TCK Workshopでは、実際にIBプログラムを修了し、見事海外大学の医学部合格を勝ち取った先輩講師が在籍しています。今回は、その先輩講師へのインタビューをもとに、IB生がいかにして医学部という難関を突破したのか、その軌跡をご紹介します。特に、いつから準備を始めたのか、どのような課外活動が評価されたのか、そしてIBと医学部受験を両立させる秘訣について、具体的な体験談を交えて解説します。これから医学部を目指す後輩の皆さんにとって、合格への道しるべとなるはずです。

TCK Workshop プレミアム講師。英国滞在歴20年以上。小・中・高から大学(King’s College London)、大学院(University College London)に至るまで、すべての教育課程をロンドンで修了した「英国教育のスペシャリスト」。 GCSE / A-Levels などの英国カリキュラム指導はもちろん、IB DP Biology等の理数科目、さらに英国大学への出願(UK University Application)サポートまで、現地の実体験に基づいた最高レベルの指導を提供する。
この記事は、TCKworkshop主催のウェビナーを基に作成しています。TCKworkshop公式Youtubeチャンネルでは、指導経験豊富な講師が実際の指導を通して蓄積した帰国生の受験、英語学習などについての情報をお伝えしておりますので、ぜひご覧ください。
医学部への興味とIB開始前の重要な準備期間

IBプログラムが本格的に始まると、日々の学習や課題に追われることになります。そのため、医学部を目指す生徒さんにとっては、IBが始まる前の時期をいかに過ごすかが、その後の進路決定に大きな影響を与えます。ここでは、先輩が医学部受験を決意するに至った経緯と、その時期に行った重要なアクションについてご紹介します。
迷いを断ち切るための「職業体験(Work Experience)」
先輩が医学部に興味を持ち始めたのは中学の終わり頃でしたが、実際に「医師になる」という決意を固めたのは、IGCSEが終わり、IBが始まる前の夏休みでした。この時期に、単なる憧れではなく、本当に自分が医師として生涯働いていけるのかを確認するために、インドで2週間の職業体験に参加したそうです。
現地では小学校でのボランティア活動に加え、病院で様々な診療科を回る「シャドイング」を行いました。実際の医療現場に身を置き、医師の働き方を間近で見ることで、「自分は本当に医師として働きたいんだ」という強い確信を得ることができたといいます。

進路に迷いがある場合、IBが始まる前の比較的時間が取れる時期に、現場を見る体験をすることをおすすめします。この時の「実感」や「エピソード」は、後の出願書類(パーソナルステートメント)作成時に、非常に強力な武器となります。
どんな形であれ「医療に触れる」ことの重要性
先輩の事例では海外での現地体験でしたが、重要なのは「場所」ではなく「医療現場の実情を知ろうとする姿勢」です。先輩はIB1年目終了後の休みにも、イギリスのMedical Schoolが主催するオンラインの職業体験に参加しています。
コロナ禍以降、病院での対面実習が難しい時期もありましたが、現在ではオンラインで参加できるWork Experienceのプログラムも多数存在します。オンラインであっても、その国の医療制度の歴史を学んだり、医師の具体的な業務フローを理解したりすることは十分に可能です。費用や移動の制約がある場合でも、諦めずにオンラインのオプションを探し、少しでも医療の世界に触れておくことをおすすめします。
海外医学部合格のための具体的な対策

IB生が海外の医学部、特にイギリスなどの競争率が高い大学を目指す場合、IBの好成績は大前提として、それ以外にも戦略的な準備が不可欠です。ここでは、合格を勝ち取るために必要な3つの具体的な対策について詳しく解説していきます。
1. 出願のチャンスを逃さない!早期のスケジュール管理
海外大学、特にイギリスの医学部受験において最も注意すべき点は、出願時期の早さです。一般的な学部への出願締め切りが1月であるのに対し、医学部(およびオックスフォード・ケンブリッジ大学)への出願は、例年10月15日が締め切りとなります。
これは、IB 2年目の1学期が始まってすぐのタイミングです。つまり、夏休みが終わる頃には、出願書類の大部分が完成していなければなりません。先輩の場合も、IB 1年目の終わり頃から大学のリサーチを始め、夏休み中に出願書類の準備を進めていました。もし「IBの勉強が落ち着いてから」と考えていると、手遅れになってしまう可能性があります。

周りの友人がまだ進路に悩んでいる時期に、医学部志望者はすでに出願を完了させなければなりません。この「時間軸のズレ」を意識し、自分だけのスケジュールを確立することが、精神的な余裕を生みます。
2. 志望動機書(Personal Statement)を磨くための読書戦略
医学部の審査官は、成績優秀な応募者の中から、「医師としての適性」や「人間性」を持つ学生を選抜したいと考えています。これをアピールする場がパーソナルステートメント(志望動機書)であり、その質を高めるために非常に有効なのが「専門的な読書」です。
先輩のインタビューでは、以下の3冊がおすすめとして挙げられていました。
- 『Do No Harm』 (Henry Marsh):イギリスの脳神経外科医による回顧録。医師としての苦悩やミスの可能性についても赤裸々に語られており、医療の現実を知る上で必読とされています。
- 『When Breath Becomes Air』 (Paul Kalanithi):若くして末期がんを患ったアメリカの脳神経外科医の手記。医師として、そして患者として死と向き合った記録は、生命倫理や医師の使命について深く考える材料となります。
- 『This Is Going to Hurt』 (Adam Kay):元産婦人科医のコメディアンが書いた日記形式の本。ユーモアを交えつつも、長時間労働や精神的なプレッシャーなど、医師の過酷な労働環境がリアルに描かれています。
これらの本を読むことは、単に知識を得るだけでなく、「医師という職業の光と影の両方を理解した上で、それでも医師になりたい」という覚悟を示すことに繋がります。面接では「最近読んだ医療関連の本は?」と聞かれることも多いため、感想や自分がどう考えたかをまとめておくことをおすすめします。学校の授業だけではカバーしきれない「医療への深い関心」を示すために、ぜひこれらの書籍を手に取ってみてください。
医学部入学後のリアルな生活とIBの恩恵

晴れて医学部に入学した後、どのような生活が待っているのでしょうか。IBでの過酷な学習経験は、医学部での学びにどのように活きるのか、先輩の体験談から紐解きます。
授業と自習のメリハリある生活
医学部のスケジュールは非常に過密だと思われがちですが、先輩によると「毎日朝から晩まで学校に拘束されるわけではない」とのことです。日によっては午前中だけで授業が終わることもあり、IB時代のように毎日決まった時間に登校するスタイルとは異なります。
しかし、自由な時間が多いということは、それだけ自習が求められるということです。授業の空き時間は図書館やカフェテリアにこもり、膨大な医学知識をインプットしていたそうです。ここで活きてくるのが、IB時代に培ったタイムマネジメント能力です。自分で課題を見つけ、計画的に学習を進める姿勢は、IB生がすでに身につけている強みと言えるでしょう。
海外大学ならではの研究機会と臨床経験
先輩が海外の医学部を選んで良かったと感じる最大のポイントは、豊富な研究機会と臨床経験です。例えば、医学部のカリキュラムの途中で1年間別の国に行き、公衆衛生などの学位を取得できる制度(Intercalated Degreeなど)を利用することができます。先輩自身も、この制度を使ってやりたかった研究に没頭する貴重な機会を得たそうです。
また、入学後の早い段階から病院での実習が始まり、患者さんと接する機会が多く設けられています。座学だけでなく、実践を通じて学ぶことを重視する教育スタイルは、好奇心旺盛なIB生にとって非常に刺激的な環境と言えるでしょう。

海外の医学部では、学生の自主性が尊重されます。「これをやりたい」と手を挙げれば、研究や実習のチャンスを与えてくれる環境が整っています。IBで培った探究心を存分に発揮できる場所です。
まとめ
IBから海外医学部への進学は、決して不可能な挑戦ではありません。先輩の体験談から見えてきた合格への鍵をまとめます。
- 早期の決断と行動:IB開始前に職業体験やシャドイングを行い、医師への志を固めることが重要です。
- 情報収集とスケジュール管理:医学部の出願は10月中旬と早いため、IB 1年目からリサーチを開始し、UCATなどの試験対策を計画的に進めることが不可欠です。
- 読書による差別化:医師の自伝や医療ノンフィクションを読み込み、パーソナルステートメントや面接で「医師としての覚悟」を示すことが評価に繋がります。
- IBでの学びを信じる:TOKやEEで培った思考力や探究心は、医学部入試だけでなく、入学後の研究や臨床でも大きな武器となります。
TCK Workshopでは、IBカリキュラムを熟知し、海外医学部受験を経験したプロの講師が、学習指導から出願サポートまで一貫して行っています。一人ひとりの志望校や学習状況に合わせたサポートで、夢の実現を後押しします。
無料教育相談では、現在の成績や志望校に合わせた具体的な学習プランをご提案しています。医学部受験に向けて何から始めるべきか迷っている方は、ぜひ一度ご相談ください。
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次回予告
次回は先輩のインタビューをもとに、医学部進学において会議大学と国内大学のどちらが良いのかを徹底比較します!

