はじめにー英検準1級ライティング対策
英検準1級の出題では、お子様にとってはとても難しい、もしくは触れたことの少ないトピックが多く、それはライティングでも同様です。
ライティングでは、文章に入れるべき「ポイント」としてのキーワードが与えられるだけで、他に概念の説明などはもちろんありません。ですので、本番で自分の力だけでライティングに取り組めるよう、なるべく沢山の過去問を用いて様々なトピックの背景知識やアイディアに触れ、慣れながら学んでいきましょう。
今回は英検準1級ライティング対策として、2020年1月に行われた2019年度 第3回 英検準1級のライティングのTOPIC(トピック)の確認と、その回答の仕方を考えていきます。
2019年第3回 英検準1級ライティングTOPIC
早速ですが、以下の質問にどのように答えますか。
- TOPIC:Do companies need to improve the way they treat their workers?
Points: Health, Male-female equality, Salaries, Work-life balance
どのように回答を考えるのか?
この回では「会社は職員の扱いを改善すべきか」という質問に上記の4つのポイントのうち2つを用いて賛成か反対かを述べます。
現在の労働者の環境での問題はどのようなものがあるでしょうか。
Healthについて
まず、初めに「健康問題」があります。会社のような団体はその労働者が生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるよう配慮することが求められています。
これはとても難しい表現ですが、噛み砕いて言うと、会社は労働者が健康に働けるようにしなければならないということです。
このためには、会社は定期的に労働者に
- 健康診断(medical examination / medical checkup)を受けさせること
- 体調を崩したときに休める制度(medical leave)を用意したりすること
などを含む、環境を整えます。
さらに、最近では
- 身体的(physical)健康
だけでなく、
- 精神的(mental)健康
も重視されています。仕事をしていると大きなストレスを抱えることもあり、これによって
- 生活の質(quality of life)
が低下することが心配されています。そして、最近は身体的に健康であっても精神的な健康を害していると質のよい生活とはいえないという考え方が広まってきています。
ですので、最近は精神面のサポートを用意する企業も増えてきました。
Work-life balanceについて
この心身両方の健康に大きく関わるのが「work-life balance」です。日本語でも「ライフワークバランス」として広く認知されるようになってきました。
ライフワークバランスには以下のような考えが含まれています。
- 仕事に役立つスキルを身につけることで
- 仕事においてより効率的にはやく成果をあげることができ
- 仕事も私生活も充実したものにできる
一般的には「仕事を早く終わらせて私生活を大切にすること」と考えられがちなライフワークバランスですが、このような意味があるのですね。
日本では仕事の時間が多いことで私生活を楽しめないという悩みがよく聞かれますので、仕事を効率的に行えるようなトレーニングを社員に施すべきとライティングでは書くこともできそうですね。
Salariesについて
さて、次は
- 「給料(salaries)」
についてです。
仕事をする理由は成果をあげることで社会に貢献したりといろいろあるとは思いますが、そのうちのひとつは給料であると思います。
仕事で頂くお金で生活をし、さらに将来への投資をすることもできます。
日本では長く労働者の給料が高くないことが問題とされてきました(もちろん全員ではありませんが)。給料が多くもらえると生活での金銭的心配が減少し、心理的ストレスも低下します。給料が少ないとその逆のことが起こる可能性があります。
また、お金があれば新しいこと、スキルアップや家族のための投資にも踏み出しやすくなるかもしれません。
もちろん、利益が出なければ給料も支払えないのでただ単に給料を引き上げることはできず、問題の解決にはなりません。
ライフワークバランスにも通ずるところがありますが、
- 雇用者(employer)
- 被雇用者(employee)
- 生産性(productivity)
という考えがあります。
スキルが上がれば成果が上がり、そして給料が上がるという循環を作り出そうという試みです。
Male-female equalityについて
最後は男女平等(male-female equality)です。
男女間では一般的に物理的な力の差もありがすが、他にも格差が指摘され、現代ではそれが大きな問題となっています。
日本ではよく、
- 女性は産休(maternity leave)
で一時的に組織を離れるとスムーズにその組織に戻って来られないことがあるという問題が指摘されています。
他にも、
- 昇格(promotion)
のちがいがあります。昇格とは地位が上がったり任せられる責任が重くなったりすることです。日本だけでなく多くの国で女性が男性よりも昇格しづらいことが問題となっています。
これに関しては心理的な要素など様々なことが検討されていますが、なかなか解決しない問題です。産休で組織を離れる女性に限らず、女性の方が昇格しづらいという傾向が見られますので、産休だけがその原因ではないという指摘もあります。
男女に関係なく実力や貢献が評価されるシステムが期待されます。
プロ講師の回答案を紹介!
さて、関連するトピックやキーワードに分けて詳しく説明していきました。
「プロ講師である私であれば、こういう風に回答案を考える!」という構成案を紹介します。
Agreeの場合の構成
Agreeの場合は、以下のような要点があげられます。
- 身体的健康に比べ、精神的健康は軽視されがちだから会社はメンタルケアに力を入れるべき。
- ライフワークバランスの問題、特に長時間労働が大きな問題となっているので、労働者が過度のストレスを感じず効率的な仕事ができるよう会社はトレーニングを提供するべき。
- 一般的に労働者の給料は低く、生活における金銭的心配を取り除けるよう会社はスキルアップのトレーニングを提供するべき。
- 男女間の昇進の差が未だ解決されていないので、女性の労働環境を改善し、実力や成果に応じて平等に評価されるシステムを導入するべき。
Disagreeの場合の構成
Disagreeの場合は、以下のような要点があげられます。
- すでに健康診断など多くの健康管理の体制が整っているのでこれ以上の対応は必要ない。
- ライフワークバランスの問題は本人のスキル不足によるもので会社の責任ではない。
- 給料は実力に応じて支払われるもので、給料が低いのは会社の責任ではなく労働者が解決するべき問題である。
- 男女の格差をなくす法律がすでに施行されていて会社はそれに従っているため、これ以上この問題において会社ができることはない。
英検準1級ライティング対策(2019年第3回)のまとめ
英検準1級のライティング対策として、2019年第3回のトピックとその回答の構成案などを取り上げていきましたが、いかがでしたか?
英検の資格は、日本に帰ってきたときに英検準1級を受けるためにも、早めの準備をしていきましょう。準2級や2級から順を踏んで挑戦していくことも、問題や形式慣れのためにも大切です。
早めに英検の資格取得をしておくことで、
- 急な帰国になった場合でも焦らずに対策できる!
- 対策のウェイトが大きくなる数学・国語に勉強時間を使える!
といったように、効率の良い受験対策を進められるようになります。