はじめにー英検準1級ライティング対策

英検準1級の出題では、お子様にとってはとても難しい、もしくは触れたことの少ないトピックが多く、それはライティングでも同様です。

ライティングでは、文章に入れるべき「ポイント」としてのキーワードが与えられるだけで、他に概念の説明などはもちろんありません。ですので、本番で自分の力だけでライティングに取り組めるよう、なるべく沢山の過去問を用いて様々なトピックの背景知識やアイディアに触れ、慣れながら学んでいきましょう。

今回は英検準1級ライティング対策として、2021年1月に行われた2020年度 第3回 英検準1級のライティングのTOPIC(トピック)の確認と、その回答の仕方を考えていきます。

2020年第3回 英検準1級ライティングTOPIC

早速ですが、以下のTOPICについて、どう回答しますか?

  • TOPIC:<Agree or disagree> More people should be vegetarians in the future
    POINTS: Animal rights, Cost, Environment, Health

どのように回答を考えるのか?

この回では「人々はベジタリアンになるべきか」という質問に上記の4つのポイントのうち2つを用いて賛成か反対かを述べます。

ベジタリアンとは肉や魚介類を食べない人のことを指すのが一般的です。 ベジタリアンの人の中には卵や乳製品を食する人もいるようですが、このような食品を全く摂らない「ヴィーガン」と呼ばれる人もいます。

では、どうしてベジタリアンの人は肉や魚を食べないのか知っていますか?

Animal rightsについて

ベジタリアンが肉や魚を食べない、その理由のひとつが「Animal rights」に関係しています。

「Animal rights」とはなんでしょうか。これは「動物の権利」と日本語に訳されることが多く、

  • 「動物には人間によって搾取(exploitation)されたり苦痛(pain)を与えられたりするようなことがないよう配慮される権利があるという考え」

です。

とても難しいことを言っているように聞こえますが、ベジタリアンに関しては

  • 「人間が食べるために動物を殺すことは不当なことであり、そのような苦痛を動物に与えるべきではないと考えられている」

という捉え方でよいと思います。

動物は痛みを感じますし、生物として生きているのだから人間に殺す権利はないという考え方ですね。

ですので、ベジタリアンになることの一つの理由として、動物の権利を守ることにつながるからと主張する意見が存在します。

Costについて

では次に、「cost」について考えてみましょう。

一般的に肉と野菜はどちらが安いでしょうか。もちろん、何を選ぶかによって変わってきますが、野菜の方が安い傾向にあると思われます。

ベジタリアンになると食費が安く済むという考えとして、食材に払う「コスト」を抑える、という考え方があるようです。

また、下のEnvironment(環境)のキーワードにも関係しますが、人間の勝手で膨らんだ食肉産業や漁業が環境にもたらす環境破壊の「コスト」も考えられます。未来の地球環境を犠牲にした「コスト」を払ってまで過剰に肉や魚を食べることを心配してベジタリアンを選択する人もいます。

Environment(環境)について

あまり普段の生活では意識しないことかもしれませんが、食肉の生産や大量に魚を捕らえる漁業は環境破壊(environmental destruction)につながるという指摘があります。

現在の森林伐採(deforestation)の原因のひとつは

  • 畜産(livestock farming)

だと言われています。

家畜を飼育するためには土地が必要ですが、現在の人類の食肉需要を満たすため、森林を伐採しその土地で食すための動物を育てていると言われています。

また、家畜は

  • 二酸化炭素(carbon dioxide; CO2 )
  • メタンガス(methane)

を多く排出していると言われています。

例えば、動物の食料運搬や食肉自体の運搬に多くの二酸化炭素が排出されていると指摘されています。

また、もっと深刻なのは、家畜(特に牛)のゲップやおならのメタンガスです。メタンガスは地球温暖化の原因の一つでもある温室効果ガスで、牛のメタンガスは実はその大きな割合を占めていて、畜産の中でも特に多く排出しているそうです。

漁業においても、最近では、プラスチック廃棄問題の観点から、「マイクロプラスチック」が海に大量に流れている問題に関連して、漁に使った大量の漁業網の浮遊が海の生態系を壊していることや、魚介類の養殖や乱獲がやはり海の環境を破壊しているという問題もあげられています。

これらの理由からベジタリアンになることは環境保全につながる、という考えがあるのですね。

Health(健康)について

最後は健康についてです。

ベジタリアンになることでの健康への影響は、よい面・悪い面の両方への指摘があります。

健康によい面としては様々な病気になりにくいという指摘があります。

  • 心臓病(heart disease)になりにくくなったり
  • 血圧(blood pressure)が低下したり

と健康面でのよい影響があるとされています。

その一方で、悪い影響もあるのではないか、と言われています。例えば、人間が生きていく上で不可欠の栄養素である

  • タンパク質(protein)

は野菜より肉の方が効率よく摂取できるとされています。

このようにベジタリアンとしての食生活は健康にも大きな影響を与えるようです。

英検ライティング問いに対して賛成・反対どちらで答えても構いません。どちらを選ぶかによって点数が変わることはありません。ただし、どちらを選ぶかによって答えやすさは変わってきます。

英検ライティングは4つのPOINTSのうち2つを使って意見を書きますが、今回は4つとも賛成の立場の方が書きやすくなっているように思います。

英検ライティングでは書いた意見が本当に自分の意見であるかは採点基準ではありません。ですので、例えそれが自分の本当の思いや価値観ではなくても、書きやすい方を選ぶ方がよいと思います。

プロ講師の回答案を紹介!

さて、関連するトピックやキーワードに分けて詳しく説明していきました。 「プロ講師である私であれば、こういう風に回答案を考える!」という構成案を紹介します。

Agreeの場合の構成

Agreeの場合は、以下のような要点があげられます。

  • 肉を食べるために動物を殺すということは受け入れられず、そのような苦痛を動物に与えるべきではない。
  • 肉と野菜では一般的に野菜の方が安いのでベジタリアンになることは経済的である。
  • 家畜を育てる過程で森林伐採や二酸化炭素やメタンガス排出という環境破壊が起こっており、ベジタリアンになることでこれらを避けることができる。
  • 魚を食べないことで、マイクロプラスチックを避け、海の環境を守ることもできる。
  • 肉を食べることは心臓病など健康に悪影響を与えるとされているので、ベジタリアンになれば健康状態が向上する。

Disagreeの場合の構成

Disagreeの場合は、以下のような要点があげられます。

  • 動物の権利を守るためにベジタリアンになるべきという主張があるが、動物にそのような権利を与える必要はない。
  • 一般的に野菜の方が安いとされているが、最近は肉と野菜の値段はほとんど変わらない。
  • 家畜による環境破壊は全体の一部であり、他の面で環境保全はできる。
  • 野菜しか食べないことでタンパク質など必要な栄養素が不足し、健康を害する。

英検準1級ライティング対策(2020年第3回)のまとめ

英検準1級のライティング対策として、2020年第3回のトピックとその回答の構成案などを取り上げていきましたが、いかがでしたか?

英検の資格は、日本に帰ってきたときに英検準1級を受けるためにも、早めの準備をしていきましょう。2級や準2級から順を踏んで挑戦していくことも、問題や形式慣れのためにも大切です。

早めに英検の資格取得しておくことで、

  • 急な帰国になった場合でも焦らずに対策できる!
  • 対策のウェイトが大きくなる数学・国語に勉強時間を使える!

といったように、効率の良い受験対策を進められるようになります。