茗溪学園中学の入試は「国際生特別選抜」を始め、複数の出願機会やA方式・B方式の違い、さらには「スライド合格」といった独自の仕組みがあり、全体像を把握するのは容易ではありません。

この記事では、茗溪学園の中学入試における帰国生(国際生)が対象となる入試の形式に焦点を当て、海外在住者も受験できるのかを含め、出願資格、試験の仕組みを、具体的な情報に基づいて解説していきます。茗溪学園への進学を目指す生徒さんと保護者の方にとって、確実な準備を進めるためのロードマップとなることを目指します。

北村先生

講師:北村 優奈

 TCK Workshop プレミアム講師。立命館高等学校、立命館大学国際関係学部卒業。中国(上海)とアメリカでの滞在経験を持つ日・英・中のトライリンガル。 自身の帰国枠中学受験の経験を活かし、小学校全科目の基礎指導から、中学・高校入試対策、英検対策、さらに志望理由書作成まで幅広く指導を担当。 特に、海外生活と日本の受験勉強のギャップに悩む小学生・中学生に対し、学習面だけでなくメンタル面もしっかり支える存在として信頼を集める。

    入試制度は年度によって変更される可能性があるため、受験準備を進めるにあたっては、必ず茗溪学園公式ホームページに掲載されている最新の募集要項をご確認ください。

    茗溪学園の国際生入試:出願資格とコースの概要

    茗溪学園の試験会場のイメージ

    茗溪学園の中学入試では、一般入試に加え、国際生特別選抜入試が設定されており、最大で計4回の入学の機会があります。この国際生特別選抜は、さらにA方式とB方式に分かれているほか、入学後に選択するACコースとMGコースによって試験内容や選抜基準が異なります。

    茗溪学園中学入試の国際生出願資格

    茗溪学園の中学入試における「国際生」として出願するための資格は、以下のいずれか一つを満たしていれば認められます。

    1. 海外在籍歴1年以上で、なおかつ帰国後3年以内であること。
    2. 英検準2級以上を取得していること。

    例えば、海外在籍歴がない場合でも、英検準2級以上を取得していれば国際生として受験することが可能です。

    2つのコース:ACコースとMGコース

    茗溪学園の中学には、AC(アカデミアクラス)コースとMG(茗溪ジェネラル)コースの2コースがあります。それぞれのコースが異なる質の学びを提供しており、入試科目の種類も異なるため、志望するコースによって対策も変える必要があります。

    • MGクラス(Meikei General) 基礎・基本を徹底し、幅広い学びを重視する標準的なクラスです。多くの生徒がこのコースで学びます。
    • ACクラス(Academia Class) 「なぜそうなるのか?」という探究心や、学んだことをアウトプットする力を特に重視するクラスです。例えば数学なら、公式を覚えるだけでなく、その公式が成り立つ理由から考え抜くような授業が行われます。

    入試では、ACクラスを志望して合格基準に達しなかった場合でも、MGクラスの基準を満たしていればMGクラスとして合格となる「スライド合格」の制度があります。そのため、探究学習に興味があるお子様は、まずはACクラスにチャレンジしてみるのも一つの戦略です。

    北村先生

    ACクラスは特殊なカリキュラムのため、お子様の性格に合うかどうかが重要です。コツコツと知識を積み上げるのが得意なタイプならMG、試行錯誤しながら自分で答えを見つけるのが好きなタイプならACが向いているかもしれません。どちらに入っても、途中でのコース変更(ACからMG、またはその逆)も可能ですので、現時点での適性で選んでみてください。

    海外在住でも受験可能か?国際生特別選抜とオンライン試験

    茗溪学園の海外オンライン試験のイメージ

    茗溪学園は、海外在住の生徒さんが日本に帰国せずに受験できる体制を整えています。国際生特別選抜や編入学試験(転学・編入)の一部は、完全にオンラインで実施されています。

    国際生特別選抜のオンライン実施

    国際生特別選抜(中学・高校)の一部試験は、完全にオンラインで実施されます。これにより、海外に在住している生徒さんも、現地から日本に帰国することなく入試を受けることが可能です。

    試験の説明会やウェビナーでの情報によると、受験はご自身のパソコンで実施されますが、Zoomを接続して、手元や顔などを監督する形式をとっています。使用システムとしてexam.NETなどが利用されるケースがあり、試験中に違う画面を開くとロックされるといった、公平性を保つための機能も備えています。

    また、試験はアメリカ・アジア地域のタイムゾーンと欧州地域の2つのタイムゾーンで実施されるため、時差への配慮もなされています。

    編入学試験のオンライン実施

    編入学試験(転学・編入)も、全てオンラインでの実施となります。

    受験資格としては、出願時に海外の現地校、国際校、日本人学校に在籍している場合、あるいは海外修学歴が1年以上で、帰国後3年以内である場合などが挙げられます。

    北村先生

    茗溪学園のオンライン入試は、海外からの受験生を強力にサポートする仕組みです。時差やシステムに不安がある場合は、事前に練習会に参加することをおすすめします。オンラインでの受験は、移動の負担やコストを大幅に削減できる大きなメリットがあります。

    国際生特別選抜入試の詳細:A方式とB方式の違い

    茗溪学園の国際生特別選抜は、AC入試とMG入試のそれぞれにおいて、A方式とB方式の2種類が設けられています。このA方式とB方式の違いは、合格した場合に英語特別クラス(EECクラス)が確約されるかどうかにあります。

    A方式:英語特別クラス(EECクラス)の確約

    A方式で合格した場合、入学後に英語特別クラス(EECクラス)に所属することが確約されます。このEECクラスは、特に高い英語力を持つ生徒を対象としたクラスです。

    A方式に課される英語の試験の難易度は、概ね英検2級相当をイメージしているとのことです。

    B方式:合格後の選抜試験

    B方式で合格した場合、合格後、改めてEECクラスに入るための選抜試験が実施されます。B方式はA方式と比較して、入学後のクラス編成が柔軟であると言えます。

    北村先生

    国際生特別選抜のA方式は、英検準1級相当の高い英語力が求められます。英語力を武器に受験したい場合はA方式、英語以外の科目も得意な場合はB方式など、ご自身の得意分野や入学後の希望に応じて受験方式を検討することをおすすめします。

    国際生特別選抜の出願日程と注意点

    国際生特別選抜は、一般的に11月中旬に実施されるほか、第1回、第2回、第3回入試(MG・AC入試のそれぞれ)も受験することができます。

    国際特別選抜と第1回、第2回、第3回入試は同日出願が可能ですが、国際特別選抜のみは、それ以外の入試とは別の出願となりますので、あらかじめご注意ください。

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    合格のチャンスを広げる「スライド合格」の仕組み

    茗溪学園のスライド合格のイメージ

    茗溪学園の入試制度の大きな特徴の一つに、スライド合格の仕組みがあります。これは、出願したコース・方式の合格基準には達しなかった場合でも、他のコース・方式の合格基準を満たしていれば、そちらの合格を出してもらえるという制度です。この仕組みは、国際生として受験する生徒さんにとって、合格のチャンスを大きく広げるものとなります。

    スライド合格の具体的なケース

    茗溪学園の入試では、例えば以下のようなスライド合格のケースがあります。

    ACのA方式からACのB方式へのスライド


    ACのA方式に出願し、国語と算数は基準を満たしたものの、英語の基準(EECクラスの基準)にわずかに満たなかった場合、ACのB方式の合格が出されることがあります。

    ACコースからMGコースへのスライド

    AC入試に出願し、英語と国語は基準を満たしたが、算数の点数がACの基準に満たなかった場合でも、もしその算数の点数がMGコースの基準を満たしている場合は、MGのA方式の合格が出されることがあります。

    北村先生

    スライド合格は、受験生にとって非常に心強い制度です。例えば、ACコースを第一志望としていたとしても、万が一基準に届かなくてもMGコースで合格を得られる可能性があるということです。複数のコース・方式の基準を意識し、自分の得意な科目でしっかりと得点できるように準備することが重要です。

    スライド合格を意識した入試科目の対策

    スライド合格のチャンスを最大限に活かすためには、コースや方式によって異なる入試科目の傾向を事前に把握し、対策することが大切です。

    各コース・方式の正確な入試科目や配点については、必ず茗溪学園の公式ホームページの入試要項をご覧になることをおすすめします。

    【関連記事】有名校で必要とされる国語力が知りたい方はこちらもご覧ください。

    国際生特別選抜の過去問と対策

    国際生特別選抜の問題は、一般的な出版社から販売されている過去問集には含まれていません。国際生特別選抜の過去問は、学校に直接メールで問い合わせることで入手することができます。

    過去問の難易度について、学校側は「難易度という目線では作っていない」としつつも、算数については基本的な計算問題に加え、あえて初めて見るような、困るような状況を意図的に作り出していると説明されています。そのような状況にどれだけ立ち向かえるか、試行錯誤できるかを見る問題が出題される傾向にあります。一般的な小学校の教科書だけでは見たことのない出題形式に戸惑う可能性があるため、過去問を通じて出題の意図を把握し、思考力と応用力を鍛えることが重要です。

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    その他の入試制度:推薦入試と編入学試験

    茗溪学園は、国際生特別選抜の他にも、帰国生を対象とした推薦入試や編入学試験を実施しています。

    推薦入試の概要

    中学の推薦入試を検討されている方は、公式の募集要項に記載されている以下の条件と注意点をご確認ください。

    出願資格として、小学校5年次と6年次の9教科の評定合計が46以上であることが求められます。または、評定合計が44以上であっても、何かしらの資格やスポーツでの成績がある場合は出願資格として認められることがあります。

    なお、推薦入試は合格した場合に入学を確約する専願での出願となります。

    編入学試験(転学・編入)

    編入学試験は全てオンラインでの実施です。

    試験は年に6回行われますが、前期(6月・7月・9月)で1回、後期(10月・12月・2月)で1回という受験回数の制限があります。つまり、同じ前期期間内で複数回受験することはできませんので、受験時期の計画は慎重に立てる必要があります。

    まとめ

    茗溪学園の帰国生入試は、生徒さんの多様なバックグラウンドや能力を評価するために、複数のチャンスと柔軟な選抜方法が用意されています。

    • 国際生出願資格:海外在籍歴1年以上かつ帰国後3年以内、または英検準2級以上で出願が可能です。
    • オンライン受験:国際生特別選抜や編入学試験はオンラインで実施され、海外からの受験も可能です。
    • A方式とB方式:A方式は入学後のEECクラスが確約されますが、英語試験の難易度が高くなります(英検二級相当)。B方式は合格後に選抜試験があります。
    • スライド合格:ACコースからMGコースへ、またはA方式からB方式へといったように、基準に応じて合格がスライドされるため、合格の可能性が広がります。
    • 推薦入試:小学校5・6年の9教科評定合計などの基準があります。必ず最新の要項を確認しましょう。

    これらの情報を踏まえ、志望するコース・方式の入試要項を公式ホームページで確認し、ご自身の強みを活かせるように計画的に対策を進めることをおすすめします。


    TCK Workshopの茗渓学園対策

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    茗溪学園は、IB教育やラグビーなど、他校にはない魅力がたくさん詰まった学校です。入試制度を正しく理解し、早めの対策を始めることで、合格への道はぐっと近づきます。

    TCK Workshopでは、茗溪学園の帰国生入試対策に向けた個別指導を行っています。英語エッセイの添削から、独特な算数の思考力問題対策、オンライン面接の練習まで、プロの講師がマンツーマンでサポートします。

    「今の英語力でA方式に受かるか知りたい」「志望理由書の書き方を見てほしい」など、具体的なご相談がある方は、ぜひ無料学習相談にお申し込みください。経験豊富な講師が、お子様にぴったりの学習プランをご提案します。

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