はじめに

海外育ちで英語力には自信があるけれど、「どんな大学・入試方式が自分に合うのか分からない」という声をよく聞きます。
同じ帰国子女でも、海外での教育背景や得意科目、進学の目的によって「輝ける大学」は異なります。
本記事では、TCK Workshopの大学受験担当講師が語ったウェビナー「海外育ちの強みを活かせ!帰国子女が輝ける大学の見つけ方」の内容をもとに、最新の大学入試制度や英語学位プログラムの情報を整理します。
「英語で学ぶか」「日本語で学ぶか」という最初の選択から、帰国生入試や総合型選抜(旧AO)などの入試方式の違いまで、海外育ちの強みを最大限に生かすための具体的な視点を紹介します。
英語で学ぶ?日本語で学ぶ?最初に決めるべき「学びの言語」
大学選びでまず考えるべきなのは、「英語で学ぶか」「日本語で学ぶか」という点です。
例えば早稲田大学や上智大学では、英語で授業を受けられる「英語学位プログラム(E-Degree Program)」が設けられています。これらのコースではTOEFLやIELTS、SATやIBなどの国際試験スコアが出願要件に含まれ、世界中の学生と英語で議論を交わす環境が整っています。
一方、日本語で学ぶ通常の課程では、「帰国生入試」「海外就学経験者入試」「総合型選抜」などの方式で受験が可能です。これらは英語資格の提出が不要な場合もありますが、小論文や面接、日本語での表現力が重視される傾向があります。
つまり、「どの言語で学びたいか」によって、受験科目・準備内容・必要スコアがまったく異なるのです。
帰国子女が使える4つの入試方式を比較
① 帰国生入試・海外就学経験者入試
海外の学校に一定期間在籍していた生徒を対象とする入試です。名称は大学によって異なりますが、目的はほぼ同じです。しかし帰国生入試の場合は、帰国していることが条件の場合もあるので注意が必要です。
また、上智大学では「海外就学経験者入試」として制度を設け、海外経験で培った資質や語学力を評価します。出願資格は「海外高校に2年以上在籍」など大学ごとに細かく設定されているため、必ず志望校の要項を確認しましょう。他にもグローバル入試という名前で似たような入試方法もあります。
② 英語学位プログラム(E-Degree Program)
英語で学位を取得できるプログラムで、海外大学のようなカリキュラムが特徴です。早稲田大学の国際教養学部(SILS)などでは、出願時にSATやTOEFLスコアの提出が求められ、合格者の平均はSAT約1400点以上、TOEFL100点前後とされています。
また大学によっては志望理由書の他に、課外活動など自己アピールをする書類が必要な場合もあります。国内大学にいながらグローバル環境で学びたい帰国生には、最も人気の高い選択肢です
③ IBディプロマ入試
国際バカロレア(IB)ディプロマを取得している生徒を対象にした入試方式です。書類審査を中心に評価されますが、大学や学部によっては面接や小論文を課すこともあります。IBのスコアが30点台後半以上を求められるケースもあり、英語力と論理的思考の両立が鍵となります。
④ 総合型選抜(旧AO入試)
日本の高校生・帰国生を問わず受験できる入試で、学力試験よりも「人物評価」や「志望動機」が重視されます。英語資格が不要な場合も多く、面接やプレゼン、小論文などで自分の経験をどれだけ具体的に語れるかが合否を分けます。
自分に合った入試方式をどう選ぶ?

「SATやIBのスコアは強いが日本語での論述が不安」「英語資格は高いが活動実績をどう生かすかわからない」など、帰国生の状況はさまざまです。
英語力が高く、論文・ディスカッション中心の授業に興味があるなら英語学位プログラム。活動内容や将来の目標を明確に語れるなら総合型選抜。
一方で、日本語で専門的に学びたい場合は、帰国生入試や日本語課程の学部を選ぶのが適しています。
最も重要なのは自分の強みを最大限に発揮できる方式を選ぶことです。
海外育ちの強みを最大化する出願設計(実践ガイド)
学びの言語と志望分野を最初に決める
英語で学ぶならどの学部が自分に合うのか、日本語で学ぶならどんな専門性を深めたいのか。早めに方向性を定めることで、必要なスコアや提出書類が明確になります。例えば英語学位を目指すなら、TOEFLやSATのスコア目標を早めに設定し、試験日から逆算して学習スケジュールを立てましょう。
大学・学部ごとの書類要件を確認する
同じ大学でも学部によって求められる書類が異なります。たとえば早稲田大学では学部ごとにTOEFLスコアや提出フォーマットが明確に決められています。出願直前のトラブルを防ぐためにも、必ず募集要項を印刷・保存し、提出方法を一覧表にまとめておくことが大切です。
英語資格は「受ける」ではなく「超える」
TOEFL iBTのスコア目標は多くの大学で90〜100点前後。受験を「1回で終わらせる」と考えず、数回の受験を前提にした計画を立てましょう。SpeakingやWritingは録音・添削・再練習のサイクルで改善していくことが効果的です。
標準化試験(SAT・IBなど)のスコア戦略
SATやIBの点数は「数字」以上に、「学びの一貫性」を示す資料です。スコアだけでなく、科目の選び方やエッセイ内容が志望学部の方向性と一致しているかを意識しましょう。
総合型選抜は「再現性のある志望理由」を
総合型選抜では、感情的なアピールよりも「大学の授業・ゼミ内容に基づいた志望理由」が評価されます。志望理由書では「過去の経験→学びたい課題→大学での取り組み→将来の展望」という流れで書くと説得力が高まります。
日本語課程志望なら「小論文」と「面接練習」を同時進行
海外で理数科目を英語で学んできた場合、日本語での表現にギャップが生まれやすいです。日本語で論述する練習を早めに始め、専門用語を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
入学後も「英語力」を武器に成長できる大学を選ぶ

合格はゴールではなくスタートです。
入学後に自分の英語力や国際経験をどのように発揮できるかを見据えて大学を選びましょう。英語による授業比率、国際学生の割合、海外インターン制度などを確認し、「学びが広がる大学」を選ぶことで、入学後の成長が確実に変わります。
英語学位プログラムのある大学は情報アクセスがしやすく、履修設計も柔軟な傾向があります。受験の段階から「入学後の環境」まで視野に入れて選ぶことが、海外育ちの強みを最も生かす大学選びの秘訣です。
最後に:TCK Workshopのサポート
TCK Workshopでは、帰国子女一人ひとりの教育背景や志望校に合わせて、大学受験対策を個別にサポートしています。TOEFL・SAT・IBなどのスコア計画、志望理由書や小論文の添削、面接練習まで、講師が伴走しながら「最短の合格ルート」を設計します。
無料教育相談では、今のスコア状況や志望学部に合わせた具体的なアドバイスを受けることができます。
海外育ちの強みを最大限に生かす大学選びを、一緒に進めていきましょう。

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