海外で生活されているお子様や、帰国を控えたご家庭にとって、日本の最難関大学である東京大学や京都大学への進学は、一つの大きな目標ではないでしょうか。近年、これらの大学では一般入試だけでなく、学校推薦型選抜や総合型選抜(特色入試)の枠が広がっており、多様なバックグラウンドを持つ生徒が求められています。

特に注目すべきは、2026年度の東大推薦入試において、東京の渋谷教育学園渋谷(以下、渋渋)が推薦枠の4人全員を合格させるという快挙を成し遂げたことです。これは同制度が始まって以来、一校から4人の合格者が出た初めてのケースとなりました。「なぜ渋渋はこれほどまでに推薦入試に強いのか」「どのような教育が行われているのか」という点は、帰国生受験を考える皆様にとっても非常に有益な情報となるはずです。

本記事では、最新の合格者ランキングを詳細な表で振り返りながら、渋渋の独自のカリキュラムや、帰国生が難関大学の推薦入試で合格を勝ち取るための具体的なポイントについて、専門的な視点から詳しく解説します。

相吉先生

講師:相吉晃太朗

TCK Workshop プレミアム講師。横浜国立大学教育人間科学部卒業、University of Otago(NZ)への交換留学を経て、東京大学大学院総合文化研究科に2年在籍。 小学校および中高英語の教員免許を持つ「教育のプロフェッショナル」。教育学に基づいた科学的なアプローチで、AP Japanese日英小論文難関校受験対策まで、アカデミックな指導を専門とする。

    難関国立大学の推薦・特色入試ランキング|2026年度の最新動向

    2026年度の東京大学・学校推薦型選抜では、志願者265人に対し、過去最多となる93人が合格しました。大学側は「多様な地域や学校からの出願」を歓迎しており、実際に新たに27校から出願があるなど、制度の浸透が伺えます。一方、京都大学の特色入試でも、近畿圏の学校を中心に高い合格実績が出ています。

    ここでは、最新の調査結果に基づく合格者数ランキングをまとめました。

    東京大学 学校推薦型選抜 合格者数上位校

    高校名所在地合格者数(名)備考
    渋谷教育学園渋谷東京都4推薦枠全員合格(全国唯一)
    浅野神奈川県3神奈川男子校御三家
    筑波大附属東京都3東京都内偏差値一位
    武蔵東京都3東京男子校御三家
    兵庫県3偏差値全国一位
    広島県立広島県3創立わずか13年での快挙
    芝国際東京都2最先端の私立中高一貫校
    西大和学園奈良県2SSH認定の中高一貫校
    相吉先生

    東大の推薦入試において、渋渋が2016年の制度開始から累計24人の合格者を輩出し、全国最多となっている点は見逃せません。この継続的な成功は、単なる生徒のポテンシャルだけでなく、学校側に「どのような実績や研究が評価されるか」というノウハウが蓄積されている証拠です。海外での活動を評価に繋げたい帰国生にとって、こうしたデータを持つ環境は非常に有利に働きます。

    京都大学 特色入試 合格者数上位校

    高校名所在地合格者数(名)備考
    大阪桐蔭大阪府11関西圏の圧倒的実績
    開明大阪府9前年からの継続的な強さ
    北野大阪府7一般入試トップ校の躍進
    藤島福井県3北陸地方からの高い評価
    宮崎西宮崎県3九州地方からの合格者

    京都大学も変革へ:理・工学部での「女性募集枠」新設

    京都大学には、これまで学生中の女性比率が著しく低い学部が存在していました。大学側はこのインバランスを早急に解消すべき課題と捉えています。世界と伍する大学として活躍し続けるためには、ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、多様な視点を取り入れるため、2026(令和8)年度入学者選抜から理学部と工学部の特色入試(総合型選抜および学校推薦型選抜)において、女性募集枠を新たに設けました。

    この「女性募集枠」の新設は、単なる数合わせではありません。国内外から意欲と主体性を持った多様な学生を広く受け入れ、キャンパスに新しい風を吹き込むことが狙いです。インターナショナルスクールや海外現地校で、理数系科目に情熱を注ぎつつ、多文化の中での対話を重視してきた女子生徒にとって、この新設枠は非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

    【関連記事】東大に新設される学部について知りたい方はこちらもご覧ください。

    渋谷教育学園渋谷(渋渋)の教育理念と「自学自律」の精神

    渋渋が東大推薦で圧倒的な強さを誇る根源には、同校の教育方針である「自学自律」があります。これは「自分で調べ、自分で考える」姿勢を重視するもので、偏差値や正解を追い求めるだけの学習とは一線を画しています。

    学年の約3分の1が東大を目指す一方で、偏差値だけを基準にするのではなく、自分の興味関心に基づいた進路選びが推奨されています。医学部を目指す生徒もいれば、海外大学を志向する生徒も一定数おり、多様な価値観が教室の中に当たり前に存在しています。こうした「自分が何を学びたいか」を突き詰める環境が、大学側が求める「高い専門性と志」を持った生徒を育てる土壌となっているのです。

    相吉先生

    推薦入試や特色入試では、面接や提出書類を通じて「大学で何を研究したいのか」が厳しく問われます。渋渋の生徒さんは、日頃から自由な校風の中で自分の興味を掘り下げる習慣があるため、自分の言葉でビジョンを語る力が非常に優れています。これは一朝一夕で身につくものではなく、中高6年間の環境が大きく影響していると言えるでしょう。

    渋渋のカリキュラム詳解:先取り学習と探究心の育成

    渋渋の驚異的な合格実績を支える具体的な学習カリキュラムについて、理数系と英語教育の2つの側面から深掘りします。

    理数系科目の高速カリキュラムと演習

    渋渋の数学・理科の進度は非常に速く、中等部から高等部にかけて効率的な先取り学習が行われています。

    数学においては、中学で「体系数学」を採用しています。中学2年生のうちに中学数学の全範囲をほぼ終了させ、高校1年生、2年生で数学II・B、さらには数学IIIの内容に踏み込んでいきます。高校3年生の1年間をすべて志望校別の演習に充てられるような構成になっており、一般入試への対応力も非常に強固です。

    理科についても、中学1・2年生で基礎を固めた後、高校1年生までに物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎の4科目をすべて網羅します。高校2年生からは自分の進路に合わせて選択した科目に集中できるため、専門的な知識をより深めることが可能となります。

    帰国生の強みを活かす英語教育の柔軟性

    渋渋には帰国生枠の入試があり、入学後も帰国生の英語授業は一般生とは別に行われます。この授業は単なる語学学習ではなく、海外の教科書を用いたり、特定のトピックについて議論を深めたりする高度な内容です。

    特筆すべきは、高校3年生になった際の柔軟な対応です。帰国生であっても、日本の難関大学の一般入試や推薦入試を目指す場合は、一般生のクラスに合流して受験数学や国語の対策を強化することができます。逆に、一般生でも海外大学への進学を強く希望する場合は、帰国生クラスの英語授業に参加してアカデミックなライティング力を磨くことができるなど、生徒一人ひとりの目標に合わせた履修が認められています。

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    渋渋のカリキュラムは、基礎を早期に固め、後半を個別の探究や演習に充てるという、推薦入試と一般入試の両方を見据えた非常に合理的なものです。特に理科で全科目の基礎を一度通ることは、推薦入試の小論文などで求められる幅広い知識の土台となります。海外にいる間に、こうした日本の進度を意識しつつ、自分の興味を広げておくことが大切です。

    【関連記事】渋渋のポエム問題の対策方法にについて知りたい方はこちらもご覧ください。

    難関国立大学の推薦入試を突破するために必要な準備

    東大や京大の推薦・特色入試を目指す場合、早い段階からの戦略的な準備が欠かせません。特に海外在住のお子様や帰国生の方々におすすめしたい対策をまとめました。

    学業成績と英語資格の早期確保

    推薦入試の第一関門は、学校の成績(評定)です。進学校であっても、高いGPAを維持していることが推薦の条件となります。また、英検1級やTOEFL iBT 100点以上のスコアは、もはや「持っていて当たり前」のラインになりつつあります。高校2年生までにこれらの資格を取得しておくことで、高校3年生の時間を小論文の執筆や面接対策、さらには共通テスト対策に充てることが可能になります。

    探究活動の言語化とポートフォリオ作成

    推薦入試では「自分はこれまで何をしてきたか」が問われます。海外での生活経験、現地での社会貢献活動、あるいは特定の分野に対する深い研究など、活動実績を客観的な言葉で説明できるように準備しておくことが重要です。日記やレポートの形で、活動のプロセスや感じたことを記録に残しておくことをおすすめします。

    日本語での論理的思考力の養成

    帰国生が最も苦労するのが、日本語による高度な記述力です。東大の推薦入試などでは、専門的な課題に対する小論文が課されます。英語で考え、日本語で正確に論理を組み立てる練習は、一筋縄ではいきません。日頃から日本のニュースに触れ、自分の意見を日本語の文章にまとめる習慣をつけることが合格への近道です。

    まとめ

    東大・京大の推薦・特色入試は、渋渋のような学校が示す通り、蓄積されたデータと生徒の主体的な探究活動によって合格の道が開かれます。帰国生の皆さんは、海外での貴重な経験という、他の誰にも真似できない強力な武器を持っています。

    • 東大推薦では渋渋が4人全員合格という快挙を達成。累積合格者数も全国1位の実績。
    • 京都大学では女子枠の新設など、より多様な学生を求める入試制度へと変化している。
    • 渋渋の強みは、理数系の先取り学習と、個々の目標に合わせた柔軟な履修システムにある。
    • 推薦入試突破には、早期の英語資格取得と、自分の活動を言語化する力が不可欠である。

    TCK Workshopでは、渋渋をはじめとする難関校への合格実績を持つ講師陣が、一人ひとりの背景に合わせた個別指導を行っています。海外にいても、日本国内にいても、志望校合格に向けた最適なプランを一緒に作成しましょう。

    まずは無料教育相談から、最初の一歩を踏み出してみることをおすすめします。お子様の可能性を最大限に引き出し、理想の進路を実現できるよう全力でサポートいたします。

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    参照

    京都大学公式発表 特色入試(女性募集枠)
    Yahoo!ニュース【大学合格者ランキング】