海外での学習経験を活かし、グローバルリーダーを目指すお子様にとって、三田国際学園中学校のIC(インターナショナルクラス)コースは、非常に人気の高い進学先です。しかし、2025年度入試は、従来のイメージを覆す難化傾向が明確に見られ、単なる英語力の高さだけでは合格を勝ち取ることが難しい状況になってきました。
2026年度以降の受験を考えている帰国子女のご家庭は、この新しい入試傾向を正確に捉え、早期に戦略的な対策を講じることが重要になります。本記事では、2025年度入試の様子を詳細に振り返り、三田国際ICコースの合格を掴むために、今すぐ始めるべき具体的な学習戦略と対策の鍵を、専門的な視点から解説いたします。
この記事は、TCKworkshop主催のウェビナーを基に作成しています。TCKworkshop公式Youtubeチャンネルでは、指導経験豊富な講師が実際の指導を通して蓄積した帰国生の受験、英語学習などについての情報をお伝えしておりますので、ぜひご覧ください。
2025年度入試から見るICコースの出題傾向
2025年度入試では、英検準一級のレベルをはるかに超えるアカデミックな内容が出題されることが明らかになりました。必要とされるのは、アカデミックな知識と、それを論理的に運用する思考力です。

先生
以前は「英検準1級レベル」と言われることもありましたが、2025年度入試を経て、求められるレベルはそれ以上に高くなっていると認識することが大切です。TOEFLやSATで扱われるような、高度なアカデミックテーマへの対応力が合否を分けます。
英語資格試験を超えるアカデミックな内容
ICコースの試験は、「Reasoning(算数・ロジック)」「リスニング」「リーディング」「エッセイ」の5つのタスク(リーディングは2題)で構成されており、どのセクションも専門性が高くなっています。
Reasoning(算数・ロジック)
従来の方式であるAmerican Mathに加えて、日本の受験算数の知識が問われる傾向も見られました。問題の傾向が読みづらく、純粋な計算力だけでなく、ロジックを問う問題が多く出題されています。
リスニング
内容がアカデミックで、音源も長めになっているのが特徴です。昨年度の入試では、サイエンス(化学反応)についてのトピックが出題されました。これは、単に英語を聞き取る力だけでなく、専門的なトピックに関する背景知識を持っていることが、理解度を大きく左右することを示唆しています。
リーディング
大問は2題で、いずれも非常にアカデミックな内容でした。トピックとしては、コンピュータチップやオーストラリアの成立ちなどが出題されています。解答形式は、自分の言葉で答えを記述する記述式と、選択肢から選ぶ選択式の2種類があり、記述式では文章を言い換えるパラフレーズの能力が問われる可能性もあります。
エッセイ(ライティング)
抽象度が高いテーマが出題されることが特徴です。例えば、「学校で事実を暗記することは重要だと思うか」といった、生徒自身の深い考えと、それを論理的に構成する力が問われる問題が出ました。
合否を分ける「制限時間の短さ」という壁
入試の難しさをさらに高めているのが、制限時間の短さです。5つのタスクを60分間でこなす必要があり、1つのタスクに15分もかけられないというシビアな時間配分になります。
特に、合否に大きく影響するエッセイは、論理構成を練る時間も含めて、使える時間が15分から20分程度に限定されてしまいます。この限られた時間内で、アカデミックで抽象度の高いテーマについて、論理的な文章を完成させるには、高度な時間管理能力と戦略が必要になります。
したがって、エッセイで確実に時間を確保するためには、選択式の問題を迅速に終わらせる、あるいは、戦略的にエッセイを優先するなど、事前に試験戦略を綿密に立てておくことが重要になります。
帰国子女の中学受験において、英語資格のスコアと、入試で求められるアカデミックな力のギャップについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
2026年度合格に向けて今すぐ取り組むべき最重要対策
2025年度入試の傾向を踏まえ、三田国際ICコース合格を確実にするために、帰国子女の生徒様が今すぐ始めるべき対策を3つの視点から提案いたします。
対策1:アカデミックな知識と算数の融合学習
三田国際が求めるのは、英語力と知識を組み合わせたアカデミックな運用能力です。単なる英語学習から一歩進み、専門分野の知識を英語で理解・処理する練習が欠かせません。

過去問が少ないと焦ってしまいがちですが、大切なのは「解く回数」ではなく、「一回一回からどれだけ深く学び、戦略を練り直すか」です。特に時間配分は、何度もシミュレーションすることで、確実に改善していくことができます。
科学・社会科学トピックの集中的インプット
リスニングやリーディングで専門的なトピックが出題されることを踏まえ、背景知識の強化が必要です。
具体的な学習法
TOEFLやSATの教材で扱われる学術的なテーマ(生物学、物理学、歴史、社会学など)を意識的に取り入れることをおすすめします。ETSのTOEFL公式情報などで推奨されているトピックを参考に、ニュース記事やドキュメンタリーを視聴する際は、内容を英語で説明できるように、専門用語の定義や概念を正確に理解しながら進めることが大切です。
Reasoning対策として、日本の受験算数の重要概念(割合、速さ、比など)を、現地校で習う英語の数学用語と結びつけて理解することを重視しましょう。英語と日本語の両方でスムーズに説明できるように訓練することで、問題の傾向が読みづらいReasoningにも対応しやすくなります。
アカデミックな知識を英語で効果的に学習する方法については、TOEFL対策の観点から詳細に解説している以下の記事もご参照ください。
対策2:時間戦略に基づいたエッセイの「完成度」追求
エッセイで合否が分かれる傾向があるため、「時間内に完成させる力」を最優先で養う必要があります。

エッセイは、リーディングやリスニングの選択式問題と異なり、時間をかければかけるほど質が向上するタスクです。しかし、入試ではその時間が与えられていません。だからこそ、時間を確保するための戦略と、「15~20分で論理を完成させる」訓練が最も重要になります。
厳格な時間配分シミュレーション
エッセイに割ける時間が限られていることを前提に、戦略的な時間配分を徹底的に練習しましょう。
練習の具体的なステップ:
- トピック分析とアウトライン作成: 最初の5分で、テーマを分析し、主張(Thesis)と二つの主要な論拠(Body Paragraphs)、結論の骨子を決定します。
- 執筆: 残りの10〜15分で、アウトラインに基づき、論理的で簡潔な文章を一気に書き上げます。
この時間配分を何度も繰り返すことで、本番でどのタスクを優先し、どこを素早くこなすべきかという試験戦略が身体に染みつくことになります。抽象度の高いテーマを使って、本番さながらのプレッシャーの中で練習することが大切です。
パラフレーズ能力の徹底的な訓練
リーディングの記述式や、エッセイの導入・結論で文章を自分の言葉で言い換えるパラフレーズは、アカデミックな運用能力を示す重要なスキルです。
- 具体的な学習法: 日常のリーディング学習において、読んだ文章や段落の重要な情報を、元の単語や構文を一切使わずに、同義の別の表現で書き換える練習を取り入れてください。この練習は、語彙力や文法力の向上だけでなく、情報の深い理解にもつながります。
話す力はあっても書く力でつまずく帰国生は少なくありません。ライティング対策の盲点と克服法については、以下の記事も参考に、エッセイの完成度を高めていくことをおすすめします。
対策3:過去問を活用した戦略の確立とブラッシュアップ
過去問が不足しているからこそ、手に入る情報を最大限に分析し、戦略をブラッシュアップしていくことが、合格を確実にするための重要なプロセスとなります。
過去問演習による戦略の検証と修正
利用可能な過去問は、時間戦略を検証するシミュレーターとして活用しましょう。
具体的な演習のポイント
- 時間測定の徹底: 各タスクにかかった時間を厳密に測定し、事前に立てた戦略とのずれがないかを確認します。
- 優先順位の検証: 「エッセイに十分な時間を残せたか?」を最重要視し、残せなかった場合は、選択肢をより素早く処理するよう、戦略の修正を行います。
帰国子女の中学受験スケジュールと、いつ何をすべきかという全体像については、以下の記事も参考にして、計画的に対策を進めてください。
TCK Workshopの三田国際 ICコース対策専門個別指導
TCK Workshopでは、三田国際ICコースの最新の入試傾向、特に「アカデミックな内容」と「時間制限の厳しさ」に特化したオーダーメイドの個別指導を提供しております。
- 専門的な知識と英語の融合指導: TOEFL/SATレベルのアカデミック・イングリッシュを土台に、Reasoning対策として日本の受験算数の重要概念も指導し、知識のギャップを埋めます。
- 戦略的エッセイ指導: 15〜20分というシビアな制限時間内で、抽象度の高いテーマに対し、論理的なアウトラインを迅速に作成し、説得力のある文章を完成させることに特化した訓練を行います。
- 個別化された時間戦略の確立: 過去問分析に基づき、生徒様一人ひとりの得意・不得意に合わせて、どのタスクから始め、どこで時間を節約するかという最適な試験戦略を確立します。

先生
合格への道のりは、まず「お子様の現在の実力と、志望校が求める力のギャップ」を正確に把握することから始まります。三田国際ICコースが求めるのは、英検準1級を超える「アカデミックな知識を論理的に運用できる力」です。このギャップを埋めるための専門的な指導計画を立てることは、早期合格に直結します。
2026年度入試に向けて、お子様の現在の実力と志望校の要求レベルとのギャップを正確に把握し、最適な学習プランを作成したいとお考えでしたら、TCK Workshopの無料教育相談をご利用いただくことをおすすめいたします。
まとめ
- 三田国際ICコースの入試は、形式的な英語力ではなく、TOEFL/SATレベルのアカデミックな知識と、論理的な思考力が合否を分ける。
- 合否の鍵は、エッセイの時間内に完成させる力にあります。15〜20分で抽象度の高いテーマの論理構成を終え、説得力のある文章を書き上げる戦略的な練習が不可欠。
- リスニングやリーディングの専門的なトピックに対応するため、科学・社会科学系トピックの背景知識を強化し、パラフレーズの能力を養うことが重要。
- 利用可能な過去問や類題を活用し、戦略的な時間配分のシミュレーションを繰り返すことが、本番での成功に直結する。

