海外の高校を卒業する時期や、インターナショナルスクールのカレンダーに合わせて大学進学を考える際、最もスムーズな選択肢となるのが「秋入学(9月入学)」です。かつては限られた大学だけの制度でしたが、現在では早稲田大学や慶應義塾大学、上智大学など、多くの名門大学が英語で学位を取得できるプログラムや秋入学制度を充実させています。

本記事では、帰国生受験のプロであるTCK Workshopが、2025年度入試に向けた最新情報を基に、秋入学を実施している主要大学を一覧でご紹介します。それぞれの大学の特徴や入試のポイントを整理しましたので、志望校選びの参考にしてください。

入試情報は年度によって変更される可能性があるため、出願前には必ず各大学の公式サイトで最新の募集要項(Application Guidelines)をご確認ください。

松竹先生

講師:松竹 桃太郎

 TCK Workshop プレミアム講師。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業。 高校受験の失敗や通信制高校での学習を経て、コミカレから名門UCLAへ這い上がった「逆転合格」の体現者。 自身の経験を体系化したメソッドで、帰国子女受験(英・数・国)から、各種英語資格(英検・TOEFL・IELTS・SAT)、さらに米国大学出願の志望理由書・エッセイ添削まで幅広く指導を担当。特に「英語嫌い」の克服と、海外大学進学の戦略立案に定評がある。

    日本の大学で秋入学(9月入学)できる主な大学一覧

    まずは、秋入学を実施している代表的な大学と、その選考の特徴を一覧でご紹介します。多くの大学が書類選考を重視しており、海外大学との併願もしやすい傾向にあります。

    大学名学部・プログラム名主な選考方法英語学位特徴
    早稲田大学国際教養学部 (SILS)書類審査 (面接は一部のみ)圧倒的な人気と知名度。1年間の留学が必須。
    慶應義塾大学総合政策・環境情報学部 (GIGA)書類審査 + ビデオテクノロジーと政策を融合。自由なカリキュラム。
    上智大学SPSF (6学科共通)書類審査のみ (必要に応じて面接試験あり)サステナビリティをテーマに専門分野を英語で学ぶ。
    立命館大学GLA / GS / CRPS書類 + 面接 (学部による)オーストラリア国立大とのデュアル学位(GLA)などが人気。
    国際基督教大学教養学部 (ICU)書類審査のみリベラルアーツの先駆。入学後の日本語学習が必須。
    立命館アジア太平洋大学アジア太平洋 / 国際経営など書類 + オンライン面接学生の半数が留学生。多文化環境での実践的学び。
    国際教養大学国際教養学部 (AIU)書類 + 英語小論文 + 面接全授業英語・全寮制の公立大。ギャップイヤー入試あり。

    各大学の秋入学プログラム詳細と対策ポイント

    国際的な大学のイメージ

    ここからは、各大学の入試内容について詳しく解説します。大学ごとに求められる要素が異なるため、自分の強みに合った大学を見つけることが合格への近道です。

    早稲田大学 国際教養学部 (SILS)

    国内のリベラルアーツ教育を牽引する早稲田大学SILSは、学生の約3割が留学生という国際的な環境です。9月入学の募集人数は4月入学よりも多く、海外生やインター生がメインとなる入試です。

    項目内容
    募集人数9月入学:約150名
    出願時期 (目安)早期:1月上旬〜中旬 / 通常:1月中旬〜2月中旬
    選考方法書類審査が中心 (面接は必要と判断された場合のみ実施)
    英語要件TOEFL iBT, IELTSなどの提出必須
    統一試験SAT, IBDPなどのスコア提出必須
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    SILSの9月入学は、基本的に「書類審査のみ」で合否が決まるケースが大半です。そのため、SATやIBのスコアはもちろんですが、志望理由書の完成度が合否を大きく左右します。「なぜSILSでなければならないのか」を、自身の経験と結びつけて説得力を持って語れるよう準備することをおすすめします。

    【関連記事】秋入学を目指す上で欠かせないのが志望理由書の質です。こちらの記事では志望理由書の書き方についてまとめています。

    立命館大学 AO英語基準入試 (GLA / GS / CRPS)

    関西エリアで積極的に英語学位プログラムを展開している立命館大学。特にオーストラリア国立大学とのデュアルディグリーが取得できるグローバル教養学部(GLA)は人気が高まっています。

    項目内容
    募集学部GLA (グローバル教養)、GS (国際関係)、CRPS (政策科学)
    募集人数各学部30名前後 (各回合計)
    出願時期 (目安)10月、12月、2月など複数回実施
    選考方法一次:書類審査 / 二次:オンライン面接 (GLAは口頭試問含む場合あり)
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    GLAはオーストラリアの名門大学の学位も同時に取れるため難易度も高めですが、GSやCRPSは比較的併願しやすく、自分の興味分野に合わせて選べるのが魅力です。いずれも面接が課されるため、書類作成だけでなく、英語で自分の意見を論理的に伝えるスピーキング対策が重要になってきます。

    上智大学 SPSF (Sophia Program for Sustainable Futures)

    国際的な大学のイメージ

    2020年から始まったSPSFは、ジャーナリズムや経済、教育といった専門分野を「サステナビリティ」という切り口で英語で学ぶプログラムです。

    項目内容
    募集学部新聞、教育、社会、経済、経営、総合グローバル
    募集人数各学科若干名
    出願時期 (目安)11月中旬、3月中旬の年2回
    選考方法書類審査のみ (必要に応じて面接あり)
    統一試験SAT, IBDP, ACT, GCE A-level等のスコア提出必須
    松竹先生

    SPSFの最大の特徴は、面接試験がなく書類選考のみで合否が決まる点です。海外に住んでいて時差の調整が難しい場合でも出願しやすいでしょう。どの学科に出願する場合でも、自分の学びたい専門分野と「サステナビリティ」をどう結びつけて考えているかをエッセイでアピールすることが合格の鍵となります。

    立命館アジア太平洋大学 (APU) 秋期入試

    学生の半数が留学生という圧倒的な多文化環境が特徴のAPU。別府という立地ながら、世界中から学生が集まるグローバルキャンパスです。

    項目内容
    募集学部アジア太平洋学部、国際経営学部、サステイナビリティ観光学部
    出願時期 (目安)12月、3月など複数回実施
    選考方法書類審査 + オンライン個人面接
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    APUの入試は、学力スコアだけでなく「人物重視」の傾向があります。面接では、これまでの活動実績や、APUの多文化環境でどう成長したいかという意欲が深く問われます。帰国生入試以外にも「活動実績アピール入試」など自分に合った方式を選べるのがメリットと言えるでしょう。

    慶應義塾大学 総合政策・環境情報学部 (GIGAプログラム)

    SFC(湘南藤沢キャンパス)で行われる英語学位プログラムです。テクノロジー、デザイン、政策などを横断的に学び、課題解決能力を養います。

    項目内容
    入試名称Winter AO (Global) [GIGA Program]
    募集人数各学部・全日程合計で約150名
    出願時期 (目安)12月〜1月下旬
    選考方法書類審査 + 3分間のプレゼンテーションビデオ (面接なし)
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    GIGAプログラムのGlobal方式では、面接が行われない代わりに、出願時に提出する「3分間のプレゼンテーションビデオ」が非常に重視されます。単に成績が良いだけでなく、「この技術を使って社会をこう変えたい」という強いビジョンやクリエイティビティを持っている生徒が評価される傾向にあります。

    国際基督教大学 (ICU) ユニヴァーサル・アドミッションズ

    国際的な大学のイメージ

    少人数教育を徹底するリベラルアーツ・カレッジの雄、ICU。9月入学者は英語で学び始めますが、卒業までに日本語能力も磨くカリキュラムになっています。

    項目内容
    入試名称English Language Based Admissions
    募集人数約120名 (全方式合計)
    出願時期 (目安)1月、2月〜3月の2回
    選考方法書類審査のみ
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    ICUは対話を重視する大学ですが、9月入学のこの方式では書類選考のみとなります。特徴的なのは、入学後に日本語教育プログラム(JLP)を受ける必要がある点です。英語だけで楽に卒業したいという動機ではなく、日英両言語での高い運用能力を目指し、真の教養を身につけたい人におすすめの環境です。

    国際教養大学 (AIU)

    秋田県にある公立大学で、すべての授業が英語、1年間の留学義務、全寮制という徹底したグローバル教育で知られます。

    項目内容
    入試方式総合選抜型入試II、ギャップイヤー入試など
    募集人数各方式5名程度
    出願時期 (目安)ギャップイヤー 11月頃 / 総合選抜II 7月頃
    選考方法書類審査 + 英語小論文 + 面接
    松竹先生

    AIUの9月入学枠は人数が少ないため狭き門ですが、公立大学ならではの学費の安さと教育の質は大きな魅力です。特にユニークなのが「ギャップイヤー入試」です。高校卒業から9月入学までの期間にボランティアやインターンなどの活動を行うことを前提とした入試で、主体的に行動できる生徒を求めています。

    【関連記事】英語学位が学べる大学はこちらの記事にまとめています。

    日本の大学に9月入学するメリットとデメリット

    国際的な大学のイメージ

    志望校を検討するにあたり、9月入学の特徴を改めて整理しておきましょう。メリットだけでなく、懸念点も理解した上で準備を進めることが大切です。

    書類審査中心で海外大学との併願がスムーズ

    日本の大学の一般入試(4月入学)は独自の筆記試験対策が必要ですが、秋入学の多くは書類審査が中心です。SATやTOEFLのスコアをそのまま使えるため、アメリカやイギリスの大学を目指しながら、日本の大学も選択肢に入れることが可能です。「最後まで海外進学か日本進学か迷いたい」という方にとっても、負担なく併願できる点は大きなメリットです。

    真の英語力が身につく教育環境

    紹介した大学の多くは、授業がすべて英語で行われます。留学生も多く、ディスカッションやプレゼンテーションが日常的に行われるため英語を「学ぶ」のではなく、英語「で」専門分野を学ぶ力が身につきます。将来、グローバルに活躍したいと考えている学生にとっては理想的な環境と言えるでしょう。

    日本の就職活動スケジュールとのズレ

    日本の企業の多くは4月入社が基本です。9月卒業の場合、翌年4月まで半年間の空白期間(ギャップイヤー)ができることがあります。しかし、近年では秋採用を行う企業も増えていますし、この期間を長期インターンや資格取得に充てるなど、ポジティブに活用する学生も増えています。

    合格への最短ルート!TCK Workshopのサポート

    秋入学(9月入学)の入試は、偏差値だけで決まるものではありません。「なぜその大学で学びたいのか」という熱意と、それを裏付ける英語力・論理的思考力が問われます。

    TCK Workshopでは、帰国生・海外生専門のオンライン家庭教師として、秋入学を目指す生徒様を全力でサポートしています。

    • TOEFL / IELTS 対策:目標スコアを突破するための、弱点分析に基づいた集中指導を行います。
    • SAT / IB / AP 指導:出願書類の核となる統一試験のスコアアップをサポートします。
    • エッセイ・志望理由書 添削:大学ごとの特徴に合わせ、あなたの経験を魅力的なストーリーに変えるお手伝いをします。
    • 面接対策:英語での論理的な受け答えと、自信を持って話すための模擬面接を実施します。

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    まとめ

    本記事でご紹介した通り、日本の大学への9月入学は、帰国生やインター生にとって非常に魅力的な選択肢です。

    • 秋入学は書類選考が中心で、海外大との併願もスムーズです。
    • 早稲田SILS、上智SPSF、慶應GIGAなど、大学ごとに選考方法(面接の有無など)やカリキュラムが大きく異なります。
    • 合格の鍵は、高い英語スコアと、論理的で一貫性のある志望理由書です。

    最新の入試要項を確認し、余裕を持ったスケジュールで対策を始めましょう。

    入試情報は年度によって変更される可能性があるため、出願前には必ず各大学の公式サイトで最新の募集要項(Application Guidelines)をご確認ください。

    参照

    大学名ページ名URL
    早稲田大学国際教養学部 入試要項(AO入学試験)https://www.waseda.jp/fire/sils/applicants/admission/
    立命館大学English-medium Undergraduate Programs Application Guidelineshttp://en.ritsumeikan-e-apply.jp/
    上智大学SPSF Application Guidelineshttps://www.sophia.ac.jp/eng/admissions/ug_p/spsf/
    立命館アジア太平洋大学 (APU)Undergraduate Admissions (International / Domestic)https://admission.apu.ac.jp/
    慶應義塾大学SFC GIGA Program Admissionshttps://giga.sfc.keio.ac.jp/admissions/
    国際基督教大学 (ICU)Universal Admissions (English Language Based)https://www.icu.ac.jp/en/admissions/undergraduate/engdoc/
    国際教養大学 (AIU)入試情報https://web.aiu.ac.jp/undergraduate/admission/