広尾学園小石川中学校・高等学校のアドバンスト・グローバル(AG)コースは、帰国生にとって非常に人気が高く、毎年多くの優秀な生徒が受験します。その入試は、生徒が持つ高い英語力を評価しつつも、単なる語学力だけでは通用しない、複合的な思考力と主要科目のバランスが問われるのが特徴です。特に、英語試験の免除基準となるTOEFL iBT 90点というスコアは、受験戦略を大きく左右する重要な要素となります。

「英語が得意だから大丈夫だろう」という認識だけで対策を進めることは避けるべきです。AGコースの入試は、その特殊な英語の出題形式だけでなく、国語・算数においても一定のレベルを要求するため、三科目のバランスの取れた対策が不可欠です。本記事では、広尾学園小石川AGコースの入試傾向を徹底的に分析します。そして、TOEFLスコアの戦略的な活用方法と、合格を勝ち取るための具体的な科目別対策を解説いたします。

この記事は、TCKworkshop主催のウェビナーを基に作成しています。TCKworkshop公式Youtubeチャンネルでは、指導経験豊富な講師が実際の指導を通して蓄積した帰国生の受験、英語学習などについての情報をお伝えしておりますので、ぜひご覧ください。


帰国生入試の核心:英語資格の戦略と特殊な英語試験

広尾学園小石川AGコースの入試では、英語は最重要科目の一つですが、その対策は語学力の向上だけにとどまりません。TOEFLなどの外部資格を利用して戦略的に臨むか、特殊な独自試験に挑むか、受験戦略の選択が合否を分けることになります。

TOEFL iBT 90点超えがもたらす優位性と戦略

北村先生

英語力が高いからこそ、英語試験は避けて国語と算数に集中する戦略は非常に有効です。特にTOEFL iBT 90点というスコアは、多くの帰国生入試で優遇される水準であり、このスコアを早期に取得することは、複雑な英語エッセイ対策に時間を割く必要がなくなり、国語と算数といった他の科目の対策に充てる時間を確保できるという大きなアドバンテージにつながります。

AGコースの入試では、高い英語資格のスコアを提出することで、英語試験の免除を受けることができます。TCKの分析でも、合格者にはTOEFL iBT 90点以上を取得している生徒が多かったという傾向が見られます。

TOEFL iBT 90点というスコアは、ETSの公式ガイドラインによると、高度なアカデミック英語を理解し、複雑なコミュニケーションを効果的に行えるレベルであることを示しています。このスコアを提出することで、受験生は自身の高い英語運用能力を証明し、試験当日は国語と算数の2科目に集中し、三科目のバランス良い得点を狙う戦略を取ることが可能になります。

TOEFLの戦略的活用は、特に以下のような受験生におすすめします。

  • 英語は得意だが、日本語での国語作文や算数の応用問題に不安がある生徒
  • 広尾学園小石川AGコースの独自英語試験の形式が特殊なため、リスクを避けたい生徒
  • 海外在住で、日本の受験形式の勉強に多くの時間を割きたい生徒

TOEFLスコアを目標点に早く到達させ、英語試験免除で国算対策に集中したいご家庭は、以下の記事を参考に、具体的な学習ステップを確認することをおすすめします。

独自英語試験の難関:フィクション・ストーリー・エッセイ対策

TOEFLスコアが免除基準に満たない場合や、あえて英語試験で勝負を選ぶ場合は、広尾学園小石川AGコースの独自英語試験の核となるストーリー・エッセイへの対策が必須となります。

この試験は、単なる意見を述べる英作文ではありません。出題される「パッセージ・リーディング」と「ポエム・リーディング」という二つの異なる文章を読み解き、それらに共通する「テーマ」を特定した上で、そのテーマに基づいた物語(フィクション・ストーリー)を創作し、記述するという、複合的な読解力・洞察力・創造的ライティング力が問われる非常に難易度の高い形式です。

合格者の振り返りによると、たとえば「兄弟の絆(sibling bonds)」のような、文章に直接書かれている単語ではなく、背景にある普遍的なテーマを見抜く力が求められています。この共通テーマの発見と、それを物語として具体的に展開させる構成力が不可欠です。

  • 洞察力の養成:異なる二つの文章から、抽象度の高い共通のテーマ(例:家族の愛、成長、葛藤など)を正確に見抜くことが重要です。
  • 論理的な物語構成:見つけたテーマに基づき、起承転結のある一貫した物語を創造しましょう。さらに、物語の展開を通じて主人公が得る教訓や学びを明確に盛り込むことで、エッセイの深みを増すことにつながります。

また、パッセージやポエムに関する記述問題も出題されます。英語試験で合格を勝ち取っている生徒は、これらの記述問題においても、正確な文法とアカデミックな表現による高いライティング力を発揮している傾向にあります。この特殊なライティング形式は、一般的な資格試験の対策とは異なるため、専門的な個別指導によるフィクション・エッセイの構成練習と添削指導を積むことを強くおすすめします。

会話力とは異なるアカデミックなライティング力を伸ばすための戦略については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。


合否の鍵:国語・算数におけるバランス戦略

AGコースは英語の資格の有無にかかわらず、「英・国・数、合算した点数で評価される」傾向があり、特定科目の成績が著しく悪いと不利になるという印象が指摘されています。英語資格でアドバンテージを得たとしても、国語と算数でしっかりと得点することが合格には不可欠です。国語と算数においても、日本の受験形式に合わせた緻密な対策を進めることが重要です。

国語対策:語彙力と論理的な課題型作文

産屋敷
先生

国語は、特に海外在住歴が長い生徒さんにとって、語彙力の定着に時間がかかるため、長期的な視点に立って学習を進めることが大切です。日頃から日本語の書籍を読む習慣をつけ、出題傾向のある慣用句や四字熟語など、日本の学校教育で培われる知識を意識的に補強することが、安定した読解力と作文能力の土台を築くことにつながります。

国語は、全体の流れとして漢字問題と中学生レベルの文章読解問題が出題され、その後、文章の内容に対する課題型作文を記述する形式となります。

  • 語彙・慣用句の対策:中学受験レベルの語彙や慣用句の意味を問う問題が出題されています。語彙の問題は毎年出題形式が変わるため、特定のテキストに頼るだけでなく、日頃から多読を通じて自然な語彙力をつけることを強くおすすめします。
  • 課題型作文の構造化:読解問題の後に課される作文は、文章の内容に対する自分の意見や考えを記述する力が求められます。これは、単に内容を理解するだけでなく、それを踏まえて論理的に意見を構築し、日本語で表現する力が不可欠です。

作文の対策として、まず主張を明確にし、その理由と具体例を挙げ、最後にまとめるといった基本的な論理構成を、日本語で練習しましょう。英語で考えた内容を、減点されない正確な日本語の文章に落とし込む練習を積むことが重要です。

日本語作文が課される学校の対策については、以下の記事も参考にすることをおすすめします。

算数対策:受験算数の基礎と頻出単元の徹底演習

算数については、主に日本の受験算数の基本レベルに、基本プラスアルファの応用問題が加わるイメージです。特に以下の単元を重点的に対策することが、得点力向上に直結します。

  • 特殊算・割合の網羅:旅人算や通過算といった特殊算、および割合に関する問題は、広尾学園で毎年出題される可能性が高い頻出単元です。これらの基本公式と標準的な解法を、迅速かつ正確に使いこなせるように徹底的に演習することをおすすめします。
  • 図形問題の空間認識力:角度の問題(錯角、対頂角、平行線を利用)や、紙の重ね合わせ問題(重なった部分の面積、周辺の長さ)が出題されています。これらは、図形の性質に関する知識だけでなく、空間認識力と、それらを論理的に計算に落とし込む力が求められます。作図を通じて性質を理解し、問題解決に利用する訓練が有効です。

算数は、過去問演習を重ねることで出題傾向を掴みやすく、効果的な対策が可能です。日本の受験算数の基本的な問題集を網羅し、正確かつ迅速に解き切る力を徹底的に鍛えることが合格に直結します。


面接対策:校風理解とユニークな質問への対応力

入試の最終関門として、面接も非常に重要な要素となります。面接は、主に日本語で行われますが、英語での自己紹介を求められるなど、柔軟な対応力が必要です。面接を通じて、受験生の個性、思考力、そして広尾学園小石川の校風との適合性が評価されます。

思考力を問う質問への準備

北村先生

面接で求められるのは、「校風とのマッチング」と「海外経験からの具体的な学び」です。ただ経験を話すだけでなく、「その経験から何を学び、それを入学後にどう活かしたいか」という論理的な展望を日本語と英語の両方で表現できるように準備することをおすすめします。

面接では、一般的な志望理由や自己PRだけでなく、受験生の思考力や個性を測るようなユニークな質問が出される傾向にあります。

  • 思考力を問う質問例:「何でもできる力を手に入れたら、学校の何を変えたいですか」といった、発想力と論理的思考力を問う質問が出されています。これに対しては、単に欲しいものを答えるのではなく、「なぜそれが必要か」「学校生活にどのような良い変化をもたらすか」という合理的な理由付けを伴った回答を準備することが大切です。
  • 海外生活と学校理解:「日本の学校と今の学校の違いは何か」といった質問は、海外での生活や学習を通じて得た具体的な学びや価値観を問うものです。海外で得た異文化理解や多様な価値観を、広尾学園小石川のAGコースでどう活かしたいかを具体的に述べられるように準備しましょう。
  • 校則への意識:広尾学園系列の学校は、校則についても質問されることが多いとです。実際に質問されない場合もありますが、念のため「校則を遵守できるか」といった質問に対して、学校の規則を尊重し、学校生活を送る意思があることを明確に答えられるようにしておけると安心です。

面接は、受験生が広尾学園小石川の教育理念やAGコースの特徴を理解し、その環境で成長できる人物であるかを判断する場です。英語での自己紹介の練習、AGコースを選んだ具体的な理由と自身の学習意欲を熱意をもって伝える準備、そして海外での経験を日本語で具体的に説明できるようにすることが重要です。

AGコースの面接で聞かれる可能性のある質問への準備については、以下の記事も参考に、自信を持って臨むための心構えを確認することをおすすめします。


TCK Workshopによる広尾学園小石川AGコース対策の特別講座

TCK Workshopでは、広尾学園小石川AGコースの複雑な入試形式に対応するため、「英語エッセイ・ライティング」と「国算のバランス強化」に焦点を当てた専門性の高い個別指導を提供しています。

英語試験・TOEFL対策:戦略的な個別指導

AGコース合格の鍵となるTOEFLスコアの取得、または特殊な独自試験対策に特化した指導を行います。

  • TOEFL iBT 90点突破プログラム:TOEFLの全セクションを徹底指導し、早期に90点以上のスコアを獲得し、英語試験免除の権利を確実にするための短期集中対策を行います。
  • フィクション・エッセイ特訓:独自英語試験を選択する生徒向けに、共通テーマの発見から物語の論理的構成までを指導します。プロ講師による徹底した添削で、採点官の評価基準を満たす創造的なライティング力を養成することが可能です。

国語・算数:弱点克服と応用力強化

英語資格の優位性を活かすため、国語と算数の土台を固め、三科目総合での合格を目指します。

  • 国語作文・語彙強化:課題型作文の論理構成と、帰国生が不足しがちな中学受験レベルの語彙・慣用句を体系的に補強する指導を行います。
  • 算数頻出単元特訓:旅人算、通過算、図形、割合など、AGコースの頻出単元に絞った演習と、日本の受験算数の基礎概念の再定着を徹底的に行うことをおすすめします。

効率的な対策を求めるご家庭へ

TCK Workshopの広尾学園小石川AGコース対策は、特に以下のようなお悩みや目標を持つ方々に最適です。

  • TOEFLスコアを目標点に早く到達させ、英語試験免除で国算対策に集中したいご家庭
  • 独特な英語エッセイの採点基準や対策方法がわからず、専門的な指導を求めているご家庭
  • 海外在住中で、国語や算数の日本の受験形式に合わせた学習を、地理的な制約なく進めたいご家庭

合格への道のりは、まず「お子様の現在の実力と、志望校が求める力のギャップ」を正確に把握することから始まります。

今すぐ一歩踏み出して、広尾学園小石川AGコース合格に向けた対策を始めましょう!

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まとめ

  • TOEFL iBT 90点超えは、英語試験の免除を受け、国語・算数対策に集中できるという戦略的な優位性をもたらします。
  • 独自英語試験を選択する場合、詩と物語の共通テーマに基づいたフィクション・ストーリー・エッセイという、複合的なライティング力を対策することが必須です。
  • 合否は英・国・数のバランスで決まるため、国語は語彙力と論理的な作文、算数は受験算数の頻出単元を徹底的に強化することが重要です。
  • 面接では、ユニークな質問への思考力と、AGコースで海外経験をどう活かすかという具体的な展望を、日本語で論理的に伝えられるように準備することが求められます。