突然ですが、例えばこんな計算問題。

これは小学校5年生の計算問題集からの引用です。恐らく多くの小・中学生は、こうした計算問題をドリルなどでたくさん練習をしていることかと思いますが、如何でしょうか。

日本では、途中式の書き方など細かいところまで学校で指導を受けることも多いかと思いますが、海外の学校ではうるさく注意してくれる大人もあまりいません。また、海外では比較的早い段階から電卓などの使用が認められている国も多く、ひとくちに「数学」といっても日本の数学教育とは求められる内容も多少異なることなどから計算があまり得意ではない学生さんが多いことも事実です。

もちろん途中式はあくまで計算の過程であり、それだけで一概にすべてを決めつけることはできませんが、やはり高校を卒業するくらいの年齢になってくると、こういった計算問題で丁寧に途中過程を書き出すことができるかできないかで数学の能力に明らかな差が見られるように思います。

そう。やはり数学得意な子達の途中式は美しい!

ということで、今回は計算問題の正しい取り組み方とそれがもたらす効果について、簡単にではありますが説明していきたいと思います。

悪い例から学ぶ

まずは悪い例を見ていくのが一番分かりやすいかと思います。

悪い例①

一つ一つ計算を進められているという点は良いのですが、横にずら~っと続いており、一つ一つのステップの繋がりが見づらくなってしまっています

悪い例②

計算を色々なスペースで散り散りにやっています。途中で使うひっ算もやけに小さく、どこの計算がどこへ繋がっているのかも分かりづらくなってしまっています

悪い例③

計算を省略しすぎていることに加え、式もバラバラに散っているため、前後関係が不明瞭になってしまっています。

悪い例④

問題に書き込みすぎていますね。数字が小さいと、振り返りや見直しもしづらくなってしまいます

悪い例⑤

自分独自のルールによる箱や境界線を使って計算を展開しています。計算が散り散りになっている他の例よりは比較的見やすいものの、計算の前後関係はやはり一見して分かりづらくなってしまっています

他にもあまり良くない計算の例は種々あります。

  • 数字の大小が差が激しすぎて読みづらい。
  • 字が小さすぎる。(ノートを節約しすぎている)
  • 途中計算が全くない。(他の紙にやっている)
  • 全部をひたすら横向きに「イコール」で繋げている

などなど……。

では、模範的な書き方はというと……

別に上手な字ではありません。字の巧拙は問題ではありません。

計算過程は縦に進めるのが基本です。一行一行の過程に特に大きな飛躍がありません。一つ一つ淡々と計算を進めていて、計算していない箇所も含めて問題の全部を含めながら計算を進めていきます。

丁寧にひとつひとつ計算を書いていくと余計に時間がかかってしまうのではないかとも思われますが、実際かかっている時間は10数秒です。勿論、細かい計算のスピードは必要ですが、書きながら手を動かしている間に頭の中で計算を進めていけるようになれば、途中式を書くからといって時間がかかり過ぎることはありません

数学が得意な子達のノートを見ると、計算問題は大体このような書き方になっています。

私自身も子供のころは字が相当汚くて、小さくて、本当に嫌になるくらい色々な人に注意されました。「テストではしっかり書くから」「自分がわかればいいだろ!」など、よくある言い訳をしていましたが、テスト本番で痛い目にあって少しずつ懲りていきました。見づらい計算式は、それだけでケアレスミスを引き起こす原因になってしまいます。ひとつひとつは些細なことでも、こういった積み重ねが、高校レベルの数学になるともはや致命傷になることも多々あります。数学だけでなく物理や化学などの試験でも計算問題はつきものですから、ケアレスミスでの失点は早い段階から対策を練っておきましょう!

大事なのは「自分がどう計算したのか説明できるように書くこと」

悪い例のような途中式を書いていると、自分の計算過程を見ながらいざ「自分はここで何をしたか」を説明しようとしてもまったく分からなくなってしまう場合が多く見受けられます。

読みづらい途中式を書く学生さんにありがちなのが、式展開の根拠や自分が考えたことの大部分を頭の中にしまいこんでしまっているというパターンで、それを言語化してもらおうとすると、うまく説明ができず、自分でも自分のやった計算過程を辿れなくなってしまうということが多々あります。これでは、試験の際に見直しをするにも不便ですよね。実際、私もそうでした。そこで、学生時代、「自分がやったことを説明するまでもく分かってもらえるよう、ノートに丁寧な記述をする」ということを心掛けてみたところ、ミスは減り、さらに今まで解けなかったような問題も解けるようになりました。

「どうせ誰も見ていないんだから途中式なんて意味がない」「何も書かずに解けた方がかっこいい」「わざわざ書くのは面倒くさい」など色々な思惑はあると思います。しかし、実際に丁寧な途中式を書くようにしてみると、それが採点官や教師陣のためではなくむしろ自分のためになるということを実感することができました。

途中式を書く習慣をつけたことで、ケアレスミスが減ったのはもちろんのこと、説明も上手になりました。私の場合はこれが今の講師という職に活かされています。計算を見直したことがきっかけで、一生の役に立つスキルまで得ることが出来ました。「説明上手」というのは、講師に限らず、プレゼンや日々のコミュニケーションなど様々な場面で有用な能力です。「計算が苦手」、「ケアレスミスが多い」と困っている方は、ぜひ一度「分かりやすい途中式」ということを意識して取り組んでみてはいかがでしょうか。

計算の途中過程は自分の頭の中で考えたことをそのまま書きだす

しっかりと書かれた計算過程を見ればその人がどのように計算をしているか、どのような思考状態かが手に取るように分かります。これは他人目線のものだけでなく、あとで自分の計算を振り返ってみる場合も同じです。綺麗に書くことで思考が整理され、無駄な迷いを抱いたり暗算による計算ミスをしたりすることもなくなります。また、文字の大小のむらや、薄い濃いのムラも読みづらさの原因になってしまいますが、縦に並べてひとつひとつ途中式を書いていくことで自然と字の大きさも揃うようになっていきます。繰り返し計算過程を綺麗に整えながら書く練習を積むと、圧倒的にミスが減りますし、計算のスピードもかえって早くなる場合が多いのです。また、逆説的なようではありますが、このトレーニングを続けるていくと自然と暗算も早くなっていきます。(特殊な暗算トレーニングは別ですが、)暗算は計算を書かずに練習するのではなくて、書きだしながら正確に算出する経験を多く積むことで数字の感覚を身につけ、速度と正確性を向上させることができるのです。

そう、結局書き出した経験数でスピードも正確性もほとんど決まるということです。地道な努力の賜物です。

つまり、計算過程を面倒くさがらずに(そもそも、書かない方が見直しなどする際に面倒くさくなってしまいます)書き出すことで、

  • 計算力がつく
  • ケアレスミスが減る(誤読が減り、検算もしやすくなる)
  • 数学的思考力が身につく(前後関係が見えやすくなり、数式の前後関係を意識するようになる)
  • 計算スピードもあがる(書く経験値・計算力が上がる)

途中式を丁寧に書いて悪いことはありません。強いて言うならば、紙は多く消費します。ペン(鉛筆も)も消費します。しかし、それを補ってあまりある価値があります。

結局、あまり省略せずに書き出す事が近道

これで数学に必要な学習習慣や思考力がグッと身につきやすくなります

これは才能の問題などではなく、トレーニングさえすれば確実に身につく能力です。一度身につけてしまえば、中学でも高校でも、計算が難しくなってからもずっと役に立ってくれるスキルです。

クラスに一人はいる超絶な暗算スピードの持ち主を目指す必要はありません。ただ、受験問題の計算問題でミスをせずに時間も無駄にかからないくらいの計算力があるだけでも、得することは多々あります。

計算力は是非、早いうちに習得してしまいましょう

計算が得意になる途中式の書き方
  • 式は縦につなげていこう「=」の位置はまっすぐ揃えて読みやすく!
  • 省略はせず、しっかり丁寧に書き出すことが計算の早道!
  • 途中式を丁寧に書けると、ケアレスミスが減るだけでなく、説明も上手くなる

弊社TCK Workshopには、数学の得意な講師も数多く在籍しています。海外での勉強方法にお悩みの方は、是非一度弊社にご相談ください!

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