はじめに
三田国際学園のICコースは、帰国子女の間で非常に人気が高く、毎年高い競争倍率を誇るコースです。
前回の記事では、2025年度入試を振り返りました。すると「英語力が高い」だけでは突破が難しくなってきており、英検準一級を持っていても太刀打ちできないことが明確になりました。特に、ライティングの完成度やSTEM(科学・技術・工学・数学)に関連するトピックへの対応力が、合否を大きく分けています。
そこで本記事では、2025年度の入試を踏まえながら、2026年度に向けてどのように準備を進めればよいかを具体的に解説します。ボリューム満点でお伝えしていますので、ぜひご参考にされてください!
三田国際ICコース帰国生入試の特徴と難易度

ICコースの入試は、他の私立中学とは一線を画す独自性があります。
- 試験時間:60分(非常にタイト)
- 出題構成
- Reasoning(算数・ロジック):算数はアメリカン・カリキュラムに加え、日本の受験算数知識も必要。ロジックパズル的な出題もある。
- Listening(アカデミックなリスニング):英検準1級を超えるレベルで、音源も長め。TOEFLに近いアカデミックな内容が増加。
- Reading(長文読解+記述):科学や社会テーマを題材にした長文。パラフレーズ問題も過去に出題。
- Writing(抽象的テーマのエッセイ):抽象度が高いタスクが出題される点が特徴。15〜20分で完成度の高いエッセイを書く力が必須。
- Reasoning(算数・ロジック):算数はアメリカン・カリキュラムに加え、日本の受験算数知識も必要。ロジックパズル的な出題もある。
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2025年度入試から見えた課題
2025年度の入試分析から、次のような課題が浮かび上がっています。
- 「英検準1級」で安心はできない
実際にはTOEFL的なアカデミック英語力が求められており、準1級レベルでは不足するケースが多い。 - ライティングの完成度が合否を左右
時間内に論理的で具体性のある文章を書き切れたかどうかが、合格者と不合格者を分けた。 - 時間配分の厳しさ
60分で5タスクを解くため、戦略的に「解く順番」「時間の使い方」を決めておかないと途中で崩れる。 - STEM分野への関心がカギ
コンピューターチップや科学反応など、理科的背景知識があるかどうかで理解度に差が出た。
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渋幕帰国子女枠入試攻略法:過去問分析と効果的対策
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Reasoning対策|算数+ロジックを制す

三田国際ICコースのReasoningは、単なる「計算力」を見るものではありません。
算数の基礎を問うだけでなく、受験算数の応用力+ロジカルシンキングを組み合わせて解けるかを試しています。
たとえば「速さ」「割合」「比」といった典型的な中学受験範囲を日本語と英語の両方で解けるようにしておくことが重要です。
さらに、ロジックパズルや数理パズルを使って、「答えにたどり着くまでの筋道を言語化できる力」をつけると、ICコース特有の問題に強くなります。
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Listening対策|TOEFL型で耳を鍛える
2025年度の試験では「化学反応」や「科学技術」に関するリスニングが出題されました。
このことからも、英検準1級で安心してはいけないことがわかります。
- 教材選び:TOEFL iBTの公式問題集や、科学ニュースを扱う英語音源(Science News for Studentsなど)を利用。
- 語彙対策:biology, atom, experiment, hypothesisといった理科系用語をストック。
- 練習方法:シャドーイングで音の流れに慣れ、ディクテーションで正確さを高める。
「聞いた内容をメモして要点をまとめる力」まで鍛えることで、ICコースの長めのリスニングに対応できます。
関連記事:英語は聞けるのにTOEFL Listeningスコアが伸びない理由と解決策
Reading対策|記述力を含めた読解力
ICコースのReadingは、単なる選択問題ではなく「自分の言葉で答える」記述問題が出題されるのが特徴です。
- 背景知識を増やす:科学や社会分野のニュースを英語で読む習慣をつける。
- パラフレーズ練習:文章をそのまま書き写すのではなく、自分の言葉で言い換える練習を繰り返す。
- 短答記述トレーニング:TOEFLやSATのshort answer問題を使って、自分の意見や要約を一文で書く練習をする。
こうした取り組みが、ICコース特有の「要約+記述問題」で生きてきます。
Writing対策|15分で書き切る技術

2025年度入試では「暗記の重要性」について書くタスクが出題されました。こうした抽象度の高いテーマを15分程度で書き上げるのは非常に難易度が高いです。
押さえるべきステップ
- 構成法『PEEL』を使う
- Point(主張):「暗記は重要だ」または「理解の方が大事だ」など明確に立場を取る。
- Explanation(理由):「暗記は基礎知識を支える」「応用には理解が必要」など理由を示す。
- Example(具体例):「歴史の年号暗記」「理科の公式」など身近な例を出す。
- Link(結論):「だから暗記も理解も両方必要」とまとめる。
- Point(主張):「暗記は重要だ」または「理解の方が大事だ」など明確に立場を取る。
- 時間管理:
- 3〜5分で構成を考える
- 10分で本文を書く
- 残り2分で見直し
- 3〜5分で構成を考える
- 練習法:
- 週1〜2本のペースでエッセイを練習し、添削を受ける
- 「抽象テーマリスト」を作り、順番に書いていく
- 週1〜2本のペースでエッセイを練習し、添削を受ける
ライティングは「やりっぱなし」では伸びません。必ず第三者の添削を受け、論理展開の弱さや具体例の不足を指摘してもらうことが重要です。
次の記事では、合否を分けるライティングの対策に絞って、点数の取り方をお伝えします。
関連記事:「英語は話せるのに書けない…」TCK Workshopが教える4つの得点アップ戦略
対策まとめ
Reasoning(算数+ロジック)
- 日本の受験算数の基礎単元を英語でも解けるようにする
- ロジックパズルや推理問題で「思考の柔軟性」を鍛える
- 英語と日本語両方で算数を説明できるようにする
Listening(リスニング)
- 英検準1級レベルでは不足、TOEFLに近い教材で練習
- 科学・技術関連の語彙を重点強化
- シャドーイング・ディクテーションで聞き取る力を伸ばす
Reading(リーディング)
- アカデミック分野(科学・社会)に触れる英文読解
- パラフレーズ(言い換え)の練習
- 記述式回答のトレーニング(短答・要約)
Writing(ライティング)
- PEEL構造(Point, Explanation, Example, Link)の習得
- 15分で完成できるタイムマネジメントを徹底
- 抽象テーマを題材に毎週エッセイ練習
TCK Workshopのサポート
TCK Workshopでは、三田国際ICコースを含む帰国生入試対策を完全1対1指導で行っています。
- 模試演習:実際の試験形式を再現した模試を提供。
- ライティング添削:PEEL構造を意識した実践的フィードバック。
- 科目横断型指導:算数・リスニング・リーディングを一貫サポート。