前回、前々回と小論文が苦手になってしまう理由や帰国子女入試で出題される小論文試験のパターンについてお話ししてきました。

今回と次回は具体的に小論文を学習する際におさえて欲しいポイントについてお話ししていきたいと思います。小論文学習の際、重要になるのがインプットとアウトプットの双方をバランスよく進めていくことです。どちらかが欠けてしまっても、上手な小論文を書くことは難しくなってしまうので気を付けましょう

今回はインプット学習について、具体的にどのような方法で勉強していけばよいかをお伝えしていこうと思います。

どのように勉強すれば良い?〜インプット編〜

帰国子女受験の小論文における頻出テーマは多岐にわたり、例えばひとくちに「社会問題」といっても外国人労働者、環境問題、国民性、国内外の比較など様々です。これから小論文の勉強をしようという人は、網羅すべきトピックが多すぎて、途方にくれてしまうかもしれません。

とはいえ、大学側も受験生に専門的な知識を要求しているわけではないので、何から何まで細かく学習しておかなければならないということではありません

もちろん、テーマについて具体的な知識や意見を持っているに越したことはありませんが、あくまで小論文試験は「与えられた資料の内容を理解し、それに基づき自分自身の論をいかに説得力を持つような形で展開できるか」ということが問われる試験なので、知識の量や専門性そのものが問われるということはありません。

しかし、トピックについて最低限の知識がなければそもそも自分の論を展開することも難しくなってしまいますし、時事的な問題についても知っておいて損はありません。蓄積しておいた関連知識が、自らの論を展開するときに説得力のある根拠や具体例になってくれるというケースも多々ありますので、やはり小論文の対策を行う上でインプットはしっかりと取り組んだ方が良いでしょう。

あくまで自分の論を展開すべき小論文ですが、一般的な事象への理解や言説を知っておくことで「一般的には〜〜〜と考えられているが、私は〜〜〜と考える。」など、譲歩からの再反論に繋げることも可能になります。

では、「どのようにしてインプット学習をすれば良いの……?」ということですが、おすすめは以下の3つの方法です。

インプット学習のおすすめの方法3選
  1. 日本の高校の政治経済の教科書を利用する
  2. 時事まとめ本を利用する
  3. 日頃から国内外のニュースに触れておく

日本の高校の政治経済の教科書

特に法学部や経済学部を受験したい生徒さんにとっておすすめなのが、日本の高校の政治経済の教科書や参考書です。(一般的な書店で購入できる参考書などでもOKです。)

政治経済の教科書には、日本の政治や経済に関する基礎的な事実や課題などがよくまとまっており、読み物としてもおすすめです。

その中で気になることや知らなかったことを自分なりにまとめてみて、問題に対しては解決策を調べてみる、ということを繰返すだけでも十分に良い学習になるでしょう。

冒頭でインプットとアウトプットのバランスが大切とお伝えしましたが、こうしてインプット学習する際にも、読んだ記事の内容の要約、自分の感想、(テーマを決めての)意見文の作成をすることを心がけることで、日本語の文章力向上につながります!

時事まとめ本

次にご紹介するのは「時事まとめ本」です。やはり小論文の課題では時事的なトピックが出題されることも多いので、最近の時事的な問題がまとまった本の中からお気に入りの1冊を決め、目を通しておくと良いでしょう。

よく小論文対策には「毎日本を読もう」などと言われることもありますが、無理して読書をすることはあまりおすすめしていません。日常的に読書習慣がある場合はまだしも、普段本を読まない方が良い本を選ぶことは難しいでしょうし、そもそも本1冊分の内容は「小論文の背景知識習得」という観点からするとあまりに専門的になり過ぎてしまうケースが多いためです。

もちろん趣味として、自分の時間で様々な本を読むことは大変意味のあることですし、「文章力の向上」という観点からいえばより多くの日本語に触れることは非常に有意義です。すでに習慣として読書が身についている人はぜひ継続して色々な本を読んでみてください!

そうでない場合は、上記のまとめ本を一冊用意して、とにかくまずは1周読み通してみましょうポイントはしっかりと読み通すことができそうなものを選ぶこと、ある程度網羅性の高そうなものを選ぶことです。

とにかくまずは1周目を通し、テーマごとに自分の知らないことや気になったことは調べながら、まとめていきましょう様々なジャンルを幅広く網羅することが大切なので、とにかく継続できる方法で取り組むのが一番ですが、テーマ別に学んだことや自分の意見をネタ帳にまとめていくと、後から振り返りやすくおすすめです。

日頃から国内外のニュースに触れること

インターネットが普及した今日、世界中どこにいようと日本語でのニュース記事にアクセスできるようになりました。これを活用しない手はありません。

最近のニュースアプリは自分の興味に合わせた記事をピックしてくれることが多いですが、小論文対策としては政治や経済、国際問題など幅広く様々なニュース記事を読んでおくことがおすすめです。ニュース記事などを読むことで、実際に起きている出来事に対する理解が深められるはもちろんのこと、書いた人の視点について考察したり、自分自身の意見を考えたり、小論文に取り組む際に必要な頭の使い方の練習をすることもできます

特に、この「国内外のニュースに触れる」という方法は今日からでもすぐに始められる習慣ですので、何から始めたらいいか分からない、という方はぜひ取り組んでみてください!

まとめ

今回は、小論文学習の中でも、知識や考え方を学ぶインプット学習について、お話しました。

どんな学習でもそうですが、何より大切なのがとにかく始めてみることと、その学習を継続することです。そのためには無理なくスタートすることが肝心で、いきなり参考書を何冊も準備して「さぁ始めよう!」とやってみたり、いきなり「塾の夏期講習に申し込んでみよう!」としてみたりするのではなく、まずは身近なところから着実に学習を始めていきましょう小論文学習はいつからでもスタートすることが可能です。とにかく最初の第一歩を踏み出してみてください!

次回は小論文対策のアウトプット編、「構成」についてお話をしていきたいと思います。是非、こちらもあわせてご覧ください!

小論文学習は大学以降の学びにも活かせることの多い分野です。皆様が大学受験小論文を通して、実り多い学びができることを祈っております。

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