かえつ有明中学の帰国生入試は、例年11月から12月にかけて実施されます。多くの受験生にとって、この時期は受験シーズンの幕開けとも言える重要なタイミングです。特に2026年度からは、従来の「Honors選考」と「Advanced選考」が統合され、新しい入試形式へと生まれ変わるため、これまで以上に戦略的な準備が求められます。

いつから対策を始めれば間に合うのか

英語資格はいつまでに取っておくべきか
このような疑問は、多くのご家庭が抱える悩みです。帰国生入試は情報戦であり、かつ時間との戦いでもあります。直前になって慌てて対策を始めても、かえつ有明が求める「深い思考力」や「協働性」を一朝一夕に身につけることは難しいのが現実です。
本記事では、合格から逆算した「理想的な1年間の学習スケジュール」をご提案します。春の基礎固めから、直前期の仕上げまで、時期ごとにやるべきことを明確にし、親子で共有できるロードマップとしてご活用ください。

講師:産屋敷二コラ
TCK Workshop 特別講師。カナダ生まれ、Capilano University(カナダ)、南山大学卒業。指導経験豊富なバイリンガル講師として、英検・TOEFL・IELTSなどの英語資格対策から、SAT/SSAT、IB French ab initioといった海外カリキュラムまで、幅広い言語教育と帰国生受験対策を専門とする。
受験準備の全体像とマインドセット
まず、かえつ有明中学の入試対策において重要なのは、英語力(Reading, Writing, Speaking)と日本語力、そして面接対応(Pair Work)をバランスよく育てていく視点です。
帰国生入試は一般入試よりも早い時期に行われるため、小学6年生の1年間は非常に濃密なものになります。特に、海外在住の場合は現地校の学習も忙しくなる時期ですので、無理のない計画が不可欠です。

多くの受験生を見てきましたが、成功するご家庭に共通しているのは「資格試験(英検やTOEFLなど)を早めにクリアしていること」です。後半戦で過去問演習やエッセイの書き込みに集中するためにも、前半戦で「英語力の証明」を手に入れておくことを強くおすすめします。
【小6春:4月〜7月】英語資格の取得と基礎体力の向上

この時期の最優先事項は、英検やTOEFLなどの「英語資格スコア」の取得です。かえつ有明の受験生層はレベルが高く、Honorsクラスを目指す場合、英検1級あるいはそれに準ずる高い英語力が求められます。Advancedクラス志望であっても、準1級レベルは確保しておきたいところです。
資格試験の勉強は、単にスコアを取るためだけではありません。ここで覚えた高度な語彙(Vocabulary)や、長文読解のスピード感は、そのまま入試本番の「筆記試験」や「エッセイ」の基礎体力となります。
また、2026年度入試からの統合を見据えると、これまでAdvanced選考のみを考えていた方も、Honorsレベルの英語に触れておく必要があります。具体的には、この時期から少しずつ「物語文(Novel)」の読解に取り組みましょう。説明文とは違う、登場人物の心情や情景描写を読み解くトレーニングを積んでおくことが、秋以降の飛躍につながります。
日本語については、まずは漢字や基本的な語彙の確認から始めましょう。海外生活が長いと、どうしても日本語の「書く力」が弱まりがちです。日記を書いたり、日本のニュースについて親子で話したりするなど、日常の中で日本語のアウトプットを絶やさない工夫が大切です。
【夏:8月〜9月】志望校対策の開始と過去問分析
夏休みは、受験勉強の天王山です。資格試験の目処がついた段階で、徐々にかえつ有明中学の「過去問演習」へとシフトしていきます。
ここで意識したいのは、2026年度入試の変更点です。新しい試験は「旧Honors」と「旧Advanced」が統合された形式になります。そのため、過去問に取り組む際は、片方だけでなく両方の問題を解いてみることが重要です。
旧Honorsの過去問では、難易度の高い長文読解(特に物語文)や、思考力を問うエッセイ問題に挑戦し、自分の現在地を知りましょう。一方で、旧Advancedの過去問では、文法問題や整序問題で基礎的なミスをしないか確認します。また、基本的なエッセイの構成ができているかをチェックします。
夏休み中に「自分には何が足りないのか」を明確にすることが目標です。「読むスピードが遅い」「スペルミスが多い」「エッセイの構成が弱い」など、課題が見つかれば、それだけ秋以降の対策が具体的になります。
【秋:10月〜11月】実践力強化とアウトプットの完成

秋に入ると、いよいよ入試本番を想定した実践的な対策(アウトプット)が中心になります。ここでは、合否を大きく左右する「英語エッセイ」「英語ペアワーク」「日本語作文・出願書類」の3点について、詳細な対策法を解説します。
思考力を深める英語エッセイ対策
2026年度の統合入試では、エッセイの試験時間が40分程度になると予想されています。これは、旧Advanced選考(20分)の倍の時間であり、それだけ「内容の深さ」と「構成力」が問われることを意味します。
この時期に取り組むべきは、多様なトピックに対する「アイデア出し(Brainstorming)」と「論理構成(Structure)」の強化です。 環境問題、テクノロジー、文化、教育など、頻出の社会問題に対して、「自分はどう思うか(Position)」「なぜそう思うか(Reason)」「具体的な事例は何か(Evidence)」を瞬時に引き出せるように準備しておきましょう。
書きっぱなしにするのではなく、必ず誰かに添削してもらうことが重要です。「論理が飛躍していないか」「説得力があるか」を客観的に見てもらうことで、独りよがりな文章から、読み手を納得させるエッセイへと進化させることができます。
新形式「ペアワーク」の徹底攻略

ペアワーク対策は、オンライン英会話などを活用するのも一つの手です。ただし、一般的なフリートークではなく、「試験のペアワーク対策をしたい」と伝え、特定のトピックについて議論を深める練習をリクエストすることをおすすめします。
グループワークが廃止され、ペアワークに統一されることは大きな変更点です。秋からは、この形式に慣れるための練習を本格化させましょう。
ペアワークで見られているのは、英語の流暢さだけではありません。「協働する姿勢(Collaborative Attitude)」が何より重要です。相手の意見をしっかりと聞き、それを踏まえた上で自分の意見を述べる練習が必要です。
具体的な練習方法として、以下のステップをおすすめします。
①写真描写の練習
1枚の写真を2人で見て、何が起きているか、人物はどう感じているかを交互に話し合います。
②意見交換の練習
「制服は必要か?」といった身近なテーマについて、“I agree with you because…” や “That’s a good point, but also…” といったフレーズを使って会話を続ける練習をします。
③沈黙対策
会話が止まってしまった時に、”What do you think about…?” と質問を投げかけ、場を立て直す練習もしておくと安心です。
ご家庭で練習する場合は、保護者の方がペア役となり、あえて少し答えにくい意見を言ってみるなど、バリエーションを持たせると良いトレーニングになります。
日本語作文と志望理由書の準備
英語対策に追われがちですが、日本語作文(400字程度)と出願書類(志望理由書)の準備もこの時期の重要なタスクです。
日本語作文は、30分という短い時間で課題文を読み、要約し、自分の意見を書く必要があります。長く書く練習よりも、「要点を短くまとめる練習」を繰り返しましょう。自分の海外経験(苦労したこと、学んだこと)を棚卸しし、作文のネタとして使えるように整理しておくことが効率的です。
また、志望理由書は出願の直前に書こうとすると、内容が薄くなりがちです。10月頃からは学校のホームページやパンフレットを読み込み、「なぜ他校ではなく、かえつ有明なのか」を言語化する作業を始めましょう。自己分析と学校研究を掛け合わせ、説得力のある志望理由を練り上げることが合格への鍵となります。
【冬:12月〜入試直前】最終調整とメンタルケア

いよいよ入試直前期です。この時期は、新しいことに手を出すよりも、これまでやってきたことの復習と、本番形式でのシミュレーションに徹しましょう。
時間配分(Time Management)の確認として、エッセイや筆記試験を、本番と同じ時間制限で解きます。特にエッセイは、見直しの時間を含めて40分で完結させる感覚を体に染み込ませます。 また、体調管理も受験の一部です。早寝早起きを心がけ、万全のコンディションで当日を迎えられるように調整します。 ペアワークの最終確認として、どんなパートナーと組むことになるかは当日まで分からないことを想定し、どんな相手であっても、笑顔で挨拶し、落ち着いて対応できるよう、心の準備をしておきます。
まとめ
かえつ有明中学の合格を目指す1年間は、時期ごとに明確なテーマを持って取り組むことが大切です。
- 春:英語資格(英検・TOEFL)を取得し、受験への「切符」を手に入れる。
- 夏:過去問(旧Honors・Advanced)を解き、物語文の読解や弱点の発見に努める。
- 秋:エッセイの論理構成、ペアワークの対話力、日本語作文の要約力を磨き上げる。
- 冬:本番形式のシミュレーションで、実力を100%発揮できる準備を整える。
このロードマップを参考に、計画的な対策を進めていただければと思います。しかし、ご家庭だけで全てのスケジュール管理や対策を行うのは大変な場合もあるでしょう。特にエッセイの添削やペアワークの練習は、プロの視点が入ることで効率が劇的に上がります。
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2026年度からの入試変更は、多くの受験生にとって「チャンス」であると同時に、新しい形式への「適応力」が試される場でもあります。Honors・Advanced統合後の試験で合格を勝ち取るためには、一般的な英語力向上だけでなく、かえつ有明特有の「思考力」や「協働性」を伸ばす対策が不可欠です。
TCK Workshopでは、元帰国生であり、かえつ有明中学の入試を熟知したプロ講師が、お子様一人ひとりの現状に合わせたオーダーメイドの指導を提供しています。
TCK Workshopでできる具体的な対策
私たちの指導は、単なる英語のレッスンではありません。合格に必要な要素を分解し、戦略的に対策を進めます。
新入試形式対応の「かえつ有明中学校 Advanced/Honors 模試」
統合された新しい入試スタイル(Honors・Advanced選考)に対応した模試をご用意しています。ご自宅で受験可能で、現在の実力と合格ラインとの距離を正確に測ることができます。
ペアワーク(面接)のマンツーマン練習
相手の意見を聞き、自分の考えを乗せて返す「対話力」を磨きます。講師がペア役となり、本番さながらのシミュレーションを繰り返すことで、自信を持って試験に臨めるようになります。
思考力を深めるエッセイ添削
「書くこと」に慣れるだけでなく、哲学的なテーマや物語文の読解を通じて、より深く考察し、論理的に表現する力を養います。
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