前回の記事では小論文が苦手な生徒さんがどのような部分でつまづくかを整理してみました。

ダイエットをするときも、現状の体重や食習慣を客観視して、生活習慣を見直すところから始まりますよね。何をするにも、まずは現状把握と適切な対策を考えるところがスタートラインです!

自分自身がどんなことを苦手に感じているのか、まずは自分自身の「現在地」をしっかりと把握するところから始めましょう。

今回は実際に帰国子女入試でどのような小論文が出題されるのか、よくある問題のパターンをみていきたいと思います。とはいえ、これはあくまで一般的なものにすぎません。すべてを網羅しているというわけではなく、試験でよく見る代表的なパターンの例として、皆さまの参考になれば幸いです。

具体的な問題については、国公立大学や早稲田大学などの難関私立大学では過去問が公開されており、傾向の把握や対策も行いやすいので、自分の志望校の過去問がないかどうか公式HPから確認してみてください。

それでは早速、本題に進みましょう。

実際に出題される小論文試験とはどんなもの…? 

小論文には大きく分けて3つのタイプがあります。違いが分かりやすい過去問を3校分ピックアップしてきましたので、是非、実際の問題を見てみてください。

小論文の出題パターン
  1. テーマ型
  2. 課題分型(文章読解+小論文)
  3. 資料読み取り型

タイプ① テーマ型

まずは東京大学の過去問から見ていきましょう。

例えば、上記リンクにある令和3年度第2次学力試験の外国学校卒業学生特別選考(いわゆる帰国生入試)、文化一類(法学部)の小論文では、「法」「司法権」といった内容が小論文のテーマとして設定されています。これは、学部に即したトピックについて、簡単な導入があり、自らの経験や、賛成反対を命じていく「テーマ型」の問題です。

読解資料のない小論文の方が簡単だと思われるかもしれませんが、読解資料がある方がその分、自分自身にアイデアや意見を考える際のきっかけやヒントになることもあるので、実は取り組みやすいという場合もあります。東大のように、読解資料のない抽象的な小論文は、自分でしっかりとアイデアや意見を練ったうえで書かなければいけないため、資料の与えられている小論文よりも却って難しい場合もあるでしょう。日頃から、志望している学科や学部に関連する情報を集めて、自分の意見を持っておくということが重要になります。

とはいえ、東京大学の問題は「テーマ型」の中でもある程度、小論文の書くべき方向性が設問によって絞り込まれています。これよりも更に抽象的な小論文、例えば「グローバリゼーションの是非について述べよ。」「哲学をするとはどういうことか。」といった単文での出題をしてくる大学もありますので、その場合は自分自身の主張と議論の方向性を定めるところからスタートしていきましょう

タイプ② 課題文型(文章読解+小論文)

次に、京都大学の過去問をご覧ください。

この試験では文章の資料が与えられており、まずは資料の正確な理解が求められます

こうした「課題文型」の小論文では、始めから小論文を書いていくというより、前半部分では内容説明や理由説明、要約を求められ、後半で自らの意見を論じる問題に移行していくケースが多いです。(上記で紹介した京都大学もそうですね。)

こういった問題の場合、前半部分の内容説明や理由説明の問題は自由に論じて良いものではなく、本文に即して回答する必要があり、いわゆる日本の大学受験現代文のテクニックが活きてきます

余談ですが……

「国語や現代文のテストは得点が安定しなくて……」というご相談を受けることが多々ありまして、そんな時はいつも、「普段どのように問題をといていますか?」と聞くことにしています。

いわゆるテクニックのような話になってしまいますが(筆者個人としてはあまり好きではないのですが)、「解き方」を定めない限りは、自分の答案作成のプロセスが良いのかどうかの振り返りもできず、いつまでたってもその場しのぎの答案しか作れません

「〜どういうことか」と問われる「内容説明」の問題は、傍線部全体を把握し、主語述語は何かを把握し、……といったように、毎回同じステップで取り組むという方法がおすすめです。そうすると自分の答案と模範解答を比較した時に、何が足りていないか、どこの思考ステップが不十分だったかを振り返りやすく、結果的に、問題がかわっても答案作成に活かすことのできる学習になります

話が大きくそれましたが、小論文課題で前半部分に本文内容に関わる出題がある場合、現代文の学習と同様、「自分の解き方を定める」ことを意識しながら問題演習を繰り返し、毎回しっかりと振り返りをしながら「何が足りなかったのか」「どこでつまづいてしまったのか」を分析して次回に活かす学習を心がけるようにしてください。

どのようなステップを踏むのが自分に合っているのか、というのも人それぞれ少しずつ異なります。「詳しい人にしっかり教わりたい!」という方は、是非、弊社TCK Workshopの講師陣にお任せください!

後半部分の自らの意見を論じるパートに気持ちよく進むためにも、前半パートはウォーミングアップとしてクリアできるように準備しておきましょう

タイプ③ 資料読み取り型

さて、最後に早稲田大学の過去問(小論文A)を見ていきたいと思います。

ここでは、会話文や様々な図表とともに様々な問題が出題されていることがわかると思います。基本的な考え方は課題文型の小論文と大きくは異なりません。課題分が資料にかわっただけなので、資料からのメッセージを読み取り、それに対して自らの論を展開していく必要があります

資料読み取り型の小論文では、長々と資料の解説をしてしまう解答をよく見かけますが、求められているのは、資料の要点となるポイントを読み取ることです。

また複数の資料が提示される場合には、なぜそれらを同時に提示してきたのか、その関係性をしっかり理解できているということを小論文の中で示しておく必要があるでしょう。

ひたすら長い文章を読まなくてはいけない課題文型よりも、図表の読み取りが主となるこちらの方が親しみやすい、という帰国生も多いですが、意外と落とし穴にはまってしまうケースも多いように思われます。問題演習の際は、ぜひ上記の点に注意しながら取り組んでみてください。

まとめ

さて今回は、帰国子女入試でよく出題される小論文のパターンを3つ紹介しました。自分の受験する大学がどのパターンなのか、公式HPなどを参考にしっかりと調べて、志望校に合わせて準備をしていきましょう。

出題パターンによる対策
  • テーマ型自分自身の主張と議論の方向性を定めるところからスタートしよう
  • 課題分型(文章読解+小論文):本文に即して回答する必要があるので、日本の大学受験現代文のテクニックを習得・使用しよう
  • 資料読み取り型:課題分が資料に変わっただけ!資料からのメッセージを読み取り、それに対する自らの論を展開していこう

次回はより具体的にどのように小論文の学習をすべきかについてお話ししていきたいと思います。

小論文学習は大学以降の学びにも活かせることの多い分野です。皆様が大学受験小論文を通して、実り多い学びができることを祈っております。

弊社TCK Workshopでは、入試向け小論文の対策も行っております。お悩みの方は、是非弊社の講師陣にお任せください!

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