はじめに
前回の記事では、ニュージーランドの小学校・中学校・高校の教育の実際を詳しく解説しました。
では、その先にある大学教育はどうなっているのでしょうか?
ニュージーランドには国立大学が8校しかありません。しかし、いずれも国際ランキングで高い評価を得ており、規模は小さいながらも質の高い教育と研究を誇ります。
本記事では、ニュージーランドの大学の特徴、進学方法、費用、そして代表的な大学ごとの強みを紹介します。
本記事はTCK Workshopとニュージーランド留学と移住相談をサポートしている株式会社NZNとのコラボウェビナーを参考にしています。宜しければこちらもご覧ください。
ニュージーランド大学制度の全体像
国立大学8校のみ
ニュージーランドには私立大学は存在せず、すべてが国立大学です。各大学は地域に根ざしながらも、国際的な評価を得ています。入学は門戸を開くが卒業が難しい、そのような特徴があるのがニュージーランドの大学です。
入試がない進学システム
日本と異なり、大学に入学するための全国一斉入試はありません。代わりに、以下の資格で出願できます。
- NCEA Level 3 + UE(大学入学資格)
- IBディプロマ
- A-level(イギリス式資格)
つまり、高校時代の単位取得や資格試験が進学のカギとなります。
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8大学の特徴

1. オークランド大学(University of Auckland)
ニュージーランド最大かつトップ大学。世界ランキングで東大・京大に次ぐ評価を受けることも多く、研究分野全般で強みを持ちます。特に医学・工学・教育学が有名です。
2. オークランド工科大学(AUT)
比較的新しい大学ながら、インターンシップや実学重視で人気。就職に直結するプログラムが豊富で、現地企業とのつながりが強いのが特徴です。
3. オタゴ大学(University of Otago)
ダニーデンに位置し、医学部と理系分野に定評があります。自然科学や環境学の研究も盛んで、落ち着いた学生都市としても人気です。
4. ビクトリア大学(Victoria University of Wellington)
首都ウェリントンにあり、法律・政治・国際関係に強みを持ちます。首都という立地を生かした政策研究やインターンの機会が豊富です。
5. カンタベリー大学(University of Canterbury)
クライストチャーチに拠点を置き、工学・建築・地震学で有名。地震研究の国際的拠点として知られています。
6. ワイカト大学(University of Waikato)
ビジネスや教育分野に強く、IT研究やマオリ研究でも注目されています。
7. マッセー大学(Massey University)
デザイン・航空学・農業分野が特に強い大学。通信教育にも力を入れており、多様な学び方を提供しています。
8. リンカーン大学(Lincoln University)
小規模ながら農学・環境学・生命科学に特化。実践的な研究で世界的評価を得ています。
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大学進学の流れ

NCEA・IB・A-levelでの進学
ニュージーランドの高校でNCEAを修了し、UEを取得した場合、一定のクレジットを満たせば大学に進学可能です。IBやA-level修了者も同様に出願できます。
ファウンデーションコース
UEを取得できなかった場合や英語力に不安がある場合はファウンデーションコースを経由するルートも一般的です。大学付属や提携校で開講されており、1年間で進学に必要な学力と英語力を補います。
英語力の目安
大学進学にはIELTSやTOEFLスコアも求められます。
- IELTS 6.0〜6.5(学部)
- IELTS 6.5〜7.0(大学院)
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費用と奨学金
学費の目安
文系
NZ$38,000–45,000ほど。1NZD85円とすると3,230,000円〜3,825,000円
理系(理・工・IT・一部ヘルス科学)
NZ$43,000–56,000ほど。1NZD85円とすると3,655,000円〜4,760,000円
医学部は高い傾向にあり、オークランド大学は一年で$86,561〜と高額な印象。ただし、日本と違い3年で履修が可能です。
奨学金制度
- 大学独自の留学生奨学金
- 政府・国際機関によるサポート
- 日本からの派遣・交換留学制度を利用するケースも
留学生に人気の専攻
- ビジネス(会計・マーケティング・国際経営)
- IT・コンピューターサイエンス
- 医学・ヘルスサイエンス
- 環境学・サステナビリティ
- 国際関係・教育
まとめ

ニュージーランドの大学は、国立8校のみというシンプルな体制ながら、各大学が特色を持ち、世界的にも高く評価されています。受験のプレッシャーはなく、高校での学びや資格によって進学が可能。進学後は厳しい学びを通じて確かな力を身につけることができます。
TCK Workshopでは、帰国後の大学受験だけでなく、海外大学進学を目指す生徒へのTOEFL・SAT・IB対策も行っています。ニュージーランド大学留学を目指す方は、早めに英語資格の準備を進めましょう。