大学受験において総合型選抜や学校推薦型選抜といった、いわゆる年内入試の存在感が年々高まっています。特に海外で生活している受験生や帰国生の皆さん、そしてその保護者様にとって、これらの入試制度はこれまでの経験や現地での活動、独自の強みを最大限に活かせる大切なチャンスと言えます。
しかし、文部科学省から発表された最新のガイドラインにより、2027年度入試からこれらの年内入試のあり方が大きく変わることになりました。大きな変更点として、原則として面接が必須化されることが決定し、これまでの試験スタイルを見直す大学が増えることが予想されます。
本記事では、この制度変更の背景や、これからの受験生が知っておくべきオンライン面接やAI活用の基準、さらには帰国生が今から取り組むべき具体的な対策について、詳しく解説します。

講師:ジョイス リアム
TCK Workshopトッププロ講師のジョイス リアムです。
小5から3年半のニュージーランド滞在で培った生きた英語を、帰国後の学習で資格に通用する論理的な英語へと昇華させてきた経験があります。
入社後は中学・高校受験対策をメインに、英検やTOEFL、SATのスコアアップにおいて多くの生徒を合格へと導いてきました。
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2027年度大学入試で年内入試の面接が必須化された背景


今回の面接必須化は、受験生の皆さんを困らせるためのものではなく、一人ひとりの個性や意欲、これまでの背景をより丁寧に評価するための原点回帰と言えます。変化の本質を理解して、焦らずに準備を進めていくことが大切ですね。
学力試験のみでの合否判定に対する見直し
これまで大学入学者選抜協議会が文部科学省の意見を反映しながら決定してきた大学入学者選抜実施要項では、年内入試で学力試験を行う場合、調査書や面接、小論文などと組み合わせることが条件とされていました。これは、一般選抜のような一発勝負のペーパーテストではなく、受験生の多面的な能力や意欲を測るためのルールです。
しかし一部の大学において、事前の課題としての小論文の配点をゼロにしたり、配点の大半を一般の学力試験のような教科テストに設定したりする事例が見られました。
このような、実質的に学力試験の結果だけで合否を決めるような手法に対して、高校側や教育関係者から「本来のルールを逸脱しているのではないか」という強い反発の声が上がっていました。これを受けて、形骸化しつつあった選抜のあり方を是正し、本来の公平性と多様性を守るために、今回の大きな改定が行われることになりました。
本来の総合型学校推薦型選抜の趣旨への原点回帰
総合型選抜や学校推薦型選抜は、「一般選抜とは異なる観点や方法を用いて、時間をかけて丁寧に受験生を見極める」ことが本来の趣旨です。単なる暗記力や計算能力だけでなく、その大学で何を学びたいのか、将来どのように社会に貢献したいのかという「意欲」や「適性」をマッチングさせるための場です。今回の要項改定は、そうした原点に立ち戻ることを各大学に強く求めるものとなっています。
ただし、すべての学校推薦型選抜で面接が強制されるわけではありません。付属高校からの内部進学や、専願を前提とした指定校推薦といった「非公募型の学校推薦型選抜」については、今回の必須化の例外とされています。これらの入試形態は、高校と大学との間で長年にわたる緊密な連携が取れており、受験生の適性や日頃の学習態度、意欲が学校を通じて事前にしっかりと把握・担保されていると考えられるためです。したがって、これらの非公募型に関しては、面接を課すかどうかの最終的な判断は各大学の自治に委ねられています。
新しい実施要項における面接の定義とオンラインAIの活用基準

面接の形式が多様化しても、求められるコミュニケーションの本質は変わりません。自分の言葉で考えを伝える力を、日頃の学習や生活の中で少しずつ養っていきましょう。
面接に含まれる具体的な評価方法
今回の実施要項では、必須化される「面接」が具体的にどのようなものを指すのかについても明確に定義されました。大学の面接官と受験生が椅子に座って1対1や1対多で向かい合って質疑応答を行う、いわゆる一般的なオーソドックスな形式だけが面接ではありません。受験生の多面的な能力を測るために、以下のような多様な評価方法も「面接の範囲」に含まれるとされています。
| 面接の定義に含まれる形式 | 具体的な内容 |
| 個人面接 | 志望理由や学問への意欲について、対話を通じて深く掘り下げる形式 |
| 口頭試問 | 特定の課題や学問的知識について、その場で口頭で答える形式 |
| 集団討論 | 複数の受験生で特定のテーマについて議論し、協調性や論理性を評価する形式 |
| ディベート | 特定の論題に対して肯定と否定に分かれ、論理的な説得力を競う形式 |
| プレゼンテーション | 自身の研究成果や将来の計画について資料を用いて発表する形式 |
このように、単に用意された質問に受動的に答えるだけでなく、思考力や表現力、他者との協調性を伴う「双方向のやり取り」が広く面接として定義されています。
特に帰国生や海外生の皆さんが注意すべきなのは「口頭試問」や「プレゼンテーション」の形式です。例えば、国際バカロレア(IB)やAP、SATなどの学習を通じて得た専門的な知見や、現地での社会貢献活動の成果について、その場で深く突っ込まれた際に、論理的に説明できる力が求められます。また、集団討論やディベートでは、周囲の意見を尊重しながらも、自分の意見を明確に主張するバランス感覚が評価されます。これらの多様な形式に対応するためには、それぞれの試験形式の特徴を理解し、個別のシミュレーションを重ねておくことが不可欠です。
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オンライン面接の導入とAI面接が認められない理由
近年、技術の進歩や利便性の観点、さらには世界的な感染症対策の名残もあり、オンライン面接を取り入れる大学が急速に増えています。今回のガイドラインでも、オンラインによる面接の実施は正式に認められました。これは、海外に滞在している受験生やその保護者様にとっても、わざわざ試験のためだけに一時帰国するという金銭的・身体的な負担を大幅に減らして受験できるため、非常に大きなメリットとなります。時差の調整や通信環境の確保といった別の課題は生じるものの、現地の慣れ親しんだ環境からリラックスして受験できる利点は無視できません。
一方で、企業の就職活動などで導入が進んでいる「AIを活用した面接」については、今回の大学入試においては「認められない」という見解が文部科学省から明確に示されました。
要項を発表した文部科学省の記者会見において、AI面接の可否について質問が及んだ際、担当者は「人間が人間を、時間をかけて丁寧に見ることこそが、今回面接を必須化した主旨である」と強調しました。さらに、「機械が大量の人間を短時間でさばくような手法をとるのであれば、そもそも早い時期(年内)に試験を実施する必要性がない」とまで述べています。
AI面接では、受験生の表情の動きや声のトーン、発言のキーワードなどをアルゴリズムが解析してスコア化しますが、大学側が求めているのはそのような表面的なデータ処理ではありません。受験生がどのような想いを持ってその学問を志し、過去の経験をどのように自分の血肉としてきたのかという、数値化できない「人間的な魅力や可能性」を、大学の教員が直接対話を通じて見極めることこそが重要視されているのです。
各大学の対応スケジュールと受験生への実質的な影響

制度の完全移行までに猶予期間があるため、現在の学年によって対策のタイミングが変わってきます。自分がどの対象になるのかを正しく把握し、余裕を持ったスケジュールを立てることが合格への近道です。
今回の新しいルールは、実質的に学力試験だけで合否判定を行っていた大学に対して、すぐにすべての変更を求めるのではなく、2年間の猶予期間が設けられています。
そのため、現在(2026年度)の高校3年生が受験する入試においては、一部の大学でまだ学力重視の傾向が残る可能性があります。しかし、現在の高校1年生が受験を迎える2028年実施の入試からは、このルールが完全に適用されることになります。つまり、低学年のうちから「面接が必ずある」という前提で、自分のポートフォリオ(活動実績)や言語化の能力を鍛えておく必要があります。今後の各大学の動向や、発表される新しい募集要項を注意深く見守りながら、中長期的な受験戦略を立てていくことが求められます。
総合型学校推薦型選抜の面接を乗り越えるための具体的な準備ステップ


面接対策は、想定質問の答えを暗記するだけでは不十分です。自分のこれまでの歩みや将来のビジョンを言葉にする練習を重ねることで、どんな質問にも対応できる自信が生まれます。
想定質問を超えた対話力の育成
面接が必須化され、さらにAIではなく大学教授などの人間による丁寧な評価が行われるということは、マニュアル通りの回答を用意して丸暗記するだけでは、簡単に見抜かれてしまう可能性が高くなります。特に帰国生や海外生の入試では、「なぜ海外にいたのか」「現地で何を感じたのか」といった表面的な事実だけでなく、「その経験があなたの価値観にどう影響を与え、なぜ我が大学のこの学部でなければならないのか」という深い部分まで突っ込まれます。
志望理由や自己PR、高校時代の思い出といった定番の質問に対する準備(想定問答集の作成)はもちろん大切ですが、それ以上に重要なのは、面接官からの予期せぬ質問や角度を変えた問いかけに対して、自分の言葉で誠実に打ち返す「対話力」です。
対話力を育てるためには、日頃から身の回りのニュースや、自分が関心を持っている学問分野のトピックについて、「自分はどう思うのか」「なぜそう考えるのか」という理由や背景まで深く掘り下げて考える習慣をつけておくことが必要です。家庭内や学校の現場で、大人の意見に対して自分の意見を論理的に述べるコミュニケーションを日常化させることが、本番での力強いアプローチにつながります。
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志望理由書と一貫性のある口頭表現の練習
総合型選抜や学校推薦型選抜において、合否を分ける最大のポイントの一つが「書類と面接の一貫性」です。出願時に提出する志望理由書、活動報告書、自己推薦書などの書類に書かれている内容と、実際の面接での発言や受け答えのニュアンスに少しでもズレや矛盾があると、プロの面接官にはすぐに見破られてしまいます。
書類の文章を綺麗に整えることに終始してしまい、自分の本当の言葉になっていない受験生によく見られる傾向として、面接で少し深く質問された途端に言葉に詰まってしまう、あるいは書類とは異なる浅い回答をしてしまうというケースがあります。
これを防ぐためには、自分がこれまで海外生活や日本の学校生活の中でどのような経験をし、そこから何を学び、大学でどう活かしたいのかというストーリーを、一本の強固な「軸」として整理しておくことが大切です。信頼できる学校の先生や、帰国生受験の特性を熟知した専門の講師を相手に、何度も繰り返し模擬面接を行い、客観的なフィードバックをもらいながら口頭での表現を洗練させていくことをおすすめします。
TCK Workshopによる総合型・学校推薦型選抜対策
大学入試の制度がどれだけ変化しても、求められる本質である「受験生自身の魅力と意欲」を最大限に引き出すために、TCK Workshopでは海外生・帰国生に特化した専門的なオンライン個別指導を提供しています。
完全1対1の対話型指導による「自分軸」の確立
私たちは、単に綺麗な志望理由書の書き方を教えたり、想定質問の答えを授けたりするような指導は行いません。生徒一人ひとりとじっくりと対話を重ね、これまでの海外生活での経験や、本人が本当に興味を持っている学問の種を一緒に見つけ出します。このプロセスを経て作られた「自分だけの軸」があるからこそ、どんな形式の面接や口頭試問にも動じない本物の表現力が身につきます。
オンライン面接に特化した実践的なトレーニング
世界各地に住む生徒たちを指導してきた実績を活かし、オンライン面接での魅せ方を徹底的に指導します。カメラの映り方、適切な照明や背景のアドバイスから、マイクを通した話し方、画面越しでの最適なリアクションまで、技術的な面も含めて模擬面接を繰り返します。本番と同じ環境で練習を積むことで、海外にいながらでも万全の自信を持って試験当日に臨むことができます。
各国カリキュラム(IB・AP・SAT等)と日本の入試の融合
TCK Workshopの講師陣は、国際バカロレア(IB)や各種国際資格の指導にも精通しています。そのため、生徒が現地で学んでいる高度な内容を、日本の大学入試の小論文や口頭試問でどのようにアピールすれば効果的かを的確にアドバイスできます。現地の学びを日本の入試の武器へと変える、私たちならではのハイブリッドな指導が強みです。
まとめ
・2027年度の大学入試から、総合型選抜および公募型の学校推薦型選抜において原則として面接が必須化されます。
・学力試験のみで合否を判定するような年内入試のあり方が見直され、時間をかけて丁寧に受験生を評価する本来の趣旨に立ち戻ります。
・面接には集団討論やプレゼンテーションなども含まれ、オンライン面接は認められますが、AI面接は認められません。
・実質的に学力試験のみだった大学には2年間の猶予があり、現在の高校1年生が受験する代から完全な形での移行が進みます。
・面接を乗り越えるためには、表面的な暗記ではなく、提出書類と一貫した自分自身の言葉で語る対話力を磨くことが重要です。
TCK Workshopでは、国内外の最新の入試情報に基づき、一人ひとりのスケジュールや状況に合わせたオーダーメイドの面接指導や書類添削を行っています。どのような些細な疑問でも構いませんので、まずは一度、お気軽に無料学習相談へお越しください。
参照
総合型選抜と学校推薦型選抜で面接が必須に オンラインやAI活用は可能なのか (朝日新聞 EduA)
