近年、帰国生入試において非常に人気の高い山脇学園中学校・高等学校。その入試科目の一つである「英語エッセイ」について、「英検のライティング対策だけで大丈夫だろうか」「どのくらいのレベルが求められるのか」と不安を感じている保護者様や受験生も多いのではないでしょうか。

山脇学園の英語エッセイは、一見すると英検のライティング問題に似ていますが、合格するためには学校側が求めている独自の「評価ポイント」を理解しておくことが重要です。英検準1級を持っていないと合格できないわけではありませんが、単に英語が書けるだけでは点数が伸び悩んでしまうこともあります。 本記事では、TCK Workshopのウェビナー解説をもとに、山脇学園のエッセイ入試の特徴、英検との決定的な違い、そして合格ラインに乗るための具体的な書き方と構成テクニックについて徹底解説します。

瀧澤先生

講師:瀧澤 真結

 TCK Workshop プレミアム講師。東京学芸大学附属国際中等教育学校、上智大学国際教養学部(FLA)卒業。フィリピン・ケニアでの滞在経験を持つ。 英検1級の圧倒的な英語力に加え、生徒一人ひとりの魅力を対話を通して引き出す自己PR・面接・エッセイ指導が武器。多くの帰国生が目指すキャリアを体現するロールモデルとして、学習指導とメンタルサポートの両面で絶大な信頼を得ている。

    この記事は、TCKworkshop主催のウェビナーを基に作成しています。TCKworkshop公式Youtubeチャンネルでは、指導経験豊富な講師が実際の指導を通して蓄積した帰国生の受験、英語学習などについての情報をお伝えしておりますので、ぜひご覧ください。

    山脇学園英語エッセイの基本データと難易度

    瀧澤先生

    英検準1級の資格自体は必須ではありませんが、ライティング力としては準1級に近い構成力が求められます。「2級は持っているから安心」と思わず、制限時間内に質の高い文章を書くトレーニングを積んでおくことが重要です。

     まず、山脇学園の英語エッセイ入試の基本的な形式を把握しましょう。試験時間は30分と比較的短く、その中で与えられたトピックに対して自分の意見をまとめる必要があります。

    試験時間:30分

    語数目安:100語〜120語程度

    出題形式:質問文に対して自分の意見と2つの理由、それぞれの根拠を述べる

    この「100〜120語」という語数は、英検2級のライティングが大体80〜100語、英検準1級が120〜150語であることを考えると、山脇学園のエッセイはその中間に位置していると言えます。 実際に合格している生徒さんの様子を見ると、英検準1級を持っている子はもちろん合格していますが、英検2級ギリギリ合格レベルの子だと少し苦戦する傾向にあります。目安としては、「英検2級のライティングなら余裕を持って満点近く取れる」「準1級には届かないけれど、2級よりは書ける」というレベル感を目指して対策することをおすすめします。

    英検とはここが違う!合格答案を作るための構成とポイント

    英検2級および準1級のライティング試験と山脇学園英語エッセイの試験時間・語数制限の比較

     山脇学園のエッセイ入試で高得点を取るためには、英検の対策本に載っているような定型文をただ並べるだけでは不十分です。ここでは、山脇学園が重視している「評価基準」に基づいた、具体的な構成と書き方のコツを解説します。

    合格のカギは「パーソナルエビデンス(個人の経験)」

     問題用紙には、よく「Include your own personal evidence to support your opinion(あなたの意見を支える個人的な証拠を含めなさい)」といった指示が書かれています。ここが英検との最大の違いであり、最も重要なポイントです。 英検のライティングでは、一般的な事実や社会的な理由(便利だから、環境にいいから等)を述べることが多いですが、山脇学園では「あなた自身の具体的な経験」を根拠として書くことが強く求められます。

    例えば、「グループ旅行と一人旅、どっちがいい?」という問いに対して、「グループ旅行がいい」と答える場合、単に「楽しいから」とするのではなく、「私が以前家族と沖縄に行った時、父がレンタカーを借りてくれたので移動費が安く済んだ」といった、具体的でオリジナリティのあるエピソードを盛り込むことで説得力が格段に増します。

    瀧澤先生

    この「経験談」は、必ずしも事実である必要はありません。試験という限られた時間の中で、論理に合うエピソードが思いつかない場合は、想像力を働かせて「もっともらしい経験」を作り出しても大丈夫です。大切なのは、事実かどうかではなく、意見を支える根拠として論理的に成立しているかどうかです。

    評価基準の50%は「論理構成」

     山脇学園の評価基準は、文法や語彙の正確さ(英語能力)が約10%、そして論理的思考力(Logic)が約50%を占めていると言われています。 つまり、難しい単語を使ってスペルミスをするよりも、中学生レベルの知っている単語を使って、筋の通った論理的な文章を書く方が圧倒的に点数が高くなるということです。 よくある失敗例として、具体例を書こうとするあまり、話が脱線してしまい「結局、質問に対する答えになっていない」というケースがあります。常に「この具体例は、私の主張(理由)を説明できているか?」と自問しながら書き進めることが大切です。

    瀧澤先生

    文法や語彙は、多くの受験生がある程度のレベルに達しているため、そこで大きな差はつきにくいです。合否を分けるのは「どんな具体例を出せるか」と「質問に対してブレずに答えているか」という論理面です。普段から自分の経験を英語で説明する練習をしておきましょう。

    実際の解答例から学ぶ「受かるエッセイ」の流れ 

    では、ウェビナーで紹介されたサンプル解答の流れを見て、イメージを具体化しましょう。

    問題の例(サンプル)

    Write your opinion about the QUESTION and two reasons why. With each reason, include your own personal evidence to support your opinion. The word count is around 100-120 words.

    QUESTION

    Some people say that going on a group tour is better than travelling alone. What do you think about that?

    【構成例】

    Introduction: 最近はソロキャンプなどが流行り、一人旅も一般的になってきました(背景)。しかし、個人的にはグループツアーの方が良いと思います(意見)。理由は2つあります。

    Body 1: まず、費用面でのメリットです(理由)。以前家族と旅行した際、父が運転する車に同乗できたので交通費がかかりませんでした(具体的経験)

    Body 2: 次に、共有する楽しさです(理由)。学校の修学旅行で友人とたくさんの写真を撮った際、一人では味わえない楽しさを感じました(具体的経験)

    Conclusion: 以上の理由から、グループの方が有益だと考えます。将来的には多くのツアーに参加し、世界について学びを深めたいです(展望を含めた再主張)。

    このように、約120語の中に「自分の意見」と「2つの経験に基づいた理由」がきれいに収まっていることがわかります。難しい構文を使う必要はありません。接続詞(First, In addition, For instance, Thereforeなど)を効果的に使い、スムーズな流れを作ることがポイントです。

    瀧澤先生

    最後のConclusionで、単に「だから私はこう思います」で終わらせず、「この経験を通してこう成長したい」「将来はこうありたい」といった前向きな視点を付け加えると、採点者に「よく考えている生徒だな」という印象を与えられます。オリジナリティをアピールするチャンスです。

    英検2級のライティング対策について、基礎から確認したい方はこちらの記事も参考にしてください。

    今日からできる!対策ステップ

    山脇学園の入試に向けて英語エッセイの過去問演習に集中して取り組む受験生の様子

    山脇学園エッセイ対策の学習ステップ 山脇学園のエッセイ入試を攻略するために、今日からできる対策ステップをご紹介します。

    過去問や類似問題で「10回以上」書く

    まずは数をこなすことが重要です。似たようなトピック(SNSの是非、制服の有無、都会と田舎の暮らしなど)に対して、30分以内に120語で書き切る練習を最低でも10回は行いましょう。

    「経験の引き出し」を増やしておく

    書くたびにゼロからエピソードを考えると時間が足りなくなります。「家族旅行」「学校行事」「部活動」「ボランティア」など、使い回しができそうな自分の鉄板エピソードをいくつか英語で準備しておくと、本番で焦らずに済みます。

    正確なフィードバックをもらう

    自分で書いているだけでは、論理の飛躍や不自然な表現に気づきにくいものです。学校の先生や塾の講師に添削を依頼し、「質問に答えられているか」「具体例は適切か」を客観的にチェックしてもらうことを強くおすすめします。

      まとめ

      山脇学園の英語エッセイ入試は、英検準1級ほどの難解な語彙力は必須ではありませんが、英検2級以上の「書く力」と、独自の「論理構成力」が求められます。

      ・語数と時間は英検2級と準1級の間(100〜120語/30分)

      ・合格のカギは「パーソナルエビデンス(個人の経験)」を具体的に盛り込むこと。

      ・評価の50%は論理構成

      ・難しい言葉より、筋の通った説明を重視する。 4段落構成(導入・理由1+経験・理由2+経験・結論)を徹底して練習する。

      英語力だけでなく、「自分の言葉で経験を語る力」を養うことが、山脇学園合格への近道です。まずは身近なトピックから、自分のエピソードを交えて意見を書く練習を始めてみましょう。

      関連記事 受験対策を進める上で、英語資格の取得や他校のライティング対策も重要になります。以下の記事も併せてご覧ください。

      三田国際も受験予定の方はこちら

      二級か羅準一級に挑戦される方はこちら

      今すぐ行動!合格への第一歩を踏み出しましょう

      TCK Workshopのオンライン授業で講師からエッセイの添削指導を受けている様子

      TCK Workshopでは、山脇学園をはじめとする帰国生入試のエッセイ対策に精通したプロ講師が、お子様一人ひとりのレベルに合わせた個別指導を行っています。「自分の経験をどう英語にすればいいかわからない」「論理的な文章になっているか不安」という方は、ぜひ一度プロの視点での添削を体験してみてください。

      お子様の現在のライティング力が山脇学園の合格ラインに達しているか、まずは無料教育相談で確認してみませんか?経験豊富な講師が、最適な学習プランをご提案します。体験授業で、エッセイの添削指導を実際に受けてみることをおすすめします。

      学校別対策に最適!TCKの特別講座
      各種特別講座はこちら
      ビデオ講座、模試、夏期講習etc
      どんなことでもOK!まずはお悩みをお聞かせください。
      無料学習相談はこちら
      経験豊富な学習相談員が対応!