛否両論あると思います。

この指摘通り日本はあまりにインプットが多すぎてアウトプットに時間を割けないという意見は、ある意味正しいものだと思います。

それに対し、西洋諸国における自分の意見を共有する授業はよい試みである一方、まずは日本のように深い知識まで学んだうえでなければ意見を共有しても生徒の実力向上につながらないという意見も少なからず聞かれます。

この点に関しては、完全な正解というのはないと思います。

英検では、書いている内容が採点者の考えと同じかということは問題にはなりませんし、特定の立場を取ることで有利になったり不利になったりすることもありません。

  • ですので、自分が書きたい方の意見自分が英語で書きやすいと思う方の意見を書くのがよい

と思います。

また、教科書・暗記を重んじる日本の教育に足りないと指摘されるもう一つの点は、「実体験」です。

  • 「field work」

と呼ばれる学校の外に行って活動する機会を設けている学校が日本以外の国では多いです。理科の授業のために実際に外に行って観察したりすることです。

日本でも外に行って実験したり、校外学習に行ったりするので全く行われていないわけではありませんが、比較すると数は少ないのかもしれません。

このような自分の経験を伴う学習好奇心を刺激し、自分の学んでいることが自分の生活に関係していると実感できるという利点から多くの学校が取り入れています。日本の学校も最近はこのような活動量を増やそうと様々な取り組みをしています。

Quality of teachingについて

上記のような教科書の難しい内容を教えられるか、または、生徒の好奇心を刺激できるかなどは教える側の力量も試されるものです。

一般的に日本の教師は丁寧で細かいことろまで教えることができる先生が多く、難しい内容も教えることができ、これが日本の基礎学力の高さを支えているという考えがあります。

しかし、その一方で前述の通り、暗記と教科書偏重とみられることのある日本の授業方式は面白くないという意見は長く存在しています。

このような意見を持っている方からすると、やはり日本の授業より実体験を重視する他国の教育の方が興味を惹かれることが多いようです。

先に多くの知識を身につけるか経験を身につけるか、難しい内容を深く学ぶことと自分の経験を通して学ぶことのどちらが学習内容の定着につながるのかなど、このような問題に明確な1つの答えはないと思われますので、自分の立場や経験から考えてみると良いかもしれません。

Pressure on studentsについて

日本の難しい内容を学ぶ学習方式に関わる問題が生徒のプレッシャーです。日々、難しい勉強をこなさなければならない日本の学生は勉強時間も長くなることもあり、これが大きなストレスになるという指摘があります。

また、そのような日々を送ると趣味など他のことに使う時間がなくなり、余裕のない生活を送ることの悪影響を心配する声があります。

一般的に他の国では高校生くらいまではゆったりとしたスケジュールで勉強するシステムを採用していることもあるようです。しかし、どの国でも競争率の高い学校に在籍している生徒有名な大学を目指している生徒は多かれ少なかれ同じような生活をしているという指摘もあります。

とはいうものの、ライティングでは必ずしも他国との比較は求められていないので、日本の学校に通う学生が多大なプレッシャーを感じていることを問題と思い、そのことで書けそうであれば、それを改善すべきとエッセイで書くことはできますね。

Globalizationについて

最後は国際化の問題です。

教育に限らず、日本のあらゆる面で国際化の遅れを指摘する声は聞かれます。実際のところ、教育における国際化の現状はどのようなものでしょうか。

学校に通っていると海外から来た生徒に会う機会があります。例えば、短期留学で日本の学校で勉強している人がいたり、本格的に日本の学校に通い卒業する人もいます。

その他にも、

  • 姉妹都市(sister cities)

という制度を持ち、互いの都市に生徒を派遣し合う

  • 交換留学プログラム(exchange program)

というものを行っていることも多いです。

このようなことから実際に自分とはちがう文化を持つ人と交流を持つことの大切さを若いときから体験してもらっている学校も少なくありません。

しかし、国際教育には必ずしも人と会う必要はないと考える人も少なからずいると思います。つまり、日本以外の国では、それぞれ独自の文化を有しているということを認識することがグローバル教育の第一歩だと考えている人が多くいます。

この意味では、日本のグローバル教育はどうでしょうか。

日本は西洋化したとはいえ、まだまだ独自の文化を強く残しています。社会で他文化について学んだりしてはいますが、実感として他国には他国の考え方があるということを吸収するのにはまだ時間がかかるかもしれません。

知識として知っていることと、それをもとに行動のレベルで変化を起こすことができることは別であるということは多くの人が同意することだろうと思います。

この話を英語にするのは少し大変かもしれません。

英検では無難に

  • 「もっと海外の人と交流する機会を提供するべき」

くらいで書くのもよいかもしれません。

世界は日々、グローバル化しているので他の面でもまだ改善の余地があると考える人がいれば、もちろんそれについて書くこともできますね。

プロ講師の回答案を紹介!

さて、関連するトピックやキーワードに分けて詳しく説明していきました。

「プロ講師である私であれば、こういう風に回答案を考える!」という構成案を紹介します。

Agreeの場合の構成

Agreeの場合は、以下のような要点があげられます。

  • 日本の教育カリキュラムはもっと実験など実体験を通して学ぶ機会を増やすべき。
  • 日本の教育は暗記を重視しすぎているので、もっと生徒が勉強を楽しめるような内容を教師が考えれば授業の質が上がる。
  • 日本の生徒は多くの難しい試験をこなさなければならず、このように大きなプレッシャーを抱えながら勉強するのは精神的によくない。
  • 日本はまだ海外から来た人と交流する機会が少ないので、学校でそのような機会を積極的に与えるべき。

Disagreeの場合の構成

Disagreeの場合は、以下のような要点があげられます。

  • 日本の優れたカリキュラムのおかげで日本人の基礎学力は高く保たれていて、これ以上の改善は必要ない。
  • 日本の教師は優秀で難しい内容もうまく教えている。
  • 若いときからプレッシャーに耐えることになれさせるのも教育の一環であり、日本の難しい試験に取り組ませるのはそのいい練習である。
  • 今はインターネットが発達しているので、学校でも動画や新聞記事などで十分に海外やグローバルな視点について学ばせている。

英検準1級ライティング対策(2019年第2回)のまとめ

英検準1級のライティング対策として、2019年第2回のトピックとその回答の構成案などを取り上げていきましたが、いかがでしたか?

英検の資格は、日本に帰ってきたときに英検準1級を受けるためにも、早めの準備をしていきましょう。準2級や2級から順を踏んで挑戦していくことも、問題や形式慣れのためにも大切です。

早めに英検の資格取得をしておくことで、

  • 急な帰国になった場合でも焦らずに対策できる!
  • 対策のウェイトが大きくなる数学・国語に勉強時間を使える!

といったように、効率の良い受験対策を進められるようになります。