前回の記事では、8月入学の海外生、インター生に向けて5月試験に対応するIBDP2年間のスケジュールをご紹介しました。

「日本の高校生活とIB、両立できるの?」 「国内大学の入試時期とIBの試験が被るって本当?」

国内のIB認定校(一条校など)に通う生徒さんにとって、IBDP(国際バカロレア)の取得は、日本の一般的な高校生とは全く異なる「戦略」が必要な挑戦です。

特に11月試験(November Exam)のスケジュールの場合、「IBの最終試験」と「国内大学の総合型選抜(旧AO入試)」の時期が直撃するため、高3の秋は想像を絶する忙しさになります。

この記事では、これからIBを始める新DP生(および保護者様)のために、専門用語を解説しながら、国内IB生の2年間のスケジュールを徹底整理しました。

岡留先生

講師:岡留 智史

TCK Workshop代表取締役、特別講師。ニューヨーク、サンフランシスコに滞在したのち帰国生の名門校である東京学芸大学附属高校に入学。早稲田大学の創造理工学部を卒業。TCK WorkshopではIB math、SAT、A-levels Physicsなど海外カリキュラムの理数科目の指導を中心に指導を担当。

    こちらのスケジュールはあくまで概観です。細かいスケジュールなどは学校によって変わる可能性があるので、学校の案内を必ず確認してください。


    まずはここから!IB攻略のための「用語の基礎知識」

    スケジュールを見る前に、頻出する「IB用語」を押さえておきましょう。これを知っているだけで、学校の説明がぐっと分かりやすくなります。

    IBの用語についてのイメージ

    1. 科目のレベル:HLとSL

    IBでは6教科を選択しますが、それぞれレベルを決めます。

    • HL (Higher Level / ハイヤーレベル): 専門的で高度な内容。240時間の学習。3〜4科目選択。
    • SL (Standard Level / スタンダードレベル): 標準的な内容。150時間の学習。2〜3科目選択。
    岡留先生

    大学の学部によっては「MathはHLでの履修が必須」などの条件があるため、科目選択は慎重に行う必要があります。

    2. コア(Core)の3要素

    教科の勉強とは別に、全員が必ずやらなければならない3つの活動です。

    • EE (Extended Essay / 課題論文): 自分の好きな科目を一つ選び、4000語(英語の場合)の論文を書く活動。「ミニ卒論」のようなイメージです。
    • TOK (Theory of Knowledge / 知の理論): 「知識とは何か?」「どうやってそれを知ったのか?」を哲学的に考える授業。展示(Exhibition)とエッセイで評価されます。
    • CAS (Creativity, Activity, Service): 創造的活動、運動、奉仕活動(ボランティアなど)。点数にはなりませんが、これをクリアしないと卒業できません。

    3. IA (Internal Assessment / 内部評価)

    最終試験(テスト)だけでなく、授業内で行うレポートや口頭試験も成績に含まれます。これをIAと呼びます。テスト一発勝負ではないので、コツコツ努力する生徒には有利ですが、締切が重なると地獄を見ます。


    【概観】国内DP生(4月入学・11月試験)の全体像

    国内スタイルの最大の特徴は以下の2点です。

    1. 高3の夏休み(DP2の夏)が「受験勉強」と「IB」のダブルピーク
    2. 11月の最終試験中に、大学の面接や合格発表がある

    それでは、時期ごとの詳細を見ていきましょう。


     DP1(1年目):高2の4月 〜 3月

    〜基礎固めと英語資格の早期取得〜

    IBDP国内生の1年目のスケジュールのイメージ

    高2のうちはまだ試験まで時間があるように感じますが、ここで「英語」と「探究スキル」を身につけておかないと後が苦しくなります。

     4月〜8月:IBモードへの切り替え

    日本の高校1年生までの「暗記型」の勉強から、IB特有の「記述・論述型」の頭に切り替える時期です。

    • 科目選択: HL/SLを決定します。
    • 英語資格の取得: 国内大学入試(総合型選抜)では、英検準1級〜1級、TOEFLなどのスコアが強い武器になります。IBが忙しくなる前に、高2の夏までにスコアを取っておくのが鉄則です。
    • CASスタート: 部活動をCASに組み込むなど、効率的な計画を立てましょう。

     9月〜12月:重要課題のテーマ決め

    EE(論文)やIA(レポート)の種まき期間です。

    • EEのテーマ検討: どの科目で何を書くかを決め始めます。
      • 例:日本語A(文学)で好きな作家の研究をする、生物で身近な植物の実験をする、など。
    • TOK展示 (Exhibition): 学校によってはDP1の後半で、TOKの内部評価である「展示」を実施します。

     1月〜3月:EE執筆開始と進路決定

    高2の冬、いよいよ本格的な執筆が始まります。

    • EE・IAの下書き: 春休みに入る前に、ある程度の構成や実験データを揃えておく必要があります。
    • 進路決定: 志望大学を具体的にリストアップし、必要な科目の成績(Predicted Gradesの目標値)を確認します。

    DP2(2年目):高3の4月 〜 11月

    〜「大学入試」と「IB最終試験」の激突〜

    IBDP国内生の2年目のスケジュールのイメージ

    ここからは怒涛のスケジュールです。精神力と体力勝負になります。

     4月〜6月:IAラッシュと模擬試験

    • Mock Exam (模擬試験): 模擬試験は夏休み前と夏休み明けに実施する学校があり、夏休み前の場合だと6月頃に実施されます。この成績が、大学に出願するための「調査書」や「予想スコア」に大きく影響します。
    • IA (レポート) 作成: 各教科のレポート提出期限が五月雨式にやってきます。

    地獄の夏:志望理由書 vs IBの勉強 vs 模試対策

    一般的な受験生は「夏は受験勉強!」ですが、IB生はそれに加えて「EEとIAの完成」と、「休み明けのMock Exam対策」が重くのしかかります。

    • Mock Exam(模擬試験)の準備: 夏休み明けに模擬試験を行う学校の場合、多くの場合9月にMock Examが実施されますこの成績が大学出願用の「Predicted Grade(予測スコア)」の決定打となるため、実質的に「夏休み中に全範囲の総復習」を完了させる必要があります。
    • EE (論文) の完成: 夏休み明けには最終提出が待っています。ここで書き上げます。
    • 大学出願書類の作成: 総合型選抜(AO入試)の出願は9月〜10月。志望理由書(数千字)を何度も書き直す必要があります。
    岡留先生

    一人で全てを完璧にやるのは不可能に近いです。「大学書類はプロに見てもらう」「IBの苦手科目は家庭教師をつける」など、他人の手を借りて時間を確保する戦略が合格への鍵です。

     9月〜10月:Mock Exam、出願、そして最後の仕上げ

    • Mock Exam (模擬試験): 夏休み明け早々に実施されます。本番同様の形式で行われ、この結果で大学に送る成績が決まります。
    • EE・IA最終提出: これらをIB本部に送付します。これで筆記試験以外の評価は確定します。
    • 国内大学出願: 総合型選抜の出願ラッシュです。
    • TOKエッセイ: TOKの最終課題もこの時期に仕上げます。

     11月:Final Exam(最終試験)

    〜世界統一試験と入試の並走〜

    約3週間にわたるIBの最終試験(Final Exam)が行われます。 最も過酷なのは、「IBの試験期間中に、大学の二次試験(面接など)がある」あるいは「IBの試験勉強中に、大学の合格発表がある」というケースです。メンタルコントロールが非常に重要になります。


     試験後:12月〜3月

    〜結果発表と一般入試〜

    • 1月上旬: IBの最終スコア(成績)が発表されます。
    • 一般入試: 総合型選抜で決まらなかった場合や、国公立大学を目指す場合は、ここから共通テストや一般入試に向けた勉強(またはIB枠での出願)へシフトします。
    • 海外大出願: オーストラリアなどの南半球や、韓国などの大学を目指す場合はこの時期から出願が本格化します。

    まとめ

    国内IB生の最大の敵は「スケジュールの重複」です。

    日本の大学入試システム(秋の総合型選抜や帰国生入試)と、IBの11月試験は、時期が完全に被っています。「IBの勉強をしていたら志望理由書が書けない」「志望理由書を書いていたらIBの成績が落ちた」というジレンマに陥らないよう、高2のうちから前倒しで進めることが何より大切です。


    「入試とIB、どっちも対策なんて無理!」と思ったら

    国内IB生は、二足のわらじを履くスーパー高校生です。でも、キャパシティには限界があります。 パンクする前に、IBと帰国生・国内生入試のプロであるTCK Workshopにご相談ください。

    TCK Workshopの「国内IB生」向けサポート

    私たちは、海外生だけでなく、国内のIB認定校に通う生徒様のサポート実績も豊富です。

    • 志望理由書と小論文の徹底指導 総合型選抜で最も重要な「志望理由書」。IBでの探究活動(EEやTOK)をどのようにアピールすれば大学に響くか、プロが構成から添削までサポートします。
    • 日本語での科目指導・IA添削 「学校の授業は英語で進むけど、深い理解が追いつかない…」という場合、バイリンガル講師が日本語で効率よく概念を解説します。Mathや理科科目のIAも、テーマ設定からレポートの書き方まで伴走します。
    • 無理のない学習計画の立案 「いつまでに何を終わらせるべきか」というペース管理を行います。入試とIB試験の両立を前提とした、現実的なスケジュールを一緒に作ります。

    IBへの挑戦は、あなたの将来を切り拓く大きな武器になります。 一人で抱え込まず、戦略的にプロを活用して、第一志望合格とディプロマ取得の両方を勝ち取りましょう!

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