渋谷教育学園幕張中学校(渋幕)の帰国生入試は、単に高い英語力だけでなく、論理的思考力と自らを表現する高い自己表現力が合否を分けることが知られています。

TCK Workshopから渋幕中学へ合格を勝ち取った生徒8名の傾向を分析すると、彼らが共通して実践していた、極めて重要な要素が見えてきました。それは、入試全体に占めるウェイト以上に重要度の高い、エッセイと面接における「明確なビジョンと自己アピール」です。

本記事では、渋幕の入試傾向を深く掘り下げ、合格者8名の具体的な共通点に焦点を絞って解説します。合格者が実践していた対策を通じて、渋幕合格を目指すご家庭が、何を、いつまでに、どのように準備すべきか、そのロードマップを明確にすることをおすすめします。

この記事は、TCKworkshop主催のウェビナーを基に作成しています。TCKworkshop公式Youtubeチャンネルでは、指導経験豊富な講師が実際の指導を通して蓄積した帰国生の受験、英語学習などについての情報をお伝えしておりますので、ぜひご覧ください。

合格を掴んだ8名の共通点:エッセイと面接の重要性

英語筆記は前提条件、合否を分けるのは「自己表現」の50点

野澤先生

渋幕の帰国生入試では、英語の筆記試験で高得点を取ることは前提条件にすぎません。合否を分けるのは、配点の割合以上に重要度が高いエッセイと面接での自己表現力です。ここで自身の熱意とビジョンを伝えきることが重要です。

渋幕中学の帰国生入試における評価要素は以下の通りです(募集要項は年度により変更される可能性があるため、必ず学校公式の情報をご確認ください)。

評価項目配点備考
英語(リーディング、リスニング、文法、語彙)100点安定して8割程度の得点が前提となります。
エッセイ(筆答と別時間で実施)30点自身の経験や社会に対する意見を問うユニークなテーマが出題されます。
面接(英語・日本語)20点プリエッセイの内容を掘り下げ、入学への熱意とビジョンを確認します。
書類審査20点

TCK Workshopから合格した8名の生徒の共通点を分析したところ、以下の戦略が明確に見られました。

英語筆記は「8割ライン」を死守

リーディング、リスニング、文法などの英語筆記において、安定して8割程度の得点を確保できていました。これは、入学後にハイレベルな英語の取り出し授業や学業についていくための最低限の能力と見なされます。

エッセイと面接(計50点)で圧倒的な差をつける

筆記で多少目標の8割に届かなくても、エッセイと面接において強い自己アピールと明確なビジョンを伝えられた生徒は合格を勝ち取っていました。渋幕に入学して学びたいという熱意、そして「自調自考」の精神を体現できる人間であることを、この50点満点のパートで示すことが極めて重要です。

    合格者が持つ「明確なビジョン」の磨き方

    合格者の多くが持っていたのは、「渋幕で何を学びたいか」「将来何をしたいか」という明確なビジョンです。面接官は、そのビジョンが渋幕の教育理念と合致しているかを見ています。

    1. エッセイで「個人的な経験」を「社会的な論」に昇華させる

    野澤先生

    エッセイのトピック(例:「火星に文明を作るなら、どのような3つの法律を作るか」)は、一見突飛に見えますが、これは受験生が何に情熱を持ち、どのような社会問題に意識を向けているかを知るためのものです。

    合格者は、単にトピックに対する一般論を述べるのではなく、自身の海外経験やボランティア、旅行などの経験と、トピックを深く関連付けて論じていました。

    具体例

    「海外で差別的な出来事に直面し大変な思いをしたから、誰も大変な思いをしないように、こういう人権を尊重する法律を火星で作りたい」といったように、パーソナルな出来事から普遍的な社会問題を論じる構造を作り上げていました。

    対策

    自分の経験や社会問題への関心をリストアップし、それらを論理的な文章構造(序論・本論・結論)に落とし込むアカデミック・ライティングの訓練を徹底することが重要です。

    エッセイで点数を伸ばすための具体的な戦略については、こちらの記事も参考にすることをおすすめします。流暢な会話力があってもライティングでつまずく原因を分析し、アカデミックな文章力を磨くための具体的な方法を解説しています。

    2. 面接は「プリエッセイ」を軸に徹底準備

    野澤先生

    面接は基本的に、願書提出時に提出するプリエッセイの内容を掘り下げて聞かれます。プリエッセイで書いた内容について、想定される質問の答えをすべて準備できていた生徒は、本番で落ち着いて対応し、合格を掴んでいました。

    合格者の面接対策は、「事前準備の徹底」に尽きます。

    プリエッセイの徹底分析

    プリエッセイで書いた全ての主張に対し、「なぜそう考えたのか?」「具体的なエピソードは?」「渋幕でどう貢献したいのか?」といった掘り下げ質問をリストアップし、回答を準備します。

    熱意の伝達

    面接官は、生徒の「渋幕で学びたい」という熱意と「自調自考」の精神を見るため、素直に、自分の言葉で、特別な部分を活かして何をしたいかを伝えられる練習が必須です。

    模擬面接の反復

    英語と日本語の両方で、本番を想定した模擬面接を繰り返し行い、緊張感の中で自分の考えをスムーズに表現する訓練を積むことが重要です。

    英語筆記:感覚的な英語からの脱却

    合格者の中には、英語力が非常に高いにもかかわらず、文法やリーディングの特定分野でつまずく生徒もいました。合格者は、それを乗り越えるための体系的な学習を行っていました。

    文法(グラマー):体系的な知識の再構築

    海外で生活し、感覚的に英語を身につけた帰国生は、渋幕で問われるような誤文訂正や正確な文法知識を問う問題に苦戦しがちです。

    • 合格者の実践: 感覚に頼るのではなく、帰国生向けの教材を使って体系的に文法ルールを学び直していました。「なぜこの文法が正しいのか」を論理的に説明できるレベルを目指し減点されない正確な英語力を確立していました。

    リーディング:ジャンル対応力と国語的読解力

    渋幕のリーディングは、TOEFLなどと異なりフィクションとノンフィクションの両方が出題されるのが特徴です。

    • 合格者の実践: 物語の一部だけが出題されるフィクション問題に対し、登場人物の感情や物語のトーン(調子)を正確に読み取る訓練を重ねていました。これは、日本語の国語の読解力に近いスキルであり、幅広いジャンルの文章に触れ、主題を把握する練習を徹底していました。

    資格試験対策について、より詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にすることをおすすめします。小学生から高校生まで、それぞれの年代に応じた効果的なTOEFL対策の進め方を解説しています。


    TCK Workshopの渋幕対策講座

    TCK Workshopでは、渋幕の入試傾向、特にエッセイと面接の重要性を熟知したプロ講師による個別指導を提供しています。

    • プリエッセイ・面接 集中対策: 過去の合格事例に基づき、生徒のパーソナルな経験を最大限に引き出し、採点官の心に響くエッセイと回答を作成する個別指導を行います。
    • 文法・読解 体系化サポート: 感覚的な英語力から脱却し、渋幕のハイレベルな試験で安定して得点できるアカデミックな英語力(文法、語彙、精読)を体系的に身につけるための指導を行います。
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    渋幕模試のご紹介

    現在、TCK Workshopでは渋幕模試をご提供しています。これは渋幕の入試形式を徹底的に分析し、多くの合格者を輩出した野澤講師監修のもと作成された模擬試験です。

    演習量を増やしたい方、現在の実力と渋幕が求めるレベルとのギャップを知りたい方に最適な模試です。模試受験後には、プレミアム講師による45分の解説授業(オプション)も受講可能です。模試を単なる力試しで終わらせず、その後の学習計画に活かすことをおすすめします。

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    まとめ

    • 英語筆記で8割の安定した得点を確保しつつ、エッセイと面接(計50点)で圧倒的な差をつける戦略を取ること。
    • エッセイでは、自分の経験を「社会的な論」に昇華させ、説得力のある自己アピールを行うこと。
    • 面接は、プリエッセイを軸に徹底的な事前準備を行い、入学への明確なビジョンと熱意を伝えること。
    • 英語筆記対策では、文法などを感覚から体系的な知識に学び直し、正確性を高めること。

    これらの対策を効率的かつ確実に行うためには、渋幕入試の特性を熟知した専門家のサポートが非常に有効です。

    現在、海外にお住まいの方や、受験対策の方向性に悩んでいる方は、ぜひ一度、TCK Workshopの無料教育相談をご利用いただくことをおすすめします。お子様の状況に合わせたオーダーメイドの学習プランをご提案いたします。

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