日本語作文で点が伸び悩む帰国生へ:課題文型と意見文型それぞれの「型」を習得する最短ルート

海外での生活が長く、多様な経験を持つ帰国生のお子様は、豊かな視点や意見を持っていることが大きな強みです。しかし、日本の帰国生入試、特に日本語作文の試験においては、「自分の考えを論理的かつ採点基準に沿って記述する」というスキルが求められます。この「書き方(型)」を知らないために、「内容は優れているのに高得点に繋がらない」というもったいない結果になってしまうケースが少なくありません。

実際、多くの帰国生のご家庭から次のようなお悩みが寄せられています。

とにかく経験談を長く書いてしまい、論点がずれてしまう

作文の構成がバラバラで、採点官に言いたいことが伝わらない

『時間がない今、何から手をつけるべきか』対策の方向性が見えない

日本語での作文経験が少ない海外在住・帰国生にとって、日本語での論理的な文章構成は、英語や他の資格試験対策とは異なる、独自のアプローチが必要となるのです。

【帰国生受験】日本語作文で「書けるのに点が取れない」本当の理由

帰国生入試における日本語作文は、単なる日本語能力のテストではありません。学校側は、受験生に対して明確な問い(課題)を提示し、それに対して「論理的に答える力」を求めています。特に、多様な文化に触れた帰国生に対しては、海外経験を通じて物事をどう捉え、どう考えるのかという内面的な深さやオリジナリティを重要な評価ポイントとしています

具体的に作文で評価されるのは、主に次の3点です。

  1. 論理的な構成力:話の筋道が明確で、読みやすい構成になっているか。内容が多少拙くても、構成がしっかりしているだけで評価されることがあります。
  2. 内容の質:問いに対する明確な主張(意見)があり、それを支える具体的な根拠や説得力があるか。
  3. あなた独自の視点:一般的な意見や課題文の抜き出しだけでなく、海外経験から得た独自の視点や人間性が盛り込まれているか。

帰国生入試で出題される2つの作文形式

帰国生入試の日本語作文は、出題形式から大きく意見文型課題文型の2つに分けられます。

形式名特徴求められる能力主な出題校(例)
意見文型「あなたにとって〇〇とは何か?」など、抽象的なテーマに対して自分の意見と経験を記述する形式。筋道立てて自分の考えを伝える論理的思考力千里国際中等部、学習院女子中等科など
課題文型評論文や新聞の社説などの文章を読んだ上で、要約や自分の意見を記述する形式。課題文の主張を正確に読み取る読解力と、それに対する自分の意見を述べる論理的思考力広尾学園、市川、渋谷教育学園渋谷など

これら2つの形式は、アプローチこそ異なりますが、自分の考えを理由や具体例とともに、分かりやすく伝えるという本質的なゴールは共通しています。

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作文対策の基礎を固めるためには、まず志望校でどの程度の国語力が求められるのかを知る必要があります。以下の記事では、日本語作文が必要な学校の対策について詳しく解説しています。

・「どれほどの国語力が必要?広尾・かえつ・茗渓など日本語作文が必要な学校の対策!」https://www.tckwshop.com/tckblog/40242-2/

直前期に帰国生が「今やるべきこと」完全整理

直前期の限られた時間で日本語作文の得点を最大化するためには、効率的かつ的を絞った対策が必要です。闇雲な練習ではなく、採点基準を満たすための「型」の習得にフォーカスすべきです。

1. 最重要!作文の「型」を身につける

自己流の記述は論点のズレや分かりにくい構成を招き、減点の原因となります。まずは、作文の骨格となる「型」を完璧に習得し、外さない文章を書けるようにしましょう。この「型」は、意見文型と課題文型で使い分けます。

意見文型:OREO(オレオ)の型

抽象的な問いに対して自分の意見を述べる意見文型では、結論から先に述べることが重要です。「OREO」の型は、結論ファーストで論理的な文章を構成するのに非常に有効です。

  • Opionion(意見):私は〇〇だと思いますと明確に主張を述べる(結論ファースト)。
  • Reason(理由):なぜなら〇〇だからですとその意見の理由を説明する
  • Example(具体例):理由を裏付ける具体的な経験談(特に海外経験)や事例を記述する(ここがボリュームゾーン)。
  • Opinion(結論):以上に述べたことから、私は〇〇だと再度結論を述べて締めくくる

「O→R→E→O」の流れを徹底することで、「結局何が言いたいの?」と採点官を迷わせる文章になることを防ぎ、論理的な構成力を示すことができます。特に帰国生は「E(具体例)」の部分で、海外経験というオリジナリティ溢れる背景を活かすと、他の受験生に差をつける高評価に繋がりやすいです。

課題文型:Y-OREO(ワイオレオ)の型

課題文を読んで意見を述べる課題文型では、まず課題文の主張を正確に理解していることを示す必要があります。

  • Yoyaku(要約):筆者は〇〇と主張していると簡潔にまとめる(読解力の証明)。
  • Opinion(意見):筆者の主張に対して、賛成か反対か自分の立場を明確にする(Yes/No)。
  • Reason(理由):なぜなら〇〇だからですと、自分の意見の理由を説明する
  • Example(具体例):理由を裏付ける具体的な体験談(海外経験など)や事例を記述する。
  • Opinion(結論):以上に述べたことから、〇〇だと再度結論を述べて締めくくる

「Y」のステップを入れることで、採点官に対し「私は課題文の内容を正しく理解した上で、自分の意見を述べています」というメッセージを伝えることができます。

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【次回記事の予告】

次回の記事では、作文で点を伸ばすための実践的なアクションプランを解説します。「型」を使いこなすために必要な海外経験の整理術(STAR記述法)や、質の高いフィードバックの受け方、そしてTCK Workshopの短期集中特別講座についても詳しくご紹介します。

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作文対策は国語力の基礎固めと並行して行うのが理想です。以下の記事では、帰国生の中学受験スケジュールについて、いつ何をすべきかを解説しています。後半記事と合わせて、対策の全体像を把握しましょう。

・「帰国子女の中学受験スケジュール」https://www.tckwshop.com/tckblog/40242-2/

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