Past Paperとは、毎年5月と11月に行われるIBのFinal Exam(最終試験)の過去問題のことです。
IBの教科書や対策教材がなかなか流通していない中で、Past Paperは、最も実用的な練習教材とも言えるでしょう。二部立てでお届けするPast Paperの活用法、今回は、「Past Paperに取り組む前に知っておくべきこと」をご紹介していきます。
Past Paperはなぜ重要か?
IBの試験問題は教科により、問題形式や問題量、試験時間が異なっています。
さらに最終試験は、主にPaper1, Paper2, Paper3から成り立っており、科目や履修レベル(HLまたはSL)によって、受ける試験が異なってきます。
Past Paperを使って対策することによって、テスト形式に慣れることや苦手分野を把握することができ、最終試験に向けたより効率的な勉強が可能になります。
- テスト形式に慣れる
- 苦手分野を把握する
- 時間配分を意識して問題に取り組む
Past Paperの基本情報
IBのPast Paperは、基本的に公式ルートでしか入手できないようになっています。
日本の「赤本」のようなものはなく、IBを実施する学校などがIBOから購入することによってのみ手に入るものなのです。
普段の学習においては、インターネット上に掲載されているものを利用することもできますが、違法アップロードされたものが大半ですので、各自注意が必要です。
過去問のコードを読み解こう!
あるPast Paperが「いつの試験の問題で、どの科目で、どのレベルで、どの言語なのか」ということを見分けるには、過去問の左上に記載のある「コード」を読み解く必要があります。例えば、
M16/3/ECONO/HP1/ENG/TZ1/XXM
というコードの場合、紐解いていくと、
May, 2016/Group3/Economics/Higher Level Paper 1/ English/Timezone 1
という意味になります。
つまり「2016年5月にTimezone1(*)で行われた、Higher LevelのEconomics Paper1(問題の使用言語はEnglish)」とわかるのです。
* IBの試験は世界中で一斉に行われるので、情報漏洩防止の観点から時差によってTimezoneに合わせて同じ教科に複数種類の問題が用意されています。2018年現在、Timezoneは0,1,2の3つに分けられています。
さらに、先頭の1文字が違う場合は、また別の意味を表しています。例えば、
N16/3/ECONO/HP1/ENG/TZ0/XX
というコードの場合、「N」は「November」を意味し、「2016年11月にTimezone0で行われた、Higher LevelのEconomics Paper1(問題の使用言語はEnglish)」という意味になります。
11月?と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらは主に南半球の学校を対象に実施される試験です。ちなみに日本でIB試験を受ける場合、4月始まりの学校では11月に受験する場合が多いです。
11月試験でも5月試験でも、基本的に出題範囲は変わらず、全て問題の作成者はIBOなので、自分がどの試験を受けるかにかかわらず、すべて過去問として取り組むことをオススメします。
最後に、変化球もご紹介しておきます。
SPEC/3/ECONO/HP1/ENG/TZ0/XX
こちらは、Specimen つまり「模擬試験」で、IBOが正式に公開しているものです。実際に出題された過去問ではないのですが、「コード」までそっくりに仕上げてあるので、つい勘違いしてしまいますよね……
Mark schemeも活用しよう!
Past Paperを手に入れたら、その模範解答である「Mark Scheme」もぜひ手に入れて活用しましょう。Mark Schemeには「どんな解答が、何点をもらえるのか」が詳細に書かれています。これを活用することで、
- 自分の回答に何が足りていないのか
- 出題者はどんな意図を持って問題を作っているのか
がわかり、より高得点を狙いやすくなります。同じような意味で「Command Term」の意味もきちんと理解しておきましょう!
Command Termについてはこちらの記事をご覧ください!
Mark Schemeは、一番最後のコードが「M」となっているものになります。例えば、
M16/3/ECONO/HP1/ENG/TZ0/XX/M
というコードは「May, 2016/Group3/Economics/Higher Level Paper 1/ English/Timezone 0/Mark scheme」という意味になります。
一番怖い「シラバスの変更」
Past Paperを探す上で一番注意しなければならないのが「シラバスの変更」です。
IBの最終試験の範囲は、科目ごとに定められたシラバス(IBOが発行しているCurriculum Guideと呼ばれるもの、ブルーの表紙)に全て記載されています。ところが、このシラバスは数年に一度、改訂され、その2年後の試験から最新のシラバスが適用されることになっています。
その場合「過去は試験範囲だったが今は違うもの」や「これまで試験に出ていなかったけど新しく試験範囲になったもの」があらわれるのです。
私がIBを受験した年は、Biologyのシラバスの大幅な改訂がありました。特に当時使用していた学習用サイトや教科書がきちんと更新されているかをギリギリまで確認しなかったため、大慌てしたこともありました。
テキストが改訂されたら、まずは過去のシラバスと現在のシラバスを比較して、どこが追加・削除されたのか(特に新規で追加された部分)を確認することが重要です。
最後に
以上、IBのPast Paperに取り組む前に注意すべきことをご紹介してきました。
- 過去問のコードの見方をマスターしよう!
- Mark Scheme(模範解答)にも目を通してみよう!
- シラバス変更の恐れあり!過去問を解く前にCurriculum Guideをよく確認しよう!
下記の記事では、具体的にPast Paperの使い方などを紹介していますので、合わせてお読みください。
とはいえ、IBはやはり難しいカリキュラム。学校の先生があまりしっかりサポートを行ってくれない場合など、「一人で勉強するには限度がある」と感じている方も多いのではないでしょうか。弊社TCK Workshopでは、IB卒業生やIBに詳しい指導経験豊富な講師陣が皆さまの学習をお手伝いさせていただきます!
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