日本への帰国を控えたご家庭にとって、お子様の進路選択と教育費の設計は切り離せない重要な課題です。特に帰国生入試で人気の高い私立高校は、教育環境が魅力的な一方で学費の負担が懸念材料になることも少なくありません。

現在、日本国内では高校無償化の制度が大きな転換期を迎えています。2025年度から2026年度にかけて、所得制限の撤廃や支援額の拡充が段階的に進んでおり、これまで対象外だった世帯も手厚いサポートを受けられる可能性が高まっています。本記事では、国と自治体の制度を整理し、専門用語を噛み砕きながら、帰国生のご家庭にどのような影響があるのかを詳しく解説します。

坂井先生

講師:坂井 治樹

 TCK Workshop プレミアム講師。獨協高等学校を経て、早稲田大学国際教養学部(SILS)卒業。 オーストリア・ドイツへの留学経験を持つ国際派でありながら、中学・高校入試の全科目(英・国・数・社・理)を指導できる稀有な「オールラウンダー」。 SILSで培った広い教養と論理的思考力を活かし、SAT対策や大学入試の小論文・志望理由書指導において、合格を引き寄せる「書く力・考える力」を徹底的に鍛え上げる。

    結局どうなる?高校無償化改正のポイントまとめ

    坂井先生

    制度の仕組みを正しく知ることで、学費を理由に志望校を限定する必要がなくなってきています。お子様の可能性を最大限に引き出せる学校選びを、ぜひ前向きに検討していただきたいです。

    2025年度および2026年度の改正により、支援の内容は以下のように整理されます。

    高校の種類2025年度(令和7年度)以降の状況2026年度(令和8年度)以降の予定
    公立高校(全国)所得に関わらず、授業料相当額(年11.8万円)を全世帯に支給引き続き全世帯を対象に実質無償化を継続
    私立高校(国の制度)年収910万円未満が対象(年11.8万〜39.6万円)多子世帯(子3人以上)の所得制限撤廃上限引上を検討
    私立高校(東京・大阪等)所得制限を事実上撤廃し、年約46万〜48万円を支援全学年で所得制限なしの完全無償化を定着
    帰国生の所得判定海外所得を日本基準に換算して判定(要証明書類)所得制限撤廃地域では手続きが簡略化される見通し

    国と自治体の二階建て構造:専門用語をわかりやすく解説

    坂井先生

    高校無償化という言葉は一つの制度を指すのではなく、国と自治体の二つの制度が組み合わさったものを指します。お住まいの地域によって受けられる金額が変わるため、まずは土台となる制度を理解しましょう。

    高校の授業料支援を理解するためには、まず二つの柱を整理する必要があります。

    高等学校等就学支援金(国の制度)

    これは日本全国どこに住んでいても受けられる国による基本的な支援制度です。返済不要の給付金として、学校が直接受け取り、授業料に充てられます。2025年度からは、この制度のうち公立高校の授業料に相当する基準額(年額118,800円)が、所得制限なしで全世帯に支給されることになりました。

    授業料軽減助成金(自治体の制度)

    国の就学支援金だけではカバーしきれない私立高校の授業料の差額を埋めるために、各都道府県が独自に行っている上乗せの支援です。ニュースで話題になっている所得制限の撤廃は、主にこの自治体の独自施策を指しています。

      ここで使われる重要な専門用語を解説します。

      実質無償化

      授業料の全額、またはその大部分が国や自治体からの支援金で賄われ、ご家庭が直接支払う授業料がゼロになる状態を指します。ただし、授業料以外(入学金や施設費など)は対象外であることが多いため、完全な無料という意味ではないことに注意が必要です。

      所得制限

      これまでは、世帯年収が約910万円を超える世帯は支援を受けられないというルールがありました。2025年度からは公立高校の基準額においてこの制限がなくなります。さらに東京都や大阪府などの自治体では、私立高校向けの上乗せ支援についても所得制限を撤廃する動きが広がっています。

      加算支給

      年収が一定以下(目安として約590万円未満)の世帯に対して、通常の11.8万円にさらに金額を上乗せして支給する仕組みです。私立高校に通う場合の負担をより軽減するために設けられています。

      【関連記事】高校受験の併願校の数について知りたい方はこちらもご覧ください。


      帰国生への具体的な影響と対策:所得判定の壁を乗り越える

      坂井先生

      帰国生のご家庭は、日本での課税証明書が出せないという特殊な状況にあります。プロの視点から言うと、本帰国前の書類準備がスムーズな受給の可否を分けると言っても過言ではありません。

      ここからは、帰国生のご家庭に特化した制度の影響について詳しく解説します。所得制限の撤廃が進んでいるとはいえ、申請手続きには依然として所得の確認作業が伴います。

      海外所得の判定:住民税がかからない期間の扱い

      日本の就学支援金の判定には通常、日本の市町村民税の情報(住民税)が用いられます。しかし、海外居住中は日本に住民税を納めていないため、データが存在しません。この場合、自治体や学校は、海外での収入証明書類をもとに日本の所得基準へ読み替える作業を行います。

        帰国生が準備すべき所得証明書類

        必要書類概要と準備のポイント
        給与支払証明書(支払調書)勤務先発行。年間の総収入、現地の税金、社会保険料が明記されたもの
        訳文(翻訳資料)英文などの場合、多くの自治体で訳文の添付を求められます
        給与明細の写し月ごとの内訳を確認するために、帰国前の1年分を保管するのが安全です
        雇用契約書住宅手当等の非課税項目を確認するために参照されることがあります

        私立高校という選択肢の拡大

        授業料が実質無償化されることで、帰国生入試を実施している魅力的な私立高校がより選びやすくなります。国際バカロレア(IB)認定校や、英語のみで授業が行われるインターナショナルコースを持つ私立校は、帰国生にとって最高の環境ですが、年間授業料が50万円程度かかることもあります。2026年度に向けて支援額が引き上げられることで、これらの学校も公立高校とほぼ同等の負担で検討できるようになります。

        通信制高校での活用

        自身の学習ペースや特定の科目の強化を優先し、通信制高校を選択する帰国生も増えています。通信制高校も本制度の対象です。公立通信制では所得制限なしの支援が始まっており、私立通信制でも年額33.7万円を上限とした支援が継続されています。海外での学習スタイルに近い環境を求める場合、経済的なサポートを受けながら通信制という選択肢を検討することも可能です。

        支給期間と編入のタイミング

        支援金の支給期間には上限があります。全日制高校の場合は原則36ヶ月(3年間)です。海外の学校の修了時期の関係で、日本の高校に編入するタイミングが4月以外になる場合、卒業までの残り月数と支給上限月数を事前に確認しておくことが大切です。

          【関連記事】帰国後の高校選びについては、こちらの記事もぜひ参考にしてください。


          授業料以外にかかる費用と戦略的な教育投資

          坂井先生

          無償化という言葉に安心しきってしまうのは危険です。入学金や施設費、そして帰国生にとって最も大切な英語力の維持にかかる費用は別途確保しておく必要があります。授業料が浮いた分を、どこに投資するかという視点が重要です。

          高校無償化の対象は、あくまでも授業料のみです。高校生活をスタートさせるためには、授業料以外にも多くの費用がかかります。特に入学初年度は、まとまった資金が必要になるため、事前のシミュレーションが欠かせません。

          授業料以外にかかる主な費用の例

          費用の項目支出のタイミング概算費用(目安)
          入学金合格後の入学手続き時20万円から30万円
          施設設備費・維持費毎年(一括または分割)5万円から15万円
          制服・鞄・指定品入学前(一度のみ)10万円から15万円
          教科書・タブレット代入学時および随時5万円から10万円
          修学旅行・研修積立毎月または年一括10万円から30万円

          これらの費用は就学支援金の対象外となるため、全額自己負担となります。しかし、これまで授業料として支払う予定だった資金が浮くことは、帰国生にとって大きなチャンスです。海外で培った高い英語力や専門性を維持・向上させるためには、学校外での継続的なサポートが欠かせないからです。

          例えば、日本の高校の授業だけでは、英検1級やTOEFL iBT 100点以上のスコアを維持し続けるのは容易ではありません。就学支援金で軽減された負担分を、TCK Workshopのような専門的な個別指導や、英語エッセイライティングの強化、大学入試に直結する資格試験対策に充てることをおすすめします。これにより、高校3年間で英語力をさらに磨き上げ、将来の国内外の難関大学合格をより確実なものにすることができます。

          【関連記事】IB認定校の学費を比較したい方はこちらもご覧ください。


          高校無償化の最新情報と帰国生への影響まとめ

          1. 授業料支援は、国の全国一律制度と自治体独自の上乗せ制度の二階建てである。
          2. 2025年度から国の制度により公立高校が所得制限なしで実質無償化される。
          3. 東京都や大阪府などの自治体では、私立高校についても所得制限の撤廃が進んでいる。
          4. 帰国生は海外所得の証明が必要になるため、帰国前から給与支払証明書などを準備することが重要である。
          5. 無償化されるのは授業料のみであり、入学金や施設費、塾の費用などは別途予算を立てる必要がある。

          制度を賢く活用し、授業料の負担を軽減することで、その分をお子様が将来グローバルに活躍するためのスキルアップに充てることができるようになります。

          TCK Workshopの帰国生向け学習支援

          高校無償化の制度改正により、私立高校への進学がより身近なものとなりました。しかし、人気の高い私立校の帰国生枠は、高度な英語エッセイや面接、そして数学・国語の対策が欠かせません。TCK Workshopでは、お子様の状況に合わせたオーダーメイドの学習プランをご提案しています。

          帰国生高校入試 英語エッセイ・小論文対策講座

          志望校の傾向に合わせ、論理的な文章構成力と高度な語彙力を養います。採点官の心に響くエッセイを書くための、専門的な指導が可能です。

          英検・TOEFL・SAT スコアアッププログラム

          高校生活での英語力を維持・向上させ、大学入試に直結するスコア獲得を目指します。海外と日本の教育のギャップを埋めるための具体的なアドバイスを提供します。

          日本の教科書対応 5教科フォローアップ

          インター校や現地校で学んでこなかった日本の学習範囲を、短期間で効率よく補習します。無償化制度を活かして私立高校に入学した後の、内部進学対策や定期テスト対策も万全です。

          お子様の未来に最適な進路を一緒に考えましょう。高校無償化の改正により、志望校選びの幅が広がった今だからこそ、お子様の現状と目標に合わせた正確な学習戦略が必要です。

          志望校に合わせた英語エッセイや資格試験の対策を始めたい、あるいは帰国後の学習の遅れを効率よく取り戻したいとお考えの方は、ぜひ一度、TCK Workshopの無料教育相談をご利用ください。世界中のどこからでも、プロの講師がお子様とご家庭に最適な学習ロードマップをご提案します。

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          参照

          東京都生活文化スポーツ局「私立高等学校等授業料軽減助成金事業」
          文部科学省「高等学校等就学支援金制度」