アメリカの現地校に通う生徒が11年生・12年生で取ることが多いAP Calculus大学進学に有利」「GPAを上げられる」などと聞く反面、「普通じゃない勉強量」「過大なストレス」という評判も耳に入り、取るべきか否か迷っていませんか?

数学が得意な生徒であれば、内容も非常に面白く感じると思いますが、やはりAP Calculusは大学レベルの授業となります。APの授業を選択する前に、まずは「AP Calculus AB/BCがどのように役立つのか」「何を学べるのか」「ABとBCは何が違うのか」をきちんと理解しましょう。この記事では、簡単な試験形式や解く際の注意点も紹介しているので、是非、皆さんのコース選択に役立てていただければと思います!

AP Calculus AB/BCとは?

数あるAPの中でも「AP Calculus AB/BC」は日本人生徒にとって非常に人気な科目の一つです。日本の中学・高校から転入した生徒は数学が得意であることが多く、最高スコアである「5」を取りやすいというのがその理由です。

しかし、一概に「アメリカの数学は日本の高校数学よりも簡単」と言うことはできません。特に、AP Calculusは大学レベルの数学を扱う授業であるため、日本で微分・積分を習得した生徒であっても初めて習うものがたくさんあります

そのため、AP Calculusは、現地校のHonorsレベルで数学を学習し、数学が得意な学生さんにおすすめする科目となります。

Kosuke先生自身の経験

実際に現地校でAP Calculus BCを11年生で履修した僕の経験を紹介したいと思います

繰り返しになりますが、AP Calculusの難易度は通常のRegular、その上のHonorsよりさらに難しい大学レベルの授業です。僕の通っていたコネチカット州の公立高校では学年相当より1年・2年上の数学を履修している生徒のみが選択できる授業でした。

難易度は高校の他の授業と比べると難しく、宿題の量も通常各教科一日30分と設定されているのに対し、1日1~2時間かかる時もあります

授業のテストも難しく10年生で履修したHonors Pre-Calculusと比べると3倍は時間を費やしました。しかしそれまでの数学の授業とは違い内容もチャレンジングで、僕個人としては非常に面白く感じました

学校にもよりますが、数学最難関クラスであるAP Calculus BCを指導する先生はベテランが多く生徒数も少ないです。そのため、一人一人にあった指導をしてもらえることが多いようです。

AP Calculusって難しい? どんな人におすすめ?
  • AP Calculusは大学レベルの数学を含むため、日本の高校で微積を習った生徒でも初めて習う内容が多い
  • 現地校Honorsレベル相当の数学を履修し終えた、「数学が得意な人」におすすめ
  • 課題も多く内容も非常に高難度ではあるが、その分、数学が好きな人にとっては面白い授業

AB/BCの違いは何?難しい?

AP Calculusの中でもABとBCがあります。簡単に違いを説明すると、BCはABで1年かけて履修する内容と同じものを1学期間でカバーするうえ、その後も引き続き多くの範囲をカバーするため、BCの授業進度はABより格段に早いです。しかし、はじめから「AP Calculus BC」を履修すると、テストの点数に「AB Sub-score」というものが含まれ、どちらのテストの結果ももらうことができるという利点があります。

どんな単元を学習するの?

AP Calculasといっても、さまざまな単元があります。AP CalculasのABとBCとではどんな単元を学習するのか、簡単に紹介します

AB/BCに共通する単元

Calculus AB/BCどちらにも共通して見られる単元は以下の通りです。

  1. Limits and continuity(式の性質・極限)
  2. Derivatives and rates of change (微分とその応用)
  3. Integrals and area(積分とその応用)

一見日本の高校でも勉強するような内容に見えますが、1年かけて微分・積分のみを勉強するため非常に難しいものになります。日本の大学理系学部で習う内容も含まれ、相当な時間をかけて勉強する必要があります。

BCで学習する単元

BCになると、上記のAB/BC共通の内容に加えて、以下の内容が加わります。

  1. Vector(ベクトル)
  2. Parametric and polar functions(媒介変数方程式・極座標形式)
  3. Sequences(数列)
  4. Series(級数)

ABでは微分・積分問題の解き方を重視しますが、BCでは暗記しなければならない内容も多いです。もちろんこれらの単元はABで履修した内容の応用でもあるため、さらに難易度は上がります

AB/BCどちらを取るべき?

一般的に、AP Calculusを取るためには、Pre-Calculusを取ることが前提条件の高校が多いです。

Pre-Calculusさえ取っていれば、BCで事前知識が不足するということはありません。しかし、BCの学習の進度はABに比べて早いので、AB/BCどちらを取るかはPre-Calculusでの成績を基準に決めるのが最善かと思います。

もし10年生でPre-Calculusを履修し、11・12年生でAP Calculusを取るのであれば、ABを11年生、BCを12年生で取ることも可能です。

内容は多少かぶるもののBCので新しく習うことも多く、実際にそのようにしている生徒も多数います。

BCを11年生で履修することをおすすめするのは、数学が非常に得意な生徒です。12年生では学校によりAdvanced CalculusやAP Statisticsを提供しているところもあり、さらに数学知識を深めることができます。

AB・BCの違いは? どちらを取るべき?
  • 共通単元は「Limits and continuity」、「Derivatives and rates of change」、「Integrals and area」の3つ
  • BCではさらに「Vector」、「Parametric and polar functions」、「Sequences」、「Series」を習い、ACに比べて暗記量も増える
  • AB、BCのどちらを取るかについてはPre-Calculusでの成績を基準に決めるのがおすすめ
  • 場合によっては11年生でAB、12年生でBCを取るのもあり

AB/BCどちらを履修するにせよ、AP Calculusはやはり大学レベルの数学を含むためどうしても難易度は上がってしまいます。弊社TCK Workshopでは、AP Calculusのサポートはもちろんのこと、みなさまの現在の成績状況や進路希望などから、一人ひとりに合ったコース選択・勉強方法のアドバイスをさせていただきます!まずは無料学習相談から、是非お気軽にお問い合わせください。

AB/BCの試験形式は?

AP Calculus ABとBCの試験は、内容に違いはあれど形式自体は同じものです。まずは選択式で解答する問題があり、次に記述問題という構成です。それぞれ計算機あり、なしのセクションで分かれており、試験時間はセクション別に区切られています。

セクション問題形式問題数/時間計算機
ⅠA複数選択30問 / 60分使用不可
ⅠB複数選択15問 / 45分使用可
ⅡA記述2問 / 30分使用可
ⅡB記述4問 / 60分使用不可

複数選択セクション

選択式の問題は、履修内容をそのまま聞かれるというパターンの多いことが特徴です。意外にも「ひっかけ問題」はなく、知識さえあれば簡単に解ける問題です。また、回答に時間のかかる複雑な問題もあまりありません。

試験は4択で行われ、「上記のどれでもない」という選択肢はないため、4つのうちどれか1つが必ず正解の選択肢となりますもし問題を完全に解くことができない場合でも、解いているうちに途中で他の選択肢全てが間違っていることに気が付くというケースもありますので、AP Calculusの4択問題は、「解く前に選択肢を確認する」ということをオススメします。

符号の違いなど選択肢のわずかな違いで異なる選択肢を選んでしまうというケアレスミスや、問題を解いた後で、答えと選択肢を一致させるために式を変形する必要があるような問題には要注意です。

制限時間に余裕を持って解きることができたら、必ず「符号」や「式の形式」に特に注意して見直しすることをオススメします。

質問内容については、内容さえ理解していれば簡単なものが多いため、難しい問題や解けきれない問題はすぐに飛ばして、次の問題に取り組みましょう

記述問題

記述問題は合計6問だけですが、問題1つずつに小問題が複数あります。一問一答の選択式問題とは異なり、小問ひとつひとつが次の問題を解くのに必要な鍵となっていますので、はじめの小問題から正確に解くことが非常に大切です。記述問題では焦らずに順番に問題を解きましょう

AP Calculus AB・BCに共通している点として、記述問題の形式は毎年同じような問題が出題されるという特徴が挙げられます。AP Calculusでは、「過去問を繰り返し解き問題に慣れること」が1番の試験対策です。

APの記述問題の過去問は、全てCollege Board公式のウェブサイトAP Centralに載っているため最大限に活用することをオススメします。採点基準まで掲載されているので、満点を取れるように細かく確認すると良いでしょう。

AB・BCの試験形式は?
  • AB・BCともに試験形式は共通
  • 選択式問題の電卓ありなし記述式問題の電卓ありなし計4セクション、3時間15分
  • 選択式問題は解く前に選択肢を確認しておく!符号や式の形式などのケアレスミスに注意
  • 記述式問題は前の小問が次の小問のヒントになっていることが多いため、焦らず順番に解いていくことがポイント
  • 公式HPに掲載されている過去問を解き、「問題のパターン」に慣れておくのがおすすめ

豊富な過去問が用意されているとはいえ、やはりAP Calculusは高校数学として非常に難易度の高いものとなっています。一人で勉強していては「どうしてこうなるのか分からない」「解答を見ても納得できない」というケースも出てくるのではないかと思います。弊社TCK Workshopでは、指導経験豊富な講師陣が一問一問丁寧にAP Calculusの難問を解説します!

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