はじめに

「AO入試」「海外大学」「帰国受験」「高校の過ごし方」。これらを同時に考えると、何から手をつけていいのか迷う方も多いのではないでしょうか。国内外の大学受験は準備期間が重なる部分が多く、思いつきでは対応しきれません。
本記事では、TCK Workshopのウェビナーで紹介された内容をもとに、高校1〜3年の学年別に「何を」「いつ」始めるべきかを整理しました。さらにTOEFL・SATなど最新の出願要件も交え、AO入試と海外大学を両立させるための現実的なロードマップを紹介します。


全体像:国内AOと海外大学を「同時攻略」する発想

国内大学の総合型選抜(AO入試)と海外大学の出願は、実は求められる準備要素が非常に似ています。
どちらも重視されるのは、「学校成績(GPA)」「英語資格(TOEFL・IELTS・SATなど)」「課外活動の深さ」、そして「自分の経験をどう語れるか」という点です。

海外大学の出願では、アメリカなど多くの国が「ローリングアドミッション(出願順に審査)」を採用しています。このため、早めに準備を始めることで合格のチャンスを広げることができます。
また、米国では「Early Decision(ED)」や「Early Action(EA)」といった早期出願制度も一般的です。EDは合格時に進学が確定する方式、EAは合格後に進学を選べる方式です。


学年別チェックリスト:高校1〜3年の過ごし方

高校1年生:基盤を整える時期

最初の1年は「基盤づくり」の年です。学校のカリキュラムを把握し、どの科目が必修で、どこに選択の自由があるのかを理解しておきましょう。成績を上げるためには「どの先生の授業でどのように評価されるのか」を早めに掴むことも重要です。

また、部活動やボランティアなど、課外活動も積極的に取り組む時期です。この段階では広く挑戦して構いませんが、3年間継続できそうな活動を1つ見つけておくと、後の出願時に「一貫性」を示せます

英語資格の勉強も早めに始めましょう。TOEFLはスコアの有効期限が2年間のため、高2や高3での出願を見据えると、高1のうちに模試を受けて現状を把握しておくのが理想です。TOEFLかIELTSのどちらが自分に向いているかを判断するために、まずは練習テストを受けてみるのがおすすめです。

さらに、ニュースや英語の読書を習慣化しておくことで、AO入試や海外大学のエッセイで必要になる「背景知識」も蓄えられます。夏休みなどの長期休暇には、国内外の大学見学に行き、進学のイメージを早めに固めておくと良いでしょう。


高校2年生:能力を伸ばす時期

2年生は「伸ばす・深める」年です。ここでは成績維持と英語資格のスコアアップの両立が重要になります。選択科目が増えるため、得意分野に集中して高評価を狙う戦略が必要です。アメリカの大学を志望している場合はAP(Advanced Placement)やA-levelなどの上級科目も重要視されます。一方で、日本のAO入試を視野に入れる場合はGPA(評定平均)の高さが直接評価されるため、無理に難科目を増やすより「確実に点を取れる科目選択」を意識しましょう

英語資格試験の本番もこの学年で集中して受けておくのが理想です。TOEFLは高2後半で目標スコアに到達しておくと、高3での出願時に安心です。SATを受験する場合は、2024年度から完全デジタル化された形式に対応した学習が必要です。公式のBluebookアプリで模試を受け、問題構成や時間配分に慣れておきましょう。

また、課外活動では「広さ」より「深さ」を意識します。リーダーや企画担当など、責任を持って取り組めるポジションを経験し、成果を残すことが大切です。この経験はエッセイや面接での説得力に直結します。

さらにこの時期から大学見学・リサーチを始めると良いでしょう。2年生の間のまだ受験の緊張が小さく、精神的に余裕のある時期に学校のリサーチを始めることでより多くの情報がキャッチできるようになります。


高校3年生:目標を達成する時期

いよいよ出願の年。ここでは「これまでの3年間をどうまとめるか」が最大の課題です。

まず、学校の成績を最後まで維持しましょう。AO入試や推薦型出願では高3の成績も重視されます。また、推薦状を書いてもらう先生を早めに決めておくことも大切です。推薦者は基本的に在籍校の先生でなければならないため、信頼関係を築くことが合格への第一歩となります。

出願校は「チャレンジ・本命・安全校」の3段階のレベル別で5校程度に絞り、出願条件を一覧化して管理します。TOEFLやSATスコア、エッセイ、推薦状、面接の有無などをすべて明確にしておきましょう。海外大学への出願では、早期出願(ED・EA)やローリング方式のスケジュールを確認し、締切に余裕を持たせて準備を進めてください。

面接対策も重要です。「過去・現在・未来」という時間軸で、自分がどのように学び、何を目指しているかを明確に言語化できるように練習しておくと安心です。


成功の鍵は「3本の柱」と「時系列」

AO入試と海外大学出願の両立には、以下の3つの柱を意識することが不可欠です。

  1. 英語資格試験のスケジュール管理
    TOEFLの有効期限は2年間。出願時点で有効なスコアを確保するため、高2のうちに目標点を取得しておくのが理想です。SATはデジタル化に伴い、公式模試アプリ「Bluebook」での練習が最も効果的です。
  2. 課外活動の深掘りとストーリー化
    活動数よりも「継続と一貫性」が重視されます。高1で広げ、高2で深め、高3でまとめる流れを意識し、成果を明確に残しましょう。

よくあるつまずきと回避法

「英語は得意」なのにスコアが足りない
TOEFLやSATでは「読む・書く・聞く・話す」のバランスが重要です。特にライティングで伸び悩む場合は、テンプレート頼りではなく、内容の一貫性と論理性を磨く必要があります。

活動が散漫になって深みが出ない
「幅」より「軸」を重視し、一つのテーマに関連する複数の取り組みを束ねることで、出願書類に一貫性を持たせられます。

締切や書類の抜け漏れ
大学ごとの要件を一覧化し、出願2週間前にはすべての書類を揃えるようにすると安全です。


TCK Workshopのサポート

TCK Workshopでは、帰国子女の大学受験を個別にサポートしています。以下のような実在の講座を通して、生徒一人ひとりの出願戦略を具体化します。

・TOEFLライティング添削講座(独立・統合タスク両対応)
・SAT特別講座(デジタル化対応/RW・Math対策)
・エッセイ・志望理由書・面接対策を組み合わせた個別プラン

まずは無料教育相談で現状を整理し、3か月・6か月・出願までの学習計画を一緒に立てましょう。


まとめ

・AO入試と海外大学出願は、同じ「成績・英語力・活動」を軸に準備を進めることで両立可能。
・TOEFLは有効期限2年。高2で目標スコアを確定させるのが理想。
・SATはデジタル化対応のBluebook模試で練習を。
・活動は「数」より「深さ」。高1で広げ、高2で絞り、高3でまとめる。
・出願校ごとのスケジュールを早期に整理し、2週間前完成を目標に。


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