帰国子女受験での高校受験を検討している受験生、親御様の皆様。現在すでに勉強中の方にも、これから準備をスタートしようという方にも、数学を学習する上で知っておいて欲しいこと、意識した方が良いことを、学年・単元別に整理していきますのでぜひ参考になれば幸いです。
言葉の定義の再確認。幾何の学習と同時に覚えておくべき用語とは。
中学生の幾何の学習を始めるにあたって、新しく学ぶ用語がいくつかあります。たかが用語、されど用語。数学用語の定義をしっかりと理解しておかないと後々困ることがあるので、基本を大切に確認しましょう!(幾何に限ったことではありませんが…「素数」の定義きちんと説明できますか?)
まず最初に登場するのが線の名前。直線、半直線、線分の違いを明らかにしましょう。特にここができないから、問題が解けないということに直結する内容ではありませんが、こういうところから一つずつ正確に理解していく姿勢が重要です。
次に直線同士の関係性。平面図形だと平行と垂直が、空間図形だとねじれが登場します。これらは数学記号と共に覚えましょう。
「距離」の概念も大切です。一般的な意味合いで用いられる「距離」と数学における「距離」は似ているようで異なる部分もあり、その違いも合わせて説明できるようにしておきましょう。
次は、図形の対称について。小学生でも一部扱いますが、点対称と線対称の図形について学びましょう。線対称は折り曲げで理解しやすい一方で、点対称は180度回転がキーワードなので、図形に慣れ親しんでいない生徒さんは苦労します。
最後に円の基本用語。半径や直径、中心は小学生範囲ですが、中学生範囲では弧や弦、中心角など更に用語が増え、円やおうぎ形についても扱う機会が多くなります。
一番大きな変化が円周率(3.14)をπで処理するようになることでしょう。公式自体は小学生の時に学ぶものと同じですが、文字式での処理が必要になるので、文字式分野が苦手な場合は要checkです。
また、おうぎ形の面積や円周角を求める際に、×円周角/360度の計算をしますが、こちらの数式的な意味合いが理解できていない生徒さんも多くいます。この場合は分数計算の意味合いからしっかりと理解できていない場合もありますので、こちらも合わせて確認してください。
以上、本当に基本的な内容ではありますが、基本こそおろそかにせず、一つ一つ丁寧に確認しましょう。問題が難しくなってからだとなかなか基本に戻りにくくなることもあります。
実は重要な作図問題。コンパスと定規の使い方をマスターしよう!
中学1年生の範囲で学習する作図。
こちらは意外と軽視されがちですが、都立や公立の共通入試では非常に出題率が高いですし、また自身の受験校で作図問題が出題されないとしても、この単元の理解を深めることは幾何の学習に非常に有益です。(前回の記事でも書いたように、図形問題が得意な生徒さんは作図も得意ですし、結果として図形を描くのが非常に上手です。)
作図問題で正確に図形を書くためにはまずは完成図をイメージし、その図形が成立するために必要な図形的条件を考えることが必要になります。
この「必要な図形的条件を考える」という思考回路が図形問題を解く時に非常に重要になるのですが、作図問題ではそれが知らず知らずのうちに鍛えられていきます。
作図問題で利用できるのは、定規とコンパスのみ。それも定規は長さを測る用途では使用できず、あくまで「直線を引く」ことにその用途は限定されます。(ここを誤っている生徒さんもしばしばいます。)またコンパスの用途も、円の半径を利用して正確に長さを切り取ることに限定してください。
作図できるようになるべき図形はたった3つだけです。
- 垂直二等分線
- 角の二等分線
- 一点から下ろした垂線
これら3つの書き方となぜその書き方で描けるかをまずは理解しましょう。それさえできればあとはこの3つを組み合わせて難易度の高い問題に挑戦していくだけです。
もちろんどれか一つだけを利用した作図問題が出題されることは稀で、3つのうち複数を組み合わせながら正解を導くことが求められます。どれを用いるか、というところで前述した通り、「必要な図形的条件」を考えることが必要になってきます。
作図問題は出題頻度こそ高くないものの、しっかりと勉強した結果、得られるものも非常に多い単元です。実際に道具を利用して、問題に取り組めるのもこの単元だけですので、ぜひ楽しみながら取り組んでみてください。