今年のIBはどうだった?

2025年5月のIB Diploma Programme(IB DP)の暫定結果が発表されました。受験者数は増加を続け、世界平均スコアは昨年と大きな変化はないものの、科目別には興味深い傾向が見られました。特にサイエンス系では新しいシラバスでの初試験が実施され、注目が集まっています。

こちらの記事はTCK Workshop公式Youtubeチャンネルにて投稿中の『TCK講師の雑談トーク』シリーズから作成しています。日々生徒たちの目標達成のために奔走している講師が最新の帰国生トピックスについて語る動画となっておりますので、宜しければぜひこちらもご覧ください。


全体結果の傾向

岡留先生

新シラバス初年度だから荒れるのでは?と心配されましたが、全体的には大きな変化はなく落ち着いた結果でした。

2025年5月試験の受験者数は過去最高を更新し、20万人規模に到達しました。世界平均スコアは 30.3点 と前年とほぼ横ばいで、平均グレードは 4.9 前後に安定しています。つまり「IB全体としての難易度」は大きく変わっていないことが分かります。

  • 受験者数は20万人規模に到達
  • 世界平均スコアは30.3点で前年並み
  • 平均グレードは4.9で安定
真下先生

数字だけ見ると“例年通り”ですが、科目ごとに見ると面白い動きがありました。


言語科目(Group 1 & 2)

English A Literature HLは、7を取得できたのはわずか 1.3% と非常に厳しい結果でした。一方、English BやJapanese Bなど第2言語科目では6や7を取れる割合が高く、特にJapanese B HLでは約半数が7を取得しています。つまり「ファーストランゲージ科目は極めて難易度が高い一方で、セカンドランゲージ科目は比較的高得点を狙いやすい」構造が見て取れます。

  • English A Literature HL:7取得は1.3%
  • Japanese A HL:7取得は1.6%
  • English B HL:6取得率約50%と高水準
  • Japanese B HL:7取得率は50%に迫る
岡留先生

“EnglishA HL文学”は本当に“無理ゲー”ですね。好きで突き抜けた人しか7に届きません。逆にEnglish B HLは半分以上が6を取っているので、高スコアを狙いやすい科目です。


人文・社会科目(Group 3)

比較的スコアが取りやすい傾向に

Economicsは最もバランスの取れた科目の一つで、HLでは約30%が6を取得し、7も13%と比較的多めでした。一方、日本の学校で履修することが多いHistoryは依然として厳しく、HLで7を取れたのはわずか2%でした。選択科目としての取りやすさを考えると、EconomicsやBusiness Managementは比較的取り組みやすい科目であることが分かります。

  • Economics HL:6が30%、7が13%
  • Business Management HL:7取得は約7%
  • History HL:7取得は2%と難関
岡留先生

Economicsは“綺麗な分布”で、努力がそのまま反映されやすい印象です。逆にHistoryは知識も分析力も求められるため、安定して高得点を取るのは至難の業ですね。


理科(Group 4)

2025年はサイエンス新シラバスでの初試験でした。Biology、Chemistry、Physicsはいずれも大きな変動はなく、HLで7を取れた割合はおおむね5〜15%にとどまっています。また、新設科目の「Food Science & Technology」も登場しましたが、受験者数は少なく、今後の推移が注目されます。

  • Biology HL:7取得は7%
  • Chemistry HL:7取得は14.7%
  • Physics HL:7取得は18.9%
  • 新設「Food Science & Technology」:受験者はごく少数
真下先生

新シラバスの影響は想像より小さかったです。求められるスキルや問題はそんなに変わっていないと思います。


数学(Group 5)

Math AI(Applications & Interpretation)SLは依然として厳しく、7を取得できたのは3.9%と低迷を続けています。一方、Math AA(Analysis & Approaches)HLでは7取得率が16.2%に達し、難関ながらも得意層には高得点が可能な科目として存在感を保っています。

  • Math AI SL:7取得率は3.9%(前年からさらに低下)
  • Math AI HL:7取得率は9.5%
  • Math AA HL:7取得率は16.2%
岡留先生

AI SLは避けた方がいい”という流れが鮮明です。得意な人ほどAA HLを選ぶ傾向にシフトしているように見えます。


アート(Group 6)

Visual Arts SLは7を取得したのはわずか0.6%と非常に厳しい一方で、4以下に留まった受験生も多く、科目の特性が如実に現れています。制作物の完成度や時間管理が結果を大きく左右するため、学習計画と提出物管理が成功の鍵となります。

  • Visual Arts SL:7取得率は0.6%
  • 提出管理の不徹底がスコアに直結
真下先生

アートは“勉強したくない人の逃げ場”ではなく、強い熱意と管理能力がないと厳しいですね。


まとめ

2025年5月のIB DP試験は、全体としては例年通りの安定した結果でしたが、科目ごとに特徴的な動きが見られました。特に Math AI SLの厳しさ、English A HL文学の難度、そして 新シラバス科目の登場 は、今後の選択や対策を考えるうえで重要な指標となります。

  • 全体平均は例年並み
  • English A Literature HLは依然「超難関」
  • 数学AI SLは低迷続き、AA HLが主流へシフト
  • サイエンスは新シラバスでも大きな変化なし
  • 新設科目「Food Science & Technology」に注目

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参照情報源(公式)

  • IB公式「Assessment and Exams」
    https://www.ibo.org/programmes/diploma-programme/assessment-and-exams/
  • IB公式「Statistical Bulletin」
    https://www.ibo.org/research/programme-impact-research/diploma-programme-statistical-bulletin/
  • IB公式「Curriculum Updates」
    https://www.ibo.org/programmes/diploma-programme/curriculum/