中国や台湾、香港などの中国語圏で長く生活してきた帰国生にとって、その言語能力は大きな武器になります。多くの帰国生入試では英語が重視されますが、実は中国語を選択して受験できる難関校や人気校も存在します。使い慣れた中国語で自分自身の考えを最大限に表現することは、合格への近道を切り拓くことにつながります。
しかし、中国語での受験は英語に比べて情報が少なく、どのように準備を進めればよいか不安を感じている方も多いのではないでしょうか。本記事では、中国語での受験が可能な代表的な3校の試験内容と、合格を勝ち取るための具体的な対策について詳しく解説します。

TCK Workshop プレミアム講師。立命館高等学校、立命館大学国際関係学部卒業。中国(上海)とアメリカでの滞在経験を持つ日・英・中のトライリンガル。 自身の帰国枠中学受験の経験を活かし、小学校全科目の基礎指導から、中学・高校入試対策、英検対策、さらに志望理由書作成まで幅広く指導を担当。 特に、海外生活と日本の受験勉強のギャップに悩む小学生・中学生に対し、学習面だけでなくメンタル面もしっかり支える存在として信頼を集める。
この記事は、TCKworkshop主催のウェビナーを基に作成しています。TCKworkshop公式Youtubeチャンネルでは、指導経験豊富な講師が実際の指導を通して蓄積した帰国生の受験、英語学習などについての情報をお伝えしておりますので、ぜひご覧ください。
入試情報は変更される可能性があるため、出願前には必ず各校の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。
中国語で受験できる主要3校の入試概要比較
まずは、中国語での受験を検討する際に候補に上がる主要な3校の試験形式を一覧にまとめました。各校で求められる力や試験のボリュームが異なるため、お子様の得意分野に合わせて選択することをおすすめします。
| 学校名 | 入試区分(言語選択) | 試験内容の主な特徴 | 試験時間・分量の目安 |
| 同志社国際 | A選考(作文・小論文) | 独創性や想像力を問うユニークなテーマ | 60分 / B4用紙2枚 |
| 啓明学園 | 外国語型試験 | 社会的テーマへの賛成・反対と理由付け | A4用紙1〜1.5枚程度 |
| 学芸大国際 | B方式(作文) | 課題文を読んだ上での論理的な意見記述 | 英語受験と同一の内容 |
各学校の具体的な試験内容と特徴

同志社国際中学校・高等学校

同志社国際の作文試験は、単なる語学力だけでなく、受験生の個別の視点や豊かな想像力が非常に重視されるのが特徴です。
京都府京田辺市にある同志社国際中学校・高等学校は、帰国生入試において非常に柔軟な言語選択を認めていることで知られています。特にA選考と呼ばれる枠では、英語だけでなく、中国語を含む多言語での受験が可能です。
中学校の作文テーマは、非常にユニークで発想力が問われるものが多いです。過去には、あなたはある日、海と陸の間に大きな洞窟を見つけ、吸い込まれた先でどのような世界を見つけましたか。その続きを想像して作りましょうといった、物語の構成力を問うような出題がありました。一方、高校の試験でも、人生を料理に例えて考えを述べるといった、抽象的な問いに対して自分なりの定義を提示する能力が求められます。
試験はB4用紙2枚分に、60分間で記述する形式です。問題文自体は英語(日本語併記あり)で提示されることが多いですが、回答は自分が得意とする学習言語、つまり中国語で記述することが認められています。単に綺麗な中国語を書くのではなく、論理的な一貫性があるか、独自の視点があるかが合否を分けるポイントとなります。
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啓明学園中学校・高等学校

啓明学園の試験は、基本的な語彙力と文法力が備わっていることを前提に、自分の意見を明確に打ち出す力が求められる傾向にあります。
東京都昭島市にある啓明学園も、中国語で受験できる貴重な学校の一つです。啓明学園の外国語型試験では、英語のサンプル問題がホームページに公開されていますが、中国語受験の場合はその問題形式がそのまま中国語に置き換わるイメージです。
具体的な内容としては、与えられた複数のトピック(例:未来の生活、宇宙での生活、AIとロボットなど)から一つを選び、そのアイデアに対して賛成か反対かを述べ、理由や具体例を挙げて説明するというものです。難易度は極端に高いわけではありませんが、学年相当の正しい語彙や文法を使って文章を構成する力が問われます。
回答の目安は、A4用紙で1枚から1.5枚程度と言われています。啓明学園は入学後のクラス分けにおいても、英語が非常に得意な生徒向けの国際英語クラスなどを用意していますが、まずは中国語という自分の得意分野で合格を確実にし、入学後に英語力を伸ばしていくという戦略も非常に有効です。
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東京学芸大学附属国際中等教育学校(学芸国際)

学芸国際の試験内容は英語も中国語も全く同一です。そのため、どちらの言語がより深く自分の考えを言語化できるかという基準で選択することが大切です。
東京都練馬区にある東京学芸大学附属国際中等教育学校の帰国生徒対象入試でも、中国語での受験が選択可能です。こちらの試験は、一定量の課題文を読み、それに基づいた設問に答える形式です。
例えば、過去の入試では、日本の公立学校のプール授業を民間に委託し始めたというニュースを題材に、この取り組みが良いことだと思うかという自身の立場を明確にし、メリット・デメリット、そして自身の具体的な経験を交えながら意見を構築する必要がありました。
学芸国際の採点では、文章の流暢さだけでなく、課題文の内容を正確に理解できているか、自分の考えに説得力があるかという思考のプロセスが重く評価されると言われています。論理構成がよりスムーズに行える言語を選ぶことが、高い評価につながります。
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中国語受験で合格を勝ち取るための学習戦略

中国語で中学・高校受験に挑むためには、日常会話レベルではないアカデミックな中国語力と、論理的思考力が求められます。ここからは、具体的にどのような準備をすべきか詳しく解説していきます。
論理的な文章構成の型をマスターする

試験時間という限られた中で、自分の考えを整理して書き切るには、文章の型を無意識に使えるレベルまで練習しておくことが欠かせません。
中国語での作文であっても、評価されるポイントは日本語や英語の小論文と共通しています。特に主張、理由、具体例、結論という論理構成をしっかり保つことが重要です。中国語圏の学校に通っていると、感想文のような文章に慣れてしまいがちですが、日本の帰国生入試では客観的な論理性が求められます。
具体的には、まず導入部分で設問に対する自分の立場を明快に述べます。次に、その立場を支える理由を2つから3つ提示し、それぞれに対して自分自身の海外生活での経験や、具体的な社会的事実を付け加えます。最後に、全体の議論を要約し、改めて自分の主張を強調して締めくくるという流れです。同志社国際のような発想力が問われる問題でも、この型をベースにすることで、読み手に伝わりやすい文章になります。書き始める前の5分間で、この構成案を中国語で作成する習慣をつけましょう。
アカデミックな中国語語彙と接続表現の強化
日常会話で使う言葉と、試験の記述で使う言葉は大きく異なります。特に啓明学園や学芸国際の試験では、社会的なテーマについて論じることが多いため、抽象的な概念を表現する中国語の単語をどれだけ知っているかが重要になります。例えば、良いという表現一つにしても、好(hao)だけでなく、利点(youdian)、益処(yichu)、積極影響(jiji yingxiang)など、文脈に合わせて使い分けることが求められます。
また、文章の論理性を高めるためには、接続詞を効果的に使えるようになることが不可欠です。以下に、作文で役立つ接続表現の例をまとめました。
| 役割 | 代表的な中国語表現 |
| 原因・理由 | 因為、由于、之所以…是因为 |
| 逆接 | しかしながら(然而)、それにもかかわらず(尽管如此) |
| 列挙 | 第一、其次、此外、最後 |
| 結論 | 綜上所述、总而言之、因此 |
これらの表現を適切に配置することで、読み手にとって論理の道筋が明確な文章になります。HSK(漢語水平考試)の5級から6級レベルの語彙を参考にしながら、単語を単独で覚えるのではなく、例文と一緒に覚えることで、実際の作文で活用できるようになります。
過去問を活用した実践的な時間配分の訓練
多くの試験では60分程度の制限時間が設けられています。この時間内で課題文を読み、構成を練り、適切な文字数を中国語で書き上げるのは決して簡単ではありません。本番で焦らないためには、実践的な時間配分の感覚を身につける必要があります。
理想的な配分としては、最初の10分で課題の分析とメモ作成、次の40分で執筆、最後の10分で見直しと修正を行うイメージです。特に見直しの時間では、中国語特有の簡体字や繁体字の混用がないか、主語と述語の対応が崩れていないかをチェックすることが大切です。
また、過去問演習を行う際は、自分の得意なテーマだけでなく、苦手な分野(科学、文化、教育など)にも積極的に取り組むことをおすすめします。学芸国際のように英語と同一問題が出る学校の場合、英語の過去問を中国語で解いてみることも非常に有効な練習になります。自分がどのようなテーマで筆が止まりやすいのかを把握し、不足している知識や語彙を補っていきましょう。
【関連記事】TOEFLなどの資格試験対策で培った論理的思考は、中国語の作文にもそのまま応用できます。ロードマップの作り方についてはこちらの記事も参考にしてください。
まとめ
- 同志社国際、啓明学園、学芸国際は中国語で受験できる貴重な選択肢
- 試験では語学力以上に論理的思考力や独創性が高く評価される
- 合格には主張、理由、具体例、結論という構成の型を身につけることが不可欠
- 日常会話ではないアカデミックな語彙と接続詞の活用がスコアアップの鍵
- 60分という限られた時間で書き切るための実践的な過去問演習が重要
TCK Workshopの中国語指導
TCK Workshopでは、中国語を第一言語または得意言語とする帰国生のために、中国語での相談・指導が可能な専門講師による個別指導を提供しています。記述対策や論理構成のトレーニングにお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
無料学習相談も、ご希望があれば中国語での相談が可能です。お子様の状況に合わせた具体的な対策プランを一緒に考えていくことができます。

