SAT MathのSubject Testを初めて担当したのは10年も前になるでしょうか。そもそも受験する人がSAT Mathに比べて少ないので、 Subject Test の指導依頼は比較的少ないのですが、特に理系を目指す人や一部の有名校を目指す生徒達にはSubject Testは必須の場合もあります。
ここでは、Mathについて焦点を置いてSubject Test level1とlevel2について違いやその対策について述べていこうと思います。
簡単に言うと、 level2 は level1 よりも出題範囲が多少広がります。また、level2では、電卓が60分のテストの間で使用可能となります。Grid-inがなく全てが選択問題となります。60分で50問なので、時間のプレッシャーは多少きついかもしれません。
SAT Mathと違って、電卓が無いと絶対に解けない問題が数問あります。計算力が高ければ基本無くても十分通用します。ただ、電卓の使用前提で作られている問題があるという事実は重要です。
難易度は?
結論から言うと、SAT Mathと比べればSubject Testの難易度は高いです。ですから、別個の対策が絶対に必要です。特にLevel 2ではAlgebra2だけでなくPre-Calculusの知識が必要となります。シンプルに出題範囲が広くなります。
ただ、問題のレベル自体はどうかというと、それほど変わりません。SATでは出題のない、Parametric equation、Matrix、Vetors、Recursive sequence、Advanced Trigonometryも問題のレベル自体は基礎中の基礎しか出てきません。広い範囲を頭に入れておかなければならないという点で難易度が高いだけです。
ですから、勘違いしているお子様が本当に多いですが、短期での勝負はあまり向いていません。広い出題範囲のテストは短期では抑えきれないのが普通です。
一方、中長期で対策すれば確実に点数は上げられます。通常の学校のタスクに加えて勉強することが当然ですから、それを差し引いて準備には余裕のあるタイムラインを描くことが大切です。
最低でも3ヶ月、安全に行きたいならば6ヶ月は準備期間として考えましょう。
「短期で何とかなる」言う人もいます。これを言うのは「そもそも数学が得意です!」って言い切れる子達だけです。それ以外の子達は絶対に真似をしないでください。
「気づくのが遅かった…でもあと3ヶ月しかない。」
そんな場合でも何とかなることはなります。対策を間に合わせるには、週最低でも3回はしっかりと対策する時間を確保すること。
Scienceなども取らないと行けないとなると、他の科目の勉強時間も必要です。Physics, Chemistry, Biologyも必ず事前にトピックスを確認しましょう。APでもIBでもカバーが若干違う部分があります。特にIBの子達は気をつけてください。
意外に知らないSAT Subjectテストの事
SAT Subjectをいざ受けよう!となっても、意外に知られていない事実があります。
例えば…
- SAT Mathと違って誤答につき¼ point減点される
- SAT Subject Testを受ける日に同時にSATは受験できない
要は通常のSATは同時に受験できないということです。ですから、基本的にSubject TestはSATが仕上がった人たちが受けるパターンがほとんどです。SATが仕上がっていないのに、わざわざ試験のチャンスを1回捨ててSubjectを受けるのはあまりにもリスクが高いと考えるからです。
Biologyは当日に、EcologicalかBiology Molecularかを決める。対策時点でどちらを受験するかを決めたうえで対策するのが近道です。
受験できるのは、8月、10月、11月、12月、5月、6月ですが、8月はアメリカ国内のみとなります。International Test Locationは8月はありません。8月の受験の場合はアメリカでの受験を前提としてください。
必ず、まず一度CollegeBoardで公表されている内容は目を通しておきましょう。目を通すのに苦戦しているのであればすぐに問い合わせしてください。
出題範囲について
出題範囲については公開されています。市販されているWorkbookなどと併用して対策をすれば問題ありません。
Math Level 1の出題範囲
Content | Approximate % of Test |
---|---|
Number and operations | |
Operations, ratio and proportion, complex numbers, counting, elementary number theory, matrices, sequences | 10%–14% |
Algebra and functions | |
Expressions, equations, inequalities, representation and modeling, properties of functions (linear, polynomial, rational, exponential) | 38%–42% |
Geometry and measurement | 38%–42% |
Plane Euclidean | 18%–22% |
Coordinate: Lines, parabolas, circles, symmetry, transformations | 8%–12% |
Three-dimensional: Solids, surface area and volume (cylinders, cones, pyramids, spheres, prisms) | 4%–6% |
Trigonometry: Right triangles, identities | 6%–8% |
Data analysis, statistics, and probability | |
Mean, median, mode, range, interquartile range, graphs and plots, least squares regression (linear), probability | 8%–12% |
Math Level 2の出題範囲
Content | Approximate % of Test |
---|---|
Number and operations | |
Operations, ratio and proportion, complex numbers, counting, elementary number theory, matrices, sequences, series, vectors | 10%–14% |
Algebra and functions | |
Expressions, equations, inequalities, representation and modeling, properties of functions (linear, polynomial, rational, exponential, logarithmic, trigonometric, inverse trigonometric, periodic, piecewise, recursive, parametric) | 48%–52% |
Geometry and measurement | 48%–52% |
Coordinate: Lines, parabolas, circles, ellipses, hyperbolas, symmetry, transformations, polar coordinates | 10%–14% |
Three-dimensional: Solids, surface area and volume (cylinders, cones, pyramids, spheres, prisms), coordinates in three dimensions | 10%–14% |
Trigonometry: Right triangles, identities, radian measure, law of cosines, law of sines, equations, double angle formulas | 12%–16% |
Data analysis, statistics, and probability | |
Mean, median, mode, range, interquartile range, standard deviation, graphs and plots, least squares regression (linear, quadratic, exponential), probability | 8%–12% |
アメリカンスクールに通う子達でいう、Pre-CalculusもしくはAdvanced Pre-Caluclusといったクラスまでの内容が含まれるといった具合です。11年生に履修するケースが多いため、11年生内での受験の場合はある程度の先取り学習が必要かもしれません。
また、IBまたはIGCSEの履修生の場合は勝手が違います。特にConic Section(曲線と方程式)といった部分は履修範囲に入っていません。IB SLであればカバーしていない内容も出てきます。(Matrix(行列)やPolar Coordinate(曲方程式)など)。
ですから、特にIB履修生は必ず事前に上記の内容を確認した上で余裕をもって準備をする必要があります。日常的にタスクが多いIB履修生にとってSAT対策はシンプルにダブルワークとなります。
日頃の学習がSAT Subjectの対策を兼ねているかと思うと、そうでもありません。受験をするなら別個での対策を前提に時間の確保をしましょう。タイムマネジメントも含めての覚悟を求められていると自覚した上での準備が必要です。
対策はできる!なんとなく一人でやるのではなくプロの手を借りよう!
問題のレベルは高くはありません。出題範囲が広いためしっかりと定着するまで反復練習をすること、また60分内で解く読解力、情報整理能力と計算力を身に着けることが重要です。
自分一人で何とかなる場合は全く問題ないのですが、一人で何とかしようとして何とかならないケースも多く見受けられるので、対策に困っている場合はまず対策の時間を確保すること、そして一度プロに相談されると良いでしょう。
「SAT Subjectをおまけと考えずに余裕を持って日頃の学習の中にどう組み入れるか。」を一度整理して考えてみることからが第一歩となります。