IB進級前に多くの方が直面する、レベル選択の切実な悩み

IB DP(国際バカロレア・ディプロマプログラム)への進級を控えた時期、多くの保護者様とお子様を悩ませるのが「English AをHLにするか、SLにするか」という選択です。「現地校やインターナショナルスクールが長いから、当然HLで大丈夫だろう」と安易に考えてしまうと、いざ授業が始まった時に、その圧倒的な要求水準の高さに驚愕し、自信を失ってしまうケースが少なくありません。
実際、多くのお子様が突き当たる壁の一つは「HLの膨大な読書量と、高度な語彙を駆使したエッセイ課題が重なり、他の科目の勉強時間が削られてしまう」という時間の問題。さらに、「どれだけ英語を書いてもスコアが4や5で停滞し、大学進学に必要な点数に届かない」という将来への不安です。
「うちの子は本を読むのが好きだから大丈夫」と思っていたら、実は物語の筋を追うのは得意でも、著者の意図や文学技法を論理的に言語化するスキルが不足していた、という事実に気づかされることも多いものです。一度HLを選んでしまうと、その難易度の高さから、お子様が「自分は英語ができないのではないか」という自己否定感に陥ってしまうリスクもあります。

TCK Workshop プレミアム講師。東京学芸大学附属国際中等教育学校、上智大学国際教養学部(FLA)卒業。フィリピン・ケニアでの滞在経験を持つ。 英検1級の圧倒的な英語力に加え、生徒一人ひとりの魅力を対話を通して引き出す自己PR・面接・エッセイ指導が武器。多くの帰国生が目指すキャリアを体現するロールモデルとして、学習指導とメンタルサポートの両面で絶大な信頼を得ている。
HLとSLの決定的な違いとは?後悔しないための「5つの重要ポイント」と具体的解決策

IB EnglishA(Literature、およびLanguage and Literature)のレベル選択を正しく行うためには、まずその構造的な違いを正確に把握する必要があります。国際バカロレア機構(IBO)の公式ガイドラインや、最新の評価基準に基づいた重要な違いを、5つのポイントで解説します。
1. 読解すべき作品数の圧倒的な差:HLは「広さ」と「深さ」の両方が求められる
IBのカリキュラム(2021年以降の初回試験対応版)では、扱う文学作品の数がHLとSLで明確に異なります。
例えば「Literature(文学)」コースの場合、SLでは最低9作品を学習しますが、HLでは最低13作品を網羅する必要があります。「Language and Literature(言語と文学)」でも、SLは4作品、HLは6作品です。
この「プラス数作品」の差は、単に読む量が増えるだけでなく、それぞれの作品を比較分析し、より広範な社会的・歴史的文脈と結びつける高度な論考が求められることを意味します。
2. HL限定の難関課題:「HL Essay(HLE)」の存在
SLにはなく、HLの生徒にのみ課されるのが「HL Essay」です。これは、授業で扱った作品やテクストをもとに、自ら問いを立てて執筆する1,200〜1,500ワードの本格的なアカデミック・エッセイです。内部評価(IA)の一部として最終スコアに大きく影響しますが、リサーチ力、批判的思考力、そして独自の視点が厳しく評価されます。
これに費やす時間と精神的なエネルギーは凄まじく、早い段階からエッセイの書き方を習得していないと、締め切り直前にパニックに陥る原因となります。

これに費やす時間と精神的なエネルギーは凄まじく、早い段階からエッセイの書き方を習得していないと、締め切り直前にパニックに陥る原因となります。
3. 最終試験(Paper 1)の負担:2つのテクストを同時並行で分析する力

最終試験のPaper 1(初見のテクスト分析)において、SLは提示された1つのテクストに対して分析を書きますが、HLは異なる2つのテクストについて、それぞれ独立した分析エッセイを書かなければなりません。
試験時間はSLが75分に対し、HLは135分。集中力を維持しながら、短時間で複数のテクストの構造や文学技法を見抜き、一貫性のある論理を展開する力が必要です。多くの生徒が「時間が足りない」「2つ目のエッセイの質が落ちる」という課題に直面します。
4. 評価基準の峻厳さ:単なる理解から「技法(Literary Devices)」の特定へ
SLでも分析は求められますが、HLでは「著者がどのように読者に影響を与えているか」という修辞学的な分析がより深く要求されます。例えば、メタファーや暗喩、皮肉といった表現技法が、作品全体のテーマとどう連動しているかを論証しなければなりません。
ケンブリッジ大学やオックスフォード大学などのライティングセンターが推奨するように、論理の「飛躍」を許さない、厳密なエビデンスに基づいた記述が求められるのがHLのスタンダードです。
5. 大学進学戦略:志望校の要件と「得意の質」の見極め
選択の基準として最も重要なのは、将来の進路です。英国のトップ大学や北米の難関私立大学の中には、人文学系や社会科学系の学部において「英語AのHL」を必須条件、あるいは高いスコア(6以上)を条件としているケースが多々あります。
一方で、理系進学を希望する場合、英語AはSLに留めておき、数学や理科でHLを選択してスコアを稼ぐという戦略も有効です。お子様の「現在の英語力」だけでなく、「2年後の目標」と「各科目のバランス」を俯瞰的に見る必要があります。
入試情報は年度によって変更される可能性があるため、出願前には必ず各大学の公式サイトで最新の募集要項(Application Guidelines)をご確認ください。
TCK Workshopが提供する、一人ひとりの課題に寄り添った「オーダーメイドのIB対策」

IB英語Aの選択に「唯一の正解」はありません。しかし、お子様の現在の特性と将来の目標に照らし合わせた「最善の選択」は必ず存在します。このまま悩み続けて、貴重な時間を不安の中で過ごしてしまうのは、非常にもったいないことです。
まずは、「無料教育相談」カウンセリングの中で、現在の学習状況や志望校を伺い、プロの視点からHL/SLの適性や、今やるべき具体的な対策をアドバイスさせていただきます。また、指導の質を体感していただくための「体験授業」も随時受け付けております。
「このまま不安を抱えて進む」のか、「専門家の助けを借りて、自信を持ってIBのスタートを切る」のか。その一歩の差が、2年後の結果を大きく変えます。お子様の可能性を最大限に引き出すために、ぜひ一度TCK Workshopにご相談ください。温かいサポート体制で、皆様をお待ちしております。

