海外での生活を経験し、高い語学力や多様な価値観を身につけたお子さんにとって、日本の大学受験における帰国子女入試は大きなチャンスとされてきました。しかし近年、日本のトップ私立大学である早稲田大学や慶應義塾大学において、この伝統的な帰国子女入試を廃止、あるいは縮小する動きが相次いでいます。グローバル化が叫ばれる現代において、なぜ国際的な経験を持つ生徒を対象とした入試が減っているのか、疑問や不安を抱く保護者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、この大きな入試改革の背景にある真意と、これからの帰国生が取るべき新しい受験戦略について、分かりやすく解説していきます。

古久保先生
学習相談員

講師:古久保 麻友

TCK Workshopのトッププロ講師。小学生時代にイギリスの現地校、中高はドイツのインターナショナルスクール(IB校)に通い、ICU大学(9月入学)へ進学。小中高受験や編入、英語資格、IBなど幅広い進路相談に対応。英語資格対策や中学受験・編入指導を得意とし、サレジアン世田谷・赤羽、ICU高校、学芸大国際などの合格実績あり。日本語作文、志望理由書、面接対策、IB DP(Japanese/English)指導も可能。

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    TCK Workshopの無料学習相談では、変わりゆく帰国子女入試の最新動向を踏まえ、お子様に最適な受験戦略を個別に組み立てています。激変する入試制度に対してどのような準備をすべきか、プロの学習アドバイザーが丁寧にサポートいたします。

    早稲田・慶應における帰国子女入試の現状と最新データ

    古久保先生

    入試制度の変更は、お子さんの将来を左右する重要な情報です。まずは早慶両校が発表した具体的な変更点を正確に把握し、現状を正しく理解することから始めていけると良いですね。

    日本の帰国生受け入れを牽引してきた早稲田大学と慶應義塾大学の方針転換は、受験界に大きな衝撃を与えました。これまでの「帰国生のための特別な枠」という仕組みが、具体的にどのように再編されているのかを整理しました。

    早稲田大学では、2024年度入試(2024年4月入学)を最後に、複数の学部で共通して実施されていた従来の帰国子女入試の形式が終了となりました。2025年度以降は、それぞれの学部が求める学生像に合わせた独自の選抜方法へと完全に移行しています。例えば、教育学部においては英語英文学科と生涯教育学専修の2つの学科・専修に限定して帰国生向けの入試が継続されていますが、基幹理工学部、創造理工学部、先進理工学部の理工三学部では、すでに帰国子女枠そのものが廃止されている状況です。

    一方の慶應義塾大学でも、同様の大規模な統廃合が進んでいます。2025年度入試からは、文学部、商学部、看護医療学部、薬学部の4つの学部において、帰国生を対象とした専門の入試が停止されました。さらに、2025年6月には、これまで多くの帰国生が挑戦してきた湘南藤沢キャンパス(SFC)の総合政策学部と環境情報学部についても、2026年度入試をもって帰国生入試を終了することが公表されています。

    このように、両大学の主要な学部でこれまでの制度が次々と見直されており、従来の対策だけでは対応しきれない時代が到来していることが伺えます。

    両大学の入試制度における主な変更点は以下の通りです。

    項目早稲田大学慶應義塾大学
    制度変更の時期2024年度入試をもって複数学部共通募集を終了、2025年度より独自選抜へ移行2025年度より4学部で停止、SFCは2026年度をもって終了
    継続・限定実施される学部教育学部(英語英文学科、生涯教育学専修のみ)なし(総合型選抜や一般選抜へ統合)
    すでに廃止された主な学部理工三学部(基幹・創造・先進)文学部、商学部、看護医療学部、薬学部
    導入されている英語関連プログラム英語学位プログラム(EDP)の拡充PEARL(経済学部)などの英語による学位取得コース

    グローバル化の時代に帰国子女枠が縮小・廃止される3つの背景

    社会全体でグローバル人材の育成が叫ばれているにもかかわらず、なぜ帰国子女入試という枠組みが減っているのでしょうか。その背景には、大学側が抱える制度の課題や、教育理念の変化が深く関係しています。

    学部独自のアドミッション・ポリシーへの適合と制度再編

    これまでの帰国子女入試は、複数学部で共通の試験や審査を行う形式が多く見られました。しかし、大学の学びが専門化する中で、共通の評価基準だけでは各学部が本当に必要とする学生の適性や能力を見極めることが難しくなってきたという課題があります。それぞれの学部が掲げるアドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)に合致した、より専門性の高い選抜を行うために、一括の特別枠を解体し、各学部独自の選抜や総合型選抜へと統合する動きが進んでいます。

    全体的な公平性の担保と大学側の運営コストの課題

    帰国子女入試は、海外での滞在国や通っていた学校のカリキュラムによって、提出される成績証明書や資格試験の種類が多岐にわたります。そのため、出願要件や審査の基準が非常に複雑であり、大学側にとっても公平な評価を維持するための運営コストが非常に高いという実務的な側面がありました。また、多様なバックグラウンドを持つ受験生が増える中で、すべての受験生を同じような基準で評価できる開かれた入試制度への移行を求める声もあり、制度の持続可能性を考慮した再編が行われています。

    英語で入る時代から英語を使って学ぶ時代への転換

    最も本質的な理由は、大学側が求める英語力の定義が変わったことにあります。早稲田大学の英語学位プログラム(EDP)や、慶應義塾大学経済学部のPEARLプログラムに代表されるように、現在の大学では「英語で授業を受け、英語で学位を取得する」コースが非常に充実しています。これにより、「英語が堪能だから入学させる」という段階から、「入学後に英語という道具を使って、どのように学問や社会に貢献できるか」を重視する段階へと評価の軸が移っています。語学力そのものよりも、それを使って何を発信するかが問われるようになっていると言えます。

    帰国生が直面する新たな壁

    古久保先生

    帰国生枠の縮小は、帰国生にとって受験環境が大きく変化することを意味します。しかし、その変化を正しく理解し、必要な準備を早めに始めることで、十分に対応することは可能です。制度の変化を冷静に捉え、自分に合った受験戦略を考えていきましょう。

    入試制度の変化は、これから受験を迎える帰国生に少なからず影響を及ぼします。これまでの帰国生入試を前提とした受験対策だけでは対応が難しいケースも増えるため、新たな課題を理解し、早めに備えておくことが重要です。

    まず大きな影響として挙げられるのが、日本国籍を持つ帰国生が4月入学を目指す際、受験できる入試方式や受験機会がこれまでより限られる可能性があることです。従来の帰国生入試は、一般入試より早い時期に実施されることが多く、英語のエッセイや面接を中心に評価されるケースも少なくありませんでした。そのため、比較的余裕を持って受験計画を立てやすいという特徴がありました。しかし、特別枠が縮小・廃止されることで、帰国生も総合型選抜や学校推薦型選抜、一般選抜など、国内生と同じ入試方式に挑戦するケースが増えていくと考えられます。

    その結果、これまで以上に総合的な学力が求められるようになります。総合型選抜や一般選抜では、海外での生活経験や高い英語力だけでなく、論理的思考力や記述力、課題解決力なども総合的に評価されます。また、大学や学校によっては日本語での小論文や記述試験が課されるため、海外滞在が長く、日本語で自分の考えを論理的に表現する経験が少ない帰国生にとっては、大きな課題となることもあります。

    さらに、英語力の維持に重点を置く一方で、日本の受験で求められる教科学力や日本語での表現力の準備が十分でない場合、志望校の選択肢が限られてしまう可能性もあります。だからこそ、海外滞在中から英語だけでなく、日本語力や基礎学力も含めてバランスよく伸ばしていくことが、帰国後の進路の幅を広げる重要なポイントとなるでしょう。

    TCK Workshopが提案する「変化する入試制度」に対応する受験戦略

    古久保先生

    制度が変わっても、海外での貴重な経験や培った強みが無駄になるわけではありません。大切なのは、新しい入試のルールに合わせた正しい努力の方向性を見定めることです。

    入試制度が変化するなかで、これから受験を迎える帰国生は、どのような準備を進めればよいのでしょうか。変化に振り回されるのではなく、一人ひとりに合った受験戦略を立て、着実に合格を目指すためのポイントをご紹介します。



    一人ひとりに合わせた受験戦略の設計

    私たちは、ただ募集要項を確認して出願先を提案するだけではありません。生徒一人ひとりの海外での学びや英語力、日本語力、将来の進路まで丁寧にヒアリングした上で、「どの入試方式なら自分の強みを最も活かせるのか」を一緒に考えていきます。

    帰国子女入試だけに頼るのではなく、総合型選抜や学校推薦型選抜、英語学位プログラムなども含め、複数の受験ルートを視野に入れた戦略を設計することで、選択肢を広げながら志望校合格を目指します。

    総合型選抜・英語学位プログラムに対応した総合的な指導

    総合型選抜や英語学位プログラムでは、学力だけでなく、エッセイや志望理由書、面接、プレゼンテーション、課外活動などが総合的に評価されます。

    私たちは、それぞれを個別に対策するのではなく、生徒自身の経験や興味・関心を軸に、一貫したストーリーとして伝えられるようサポートします。海外での学校生活や課外活動を受験で評価される形へと整理し、「自分らしさ」が伝わる出願書類や面接につなげていきます

    課外活動や海外経験を自分の言葉で伝える力を磨く

    海外で生活した経験は、それだけで評価されるものではありません。大切なのは、その経験を通して何を学び、どのように成長し、それを将来どのように活かしたいのかを、自分の言葉で伝えられることです。

    私たちは、生徒との対話を重ねながら、一人ひとりの経験や価値観を整理し、志望理由書や自己推薦書、面接で説得力を持って伝えられるよう伴走します。表面的な受験テクニックではなく、生徒自身の強みを引き出し、それを最大限に活かすことを大切にしています。

    日英両言語でのアカデミックライティング指導


    これからの入試では、英語力だけでなく、日本語・英語の両方で論理的に考え、自分の意見を伝える力が求められます。TCK Workshopでは、日英両言語でのアカデミックライティング指導を通して、エッセイや小論文、志望理由書の作成はもちろん、その先の大学での学びにもつながる思考力・表現力を育成します。

    まとめ

    これからの受験において意識しておきたい重要ポイントは以下の通りです。

    ・早慶では従来の共通帰国子女枠が縮小し、学部ごとの独自選抜や総合型選抜への統合が進んでいる

    ・大学側は語学力そのものよりも、英語を道具として学問や社会にどう貢献できるかを重視している

    ・日本語・英語の両方における高い論理的思考力や、記述力といった汎用的な学力が必要とされている

    ・海外での経験を単なる思い出に留めず、自身の成長や学びの動機へと結びつけて言語化する力が問われる

    入試制度の変革期だからこそ、早めの情報収集と対策が合格への鍵となります。TCK Workshopでは、いつでも無料学習相談を受け付けていますので、これからの受験プランに不安がある方は、ぜひ一度お気軽にお話をお聞かせください。

    参照

    「帰国生入学試験」2025 年度入試以降の複数学部共通募集の停止について (早稲田大学入学センター)

    2026/2027 年度以降 総合政策学部・環境情報学部「帰国生対象入学試験」の募集停止について (慶應義塾大学 公式HP)

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