前回の記事では、三田国際ICコース受験の英語ライティングの得点の取り方について、サンプル問題とともに実践解説を行いました。
本記事では、三田国際ICコースのReading記述問題を攻略するために、TCK Workshopのプロ講師が解説する「類題の具体的な解法」と「直前に点数を上げるための実践テクニック」を徹底的に解説します。文章のどこに注目し、どのように解答を組み立てれば高得点に繋がるのか、その戦略を深掘りしていきます。

講師:産屋敷二コラ
TCK Workshop 特別講師。カナダ生まれ、Capilano University(カナダ)、南山大学卒業。指導経験豊富なバイリンガル講師として、英検・TOEFL・IELTSなどの英語資格対策から、SAT/SSAT、IB French ab initioといった海外カリキュラムまで、幅広い言語教育と帰国生受験対策を専門とする。
この記事は、TCKworkshop主催のウェビナーを基に作成しています。TCKworkshop公式Youtubeチャンネルでは、指導経験豊富な講師が実際の指導を通して蓄積した帰国生の受験、英語学習などについての情報をお伝えしておりますので、ぜひご覧ください。
三田国際ICコース Reading記述問題の特徴と重要性
三田国際ICコースのReadingセクションは、一般的な読解問題に加えて、リーズニング(推論・論理的思考)を問う問題や、記述形式の解答を求める問題が出題される点が特徴です。特に記述問題は、単なる内容理解を超えた高度な英語運用能力を試すものであり、合否を分ける重要なセクションとなります。
記述問題は「過程」と「結果」の両方を問う
記述問題では、物語や論説文といった英文の主役(テーマ)が、「どのように」してある結果に至ったのかというプロセス(過程)と、その結果を正確に捉えて説明する力が求められます。
問題例:
The East India Company, a British trading company, initially established a foothold in India for commercial purposes but gradually expanded its influence and control over vast territories through military conquests and political alliances. Under British rule, India underwent significant transformations that had both positive and negative consequences for its people and society. On one hand, the British introduced modern infrastructure, such as railways, telegraphs, and a postal system, which facilitated communication and transportation across the vast subcontinent. They also established a formal education system, with English as the medium of instruction, which created a new class of educated Indians who were exposed to Western ideas and values. However, the colonial regime primarily served British interests and exploited India’s resources for the benefit of the British Empire. The British implemented policies that discouraged the development of indigenous industries, turning India into a source of raw materials for British factories and a market for British manufactured goods.
Questions
- How did the British East India Company establish its control over India?
- Paraphrase the underlined sentence.
この問題を例にとると、英国の東インド会社(The East India Company)がインドを支配(コントロール)するに至った経緯を説明する問題では、以下の3つの要素を解答に含めることが重要です。
- 導入の目的(過程の始まり): 会社が商業目的(commercial purposes)でインドに入ったこと。
- 影響力拡大の方法(過程の発展): 次第に影響力を拡大し、軍事行動(military conquest)と政治的同盟(political alliance)を通じて支配を確立していったこと。
- 最終的な結果: インドをコントロールするに至ったこと。

単に「軍事力と政治で支配した」という結果だけを述べるのではなく、「商業目的で始まり、段階的に影響力を広げ、軍事・政治的な手段によって支配を確立した」という一連の過程(gradually expanding from a commercial company)を記述することが、満点につながる解答を作成するための鍵となります。
合格を確実にする3つの実践対策

三田国際ICコースのReading記述問題で直前に点数を引き上げるためには、ただ英文を多読するだけでなく、出題形式に特化した具体的な解答作成スキルを磨く必要があります。ここでは、特に重要な3つの対策について、具体的な方法を解説します。
1. 問いの要求を正確に捉え、構造的に文章を抽出するトレーニング
記述問題の解答は、本文中の情報をそのまま抜き出すのではなく、設問の問いに過不足なく答える形で再構成する必要があります。この「問いの要求を正確に捉える力」は、直前対策で集中的に伸ばすことが可能です。

英文のどこに重要な情報が書かれているかを見極めるには、「主語と述語」、そして「接続詞や副詞」に注目することが重要です。「どのように(How did…)」という問いに対しては、「because」「through」「by means of」といった方法や手段を示す言葉の周辺に、解答の核となる情報が隠されています。まずは、設問と同じ情報(主役やテーマ)が書かれている本文の一文を特定し、その一文が「過程」や「結果」をどの部分で説明しているのかを分析するようにしましょう。
具体的な抽出テクニック
- 主役と動詞の確認: 設問で問われている主役(例:The British East India Company)と、それが行った行為(例:establish control over India)を本文のどこで説明しているかを探します。
- 方法(How)を示す語句の特定: 設問がHowを問うている場合、本文中の「through military conquest and political alliance」のように、手段や方法を明示している箇所をセットで抜き出す訓練を重ねるべきです。
- 段階を示す副詞の活用: 「gradually(次第に)」や「initially(当初は)」など、時間的・段階的な変化を示す副詞は、「過程」の説明に不可欠な要素です。これらの語句がある場合は、解答の導入部分として組み込むことをおすすめします。
このトレーニングを積むことで、本文の内容を広くぼんやりと捉えるのではなく、解答に必要な具体的なパーツをピンポイントで抽出するスキルが身につきます。
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2. パラフレーズ問題の攻略法:単語の言い換えと文構造の変換
三田国際のReading記述問題における「名物」とも言えるのが、本文中の下線部を「自分の言葉で書き換える」パラフレーズ問題です。この問題は、単語力と、英文の構造を柔軟に組み替える高度な英語運用能力を試します。直前に点数を上げるためには、「無理をしない言い換え」と「構造変更のテクニック」を習得することが鍵となります。

パラフレーズの目的は「全てを変えること」ではなく、「意味合いや意図を変えずに違う言葉で表現できるか」を見ることです。単語の言い換えが思いつかないからといって無理に不確実な語彙を使うと、かえって減点の原因になります。「確実に置き換えられる単語のみを変える」というルールを徹底し、あとは「文の構造を変える」ことで、パラフレーズとして成立させるテクニックを身につけることをおすすめします。
確実なパラフレーズの実行ステップ
- 核となる語彙の確実な言い換え
- Underwent(経験した/くぐり抜けた)→ Went through
- Significant(重要な/大きな)→Major
- Transformation(変容) →hange
- Consequences(結果/影響)→Effects
- Positive and Negative → Good and Bad
これらのように、意味が完全に一致する、または非常に近しい同意語(シノニム)への置き換えから始めます。
- 接続句の位置の変更(文構造の変換):
元の文が「Under British Rule, India underwent significant transformations…」と、前置詞句(Under British Rule)で始まっている場合、この句を文の最後に移動させ、主語(India)から文を始めるように構造を組み替えます。- 元の構造: During British Rule, India went through major changes…
- 変更後の構造: India went through major changes… during British Rule.
この構造変更だけでも、元の文章とは大きく異なる表現として認識され、パラフレーズとして有効になります。
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3. 実践演習と時間配分:模試を活用した学習サイクルの確立

試験直前の対策では、問題形式の理解だけでなく、制限時間内に質の高い記述解答を作成する時間管理能力が決定的に重要になります。三田国際ICコースの入試対策で、T C K Workshopが推奨するのは、模試を活用した学習サイクルの確立です。

模試を受ける最大のメリットは、「現在の実力値の把握」と「本番の時間感覚の体得」です。特に三田国際ICコースの模試は、リーズニングやライティングなど、セクションごとに解説や対策のコツを学ぶことができます。模試を解くだけで終わらせず、解答・解説を利用して「なぜ間違えたのか」「どうすれば満点が取れたのか」を分析するプロセスこそが、直前の点数アップに直結します。このPDCAサイクルを回すことをおすすめします。
模試を活用した学習サイクル
- 【現状把握】 模試を制限時間内に解き、現在の実力と苦手なセクション(リーズニング、リーディング記述など)を特定します。
- 【コツ伝授】 模試の解説を用いて、各セクションごとの解き方のコツや解答作成のポイントを講師から学びます。
- 【演習と習熟】 大問別の演習を通じて、学んだコツを実際に問題に適用し、正確な解答を作成する力を磨きます。
- 【成長実感】 再度模試を解き、一連の学習を通じて自身の成長と対策の成果を実感します。
特にReading記述問題では、解答の作成に時間がかかりがちです。模試を通じて、本文の読解、情報の抽出、記述解答の作成にそれぞれ何分かけられるかという時間配分を確立することで、本番での焦りをなくし、安定したパフォーマンスを発揮できるようになります。
TCK Workshopの特別講座
TCK Workshopでは、三田国際中学ICコースの対策に特化した模試と、集中的な対策ができる夏期・冬期講習を実施しています。下記ボタンから特別講座のご案内ページをご覧ください。
まとめ
三田国際ICコースのReading記述問題で点数を直前に上げるためのポイントは、「形式の理解」と「実践的なスキルの習得」に集中することです。
- 記述問題の核: 「商業目的から始まり、軍事行動と政治的同盟を通じて支配を確立した」というように、過程と結果の両方を構造的に記述することを意識しましょう。
- パラフレーズの戦略: Went through / Major / Change / Effects などの確実な同意語で語彙を置き換え、前置詞句の位置を変えることで文構造を変換し、解答の質を高めることが重要です。
- 直前対策: 模試を活用し、現在の実力を把握した上で、解説で学んだ解法のコツを演習で実践し、時間配分を確立する学習サイクルを回しましょう。
三田国際の入試は、帰国生にとってこれまでの学習成果を発揮する絶好の機会です。適切な対策と戦略をもって、自信を持って本番に臨むことをおすすめします。
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