IBのFinal Examを受験中の皆さん、もう全ての日程を終えた皆さん、お疲れ様でした。2年間走り続けてきて、全力を出し切ることができたでしょうか。本番で緊張や不安から普段通りの実力を発揮できなかった人もいるのではないでしょうか。

今回は、最終試験受験後にスコアを伸ばせる可能性がある2つの正式な制度をご紹介します。

「Remark」「Retake」は最終試験後に利用できる制度

IBOは、Diploma証書を発行するまでに、合計3回までの受験を正式に認めています。最終試験受験後に、点数の変更が認められるのは以下の2つの制度を利用する場合です。

制度その1:Remark(再採点)

Remarkは、最終試験の点数が発表された後に学校を通じて再度採点を依頼する方法です。採点者のバイアスやミスの可能性を考慮して、同じ答案を、もう一度採点してもらいます。

実際に私は、この制度を通じて、結果的に点数を1点あげることができました。ただし、この方法を利用する上での最初のステップは、Boundary(範囲)で自分のスコアの立ち位置を確認することです。

IBのスコアは、〇〇点~△△点が「6」、〇〇点~△△点が「7」というふうに決まっています。まずは、スコア発表のサイトから、Boundary(範囲)を確認し、自分のスコアと次のBoundaryまでの差を確認します。次のBoundaryまでに1,2点不足しているようであれば、Remarkを通じて点数が上がる可能性があります。

制度その2:Retake(再試験)

Retakeは、最終試験をもう一度受け直すことです。Remarkとは異なり、1回目の答案は使わず新たに受験することになるので、うまく行けば点数をあげるチャンスがあると言えます。

Retakeは、出身学校のIBコーディネーターを通じて申し込み、その許可があれば、次のIBのExam試験が行われる11月または5月に再受験することになります。

「Remark・Retake」制度の注意点:大学受験への影響

RemarkやRetakeを利用した場合、最終スコアが確定しないため、大学受験の書類準備等に影響が出ます。私の場合、Remarkについては、再採点中である旨を伝えた上で、大学側に旧スコアレポートを送付しておくことで対応してもらうことができました。(学校によって必要な対応が異なるので確認が必要です。)

一方、Retakeの場合は、再試験後に大学へ出願することになるので、日本の帰国子女受験制度を利用することが難しくなります。(これは要件の中に、卒業時期や卒業~入学までの期間が定められている場合が多いためです。)

海外の大学への出願の場合は、Retake後に明確に示された足切りの点数を上回ることができれば、大学に入り直すなどのチャンスがもらえるため、可能性が広がることもあると言えるでしょう。

「Remark・Retake」制度の注意点:点数が上がる保証なし

RemarkやRetakeを受ける場合、点数が必ず上がるという保証は全くありません。もちろん、最終スコアが1点でも上がれば進学先の選択肢が広がる可能性もあり、書類選考を通過する確率も上がります。

ただ、点数が下がるリスクについても認識しておく必要があります。

「Retake」については公式サイトにこのような記述があります。

if you retake a subject to improve your results, the highest grade for the subject or core requirement will contribute to the award of the IB Diploma.

IB 公式サイト

一方で「Remark」については公式サイトにこのような記述があります。

As there is a possibility that a grade is lowered, written consent from the candidate (or legal guardian) is required. Should a school not obtain a candidate’s/legal guardian’s consent prior to placing this request and the grade is lowered, the original grade will not be reinstated.

IB 公式サイト

つまり「Remark」については点数が下がってしまうリスクがあるということになります。

そもそも、Remarkは学校のDP/CPコーディネーターのとの合意のもと、コーディネーターに申請してもらう必要があるので、コーディネーター自身が「下手したら下がる可能性あるぞ…」と考える場合はそもそもRemarkを申請すること自体が稀です。

一方で、コーディネーターと「成績が下がることはないだろう」という合意のもと申請となった場合、実際に成績が下がることは稀ですが「成績が下がる可能性が0ではない」ことは認識しておきましょう。

ただし、どちらの制度もその利用費用は学校負担になるため、学校の許可を取ることは必要不可欠です。

上記で2種類の方法を紹介しましたが、結論としては
・RemarkするにせよRetakeするにせよ、コーディネーターとしっかり話してお互いが納得する結論を得ることが先決
・Remarkのリスクを取るなら勉強してRetakeしたほうがいいのでは…
というまとめになります。

その一方で、点数を伸ばすことはとても大変なことです。まずは、学校で再試験受験の許可を取り、他の現役IB生とともに数ヶ月後に試験を受ける準備をすることとなります。当然、学校の授業は終わっているため、自分で計画的に、徹底的に、勉強する環境を作っていかなければなりません。これらのデメリットと、点数が上がるメリットを比較して、意志決定することをお勧めします。

「Remark・Retake」制度の注意点
  1. 最終スコアが出願の時期に確定しないため、大学受験の書類準備等に影響が出る!
  2. Retakeの場合、日本の帰国子女受験制度でIBスコアを利用することが難しくなる!
  3. どちらも利用費用は学校負担になるため、学校の許可を取ることは必要不可欠!

さいごに

今回は、最終試験後のRemarkとRetakeの制度をご紹介しました。これから受験をする皆さんは、ぜひ、体調や勉強の調子を万全に整えて、最終試験に臨んでくださいね。もしこれらの制度を使うことを検討している皆さんは、後悔のない選択ができるよう祈っています。