大学入試における「2026年問題」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。これは一言で言うと、「大学に入りたい人の数よりも、大学が用意している席の数の方が多くなってしまう現象」が決定的になることを指しています。

文部科学省の調査(2024年度実施状況)によると、日本の大学全体の募集総数に対して、実際に入学した人の割合を示す「定員充足率」が、2021年度(令和3年度)に私立大学において100%を割り込み(99.8%)、翌2022年度も継続しました。つまり、学生の獲得に苦しむ私立大学が増えてきているのです。一方で受験者側からすれば、大学を選ばなければ誰でもどこかには入れる「全入時代」が数字として証明されました。

しかし、海外から日本の難関校を目指す帰国生のご家庭にとって、これは「合格しやすくなる」という単純な話ではありません。むしろ、人気校への集中による「二極化」や、入試制度の大きな変化(新課程への移行)によって、対策の難易度はかつてないほど高まっています。本記事では、この2026年問題の本質と、帰国生が今取り組むべき戦略をわかりやすく解説します。

大谷先生

講師:大谷 真幸愛

 TCK Workshop プロ講師。上智大学文学部哲学科卒業。高校1年生から3年半を「アジア最後のフロンティア」と呼ばれるミャンマーで過ごす。 哲学科で培った高度な論理的思考力を指導に活かし、志望理由書、小論文、面接など、「自身の考えを言葉にする力」が問われる受験科目を専門とする。また、帰国後の国語(現代文、作文)指導にも定評がある。

    入試情報は変更される可能性があるため、出願前には必ず各校の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。


    大学入試の2026年問題:定員割れと難化の二極化

    大谷先生

    定員充足率が100%を切ったというニュースは衝撃的ですが、帰国生の皆様が志望する有名大学に限っては、早慶の帰国生入試の廃止など、むしろ門戸が狭まっている側面もあります。数字の表面だけを見るのではなく、その中身を正しく理解することが大切です。

    2026年問題とは、大学への進学率が上がったとしても、それを上回るスピードで18歳の人口が減り続けるために、大学側が学生を確保できなくなる状況を予測した言葉です。

    具体的には、文部科学省の発表(令和6年度私立大学等入学者選抜実施状況)によると、私立大学において定員割れ(充足率100%未満)となった大学は、全体の59.2%(354校)に達し、過去最多となりました。この「定員割れ」が本格化する中で起きているのが、大学の二極化です。経営が厳しくなる大学がある一方で、有名大学や新設の注目学部にはこれまで以上に受験生が集中し、合格ラインが押し上げられています。

    2026年度入試環境の予測まとめ

    項目現状と予測帰国生への影響
    18歳人口約103万人前後と予測。毎年約2〜3万人規模で減少「せっかく大学に行くなら」という志向が強まり有名大学への集中が強まる
    定員充足率初めて100%を下回る大学を選ばなければ入りやすいが、質が問われる
    入試制度新課程(しんかてい)2年目情報Iや新しい数学の範囲が本格的に出題されます
    帰国生枠廃止や総合型への統合が加速早稲田や慶應SFCなど、専用枠が減る動きがあります

    このように、全体として席は余っているものの、帰国生が目指したい「学びの質の高い大学」の席は、むしろ激しい奪い合いになっているのが2026年度入試の実態です。

    【関連記事】早慶の帰国生入試廃止について知りたい方はこちらもご覧ください。


    学部新設の動きと「選ばれる大学」の変化

    大谷先生

    新しく作られる学部は、大学側が今の社会に合わせて「こんな学生に来てほしい」というメッセージを強く打ち出しています。海外経験をそのメッセージにどう繋げるかが、合格への分かれ道です。

    2026年度は、時代の変化に合わせた学部新設や改組(かいそ:学部の仕組みを作り直すこと)が非常に活発です。特に「情報」「環境」「文理融合(ぶんりゆうごう)」といった、一つの専門に縛られない学びを提供する学部が注目を集めています。

    大学種別大学名新設・改組される学部・学科特徴
    国立山口大学情報学部文理双方から受験可能な情報系
    国立佐賀大学コスメティックサイエンス学環化粧品科学に特化した学際的学び
    私立中央大学理工系3学部(基幹・社会・先進)学科制からコース制へのシフトも
    私立立教大学環境学部文理の枠を超えて環境課題を解決
    私立立命館大学デザイン・アート学部創造性と社会実装を組み合わせる

    これらの学部は、単なる知識の暗記ではなく、問題解決能力やグローバルな視点を重視しています。滞在国で環境問題に取り組んだ経験や、異文化の中で培ったコミュニケーション能力は、新設学部の志望理由書において強力なアピールポイントになります。

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    2026年問題を突破し合格を勝ち取るための具体的解決策

    大谷先生

    帰国生の強みは英語力ですが、2026年入試ではそれに加えて、日本の勉強(特に数学や情報)をどこまでカバーできているかが重要です。海外にいる今からできる、効率的な対策をお伝えします。

    2026年問題という高い壁を突破するためには、これまでの帰国生入試のイメージを一度リセットし、今の日本の大学が求めている力を意識した対策が必要です。ここでは、具体的に何をすべきか3つのポイントに分けて詳しく解説します。

    日本の新しい教科の内容、特に数学と情報を早めに確認する

    日本の高校では今、情報Iという科目が必須になっています。これは、パソコンの使い方だけでなく、データの分析やプログラミングの基礎を学ぶ科目です。2026年度の入試では、この情報Iの内容が、総合型選抜の筆記試験や共通テストで本格的に出題されます。

    また、数学も数学Cという新しい区分ができ、ベクトルなどの単元が含まれるようになりました。海外の学校の数学と、日本の入試で出る数学は、解き方や求められるスピードが異なります。まずは日本の教科書を手に入れ、自分が習っていない範囲がどこにあるかを確認し、少しずつ埋めていくことをおすすめします。

    英語の資格試験スコアを早めに取って武器にする

    2026年度の入試でも、TOEFLや英検、SATのスコアは依然として強力な武器になります。特に、私立大学の入試では、これらのスコアを持っているだけで、英語の試験が免除されたり、満点として計算されたりすることがよくあります。 2026年入試は、他の科目の対策が忙しくなることが予想されます。そのため、高校3年生になってから慌てて英語のスコアを上げるのではなく、高校2年生の終わりまでには、自分が納得できる最高スコアを取っておくスケジュールを立てるのが理想的です。そうすることで、直前期に小論文や面接、あるいは新課程の対策に時間をたっぷり使うことができます。

    自分の経験を大学の理念と結びつけたストーリーを作る

    今の大学入試、特に総合型選抜(:旧AO入試のような、書類や面接で選ぶ試験)では、なぜこの大学で学びたいのかという理由が厳しくチェックされます。 2026年度に向けて多くの大学が学部を再編しているのは、それだけ大学側が求める学生像を明確にしているということです。海外でのボランティア、スポーツ、あるいは現地校での苦労といった素晴らしい経験を、ただ並べるだけでは不十分です。その経験が、新しくできる学部の目標とどう重なるのかを、プロの視点で整理しましょう。自分が大学に入ってから何を研究し、将来どう社会に貢献したいのかという一貫したストーリーを作ることが、合格への一番の近道となります。

    【関連記事】帰国生やインター生が日本国内の大学受験を受ける際のチェックポイントについてはこちらもご覧ください。

    2026年度入試の展望:入学後の学びを見据えた志望校選び

    2026年度入試は、少子化という大きな波の中で大学が生き残りをかけて変化している真っ最中です。私立大学の中には定員を大幅に減らし、教育の質を高めることで難易度を維持しようとする動きもあります。前年までの合格実績や偏差値だけに頼るのではなく、大学が提供する新しい教育プログラムや、卒業後の進路まで見据えた志望校選びが、これまで以上に重要になります。

    帰国生としての誇りと、海外で培った柔軟な思考を持って、自信を持って入試に臨んでください。その準備の過程において、TCK Workshopが全力でお子様とご家庭を支え続けます。

    TCK Workshopが提案する帰国生大学入試サポート

    大谷先生

    私たちは、オンラインという環境を活かし、世界中のどこにいても日本の最新入試に対応できる指導を行っています。2026年問題への不安を、一緒に「合格への自信」に変えていきましょう。

    TCK Workshopでは、2026年度の複雑な入試環境に挑む帰国生の皆様のために、以下のサービスを完全オーダーメイドで提供しています。

    • 志望理由書・小論文の徹底指導:お子様の海外経験を、日本の大学が求める「論理的な言葉」に翻訳します。特に対策が難しい新設学部のニーズに合わせた文章作りを支援します。
    • TOEFL・SAT・英検のスコアアップ:目標スコア獲得に向けて、プロ講師がマンツーマンで弱点を補強します。短期間で成果を出すための効率的な学習法を伝授します。
    • 新課程フォローアップ授業:海外では対策が難しい「数学C」や「情報I」の基礎から応用まで、日本の入試レベルに合わせて丁寧に解説します。

    2026年問題という高い壁を感じているなら、まずは無料学習相談にて私たちの専門的な知見を活用してみてください。お子様の現状を伺い、合格までの最短距離を一緒に作ります。

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    参照

    文部科学省:学校基本調査-結果の概要(令和5年度)
    国立社会保障・人口問題研究所:日本の将来推計人口(全国)