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はじめに

この記事を書いた人
岡留 智史 TCK Workshop プレミアム講師

大学生時代から始めた家庭教師が天職だと感じ、国内の受験指導に加えてインターナショナルスクールに通うお子様の理数専門家庭教師として十数年に渡り指導を続けている。

IB ディプロマの履修教科グループ4にあたるScienceには

  • Biology
  • Computer Science
  • Chemistry
  • Design technology
  • Physics
  • Sports,Exercise and Health science

の6つの科目があります。その中で、IB ディプロマ履修者は「Biology」「Physics」「Chemistry」の3教科から選ぶことが多いのですが、Scienceの履修に関して

「どの科目を履修すべきなんですか?(どの科目がスコアを取りやすいですか?)」

ということを、履修前の相談の際に、ほぼ毎回聞かれます。今回はその質問に答えていきたいと思います。

Biology?Physics?Chemistry?ってそもそも違いは何?

生物、物理、化学ってそもそもどんなことを勉強するんでしょうか。

生物は、生物を中心にその中で起こる生理現象のメカニズムについて学ぶ学問です。また、生物とそれらを取り囲む環境がどのように関係し影響を与え合うのかを定性的そして定量的説明していきます。生物はどのように産まれ成長していくのか、活動に必要ないろいろな機能とその仕組みについて学んでいきます。

物理は、自然現象を物質、エネルギーとそれらの相互作用について数学を用いて考えていく学問です。原理と繰り返される実験・観測結果に基づいて過去の偉人たちがどのように法則を導き出していったのかを学びます。そしてその法則は反証が無い限りは我々は受け入れなくてはならなく、受け入れた場合どのように世界の見方が変わるのか、どのような可能性が残るのか、ということを勉強していく。時には、我々の直感に反する実験結果が出てくることもあり我々の常識が覆すほどのインパクトを与えることもあります。

化学は、物質の変化について原子のレベルで何が起こっているのかを追及していく学問です。いわゆる化学変化の現象レベルでの理解と原子や分子レベルでの理解をすることで無機物から有機物、そして身の周りに起こっている自然現象から工場やそして宇宙で起こっているエネルギー収支のスケールの大きな物質変化についても言及していきます。ものすごいおおざっぱに万物は物質/エネルギーによって出来ているということであれば、化学が焦点を置く物質の変化や相互作用は生物も物理も多かれ少なかれ学問の対象となるため、化学はよく科学の中心と呼ばれています。

高校までは化学、物理学、生物学(そしてここで触れない地学)などと分かれますが、原子や分子レベルでの研究が飛躍的発展した20世紀以降これら全てが色々なところでオーバーラップするわけです。物理生物学(生物物理化学?)、物理化学、とか。大学ではより細分化され高度な科学を学べることとなります。究極言ってしまえば科学(特に自然科学)を学ぶ上でどれ一つも必要ではないものはないのではないかな、と。

じゃあ何を履修すべき?

「Scienceは何を履修すべきでしょうか。」

という相談が私のもとによく来ます。「成績を取りやすいのはどれ??」という含みをもってでの相談なわけですが、超大真面目に答えると

「成績よりも学んだことでどんなスキルが身につくかで考えて欲しい。」

です。しかし、そんなこと14~6才の中高生に伝えたところで響くことは少ない。自分自身も高校生の頃そんなこと考えて選択した記憶はないので「何を言っているんだ」と言われても仕方ないのですが、少なくとも「好きな科目だったから選んだ」が、とりあえずわかりやすい正解だと思います。

まずは興味関心のあるフィールドを確認しましょう。上で述べた物理、化学、生物の違いを見た上で、さらに各教科書の章立てだけでも読めばどんなことが学べるかはわかるはず。「これで面白そうだなー」と思えるものがあるのであればそれを選択しましょう。

と、理科好きや数学好きであれば話は楽なのですが、履修したくないけど何か一つ履修しないといけない、という状況の子達には、必要な能力について言及しています。

予各科目で問われる能力

まず、物理数学が苦手かつ嫌いなら残念ながら辞めたほうが良いですM

物理は数学を使って説明する学問なので、数学が厳しい場合は地獄と化します。でも、数学に苦手意識がなければむしろ成績は取りやすい勉強方法が数学と非常に似ているから

原理や法則について学び、それを使いながら計算をしていくため、本質的な理解が伴っていなくても答が出せてしまうこともあります。問題演習の時間を十分に取り概念的な理解をしっかりと外部にサポートを求めれば十分に取り組めます。

次に生物暗記が苦手なら辞めたほうが良いです

定性的な議論が多いため、最低限覚えなければならない暗記量はもっとも多い科目です。「暗記が小さいころから苦手だ、嫌いだ」というならば生物はおすすめしません。

ただ、これがまた事をややこしくするのですが、学生の間では、「生物は3つの中では成績が取りやすい(簡単だ)」と言います。このコメントを鵜呑みにしてはだめです。

これらをいう人たちは大概優秀で物理も化学もできていて、それらと比べた時に「覚えればなんとかなるじゃん。難しい計算いらないし。」という論で言っているだけ。

覚えることが得意で理解も早ければ確かに生物はかもしれない。が、暗記が苦手だったり、教科書を読んでも理解が追い付かないのであれば生物はむしろ非常に難しい。

そして、化学。これは個人的な見解ですが、化学はバランス型。数学も暗記もそこそこにできないと厳しい。言葉で説明することも多く英語がそもそもできないとかなりハードルがあがる。(これは生物も同じ)

また、何が難しいかって、暗記で片づけるべきところと、そうでないところの明瞭な線が見えにくい。覚えるだけだと本質的な理解が追い付かずテストで点数が取れないと思いきや、原理を深堀していくと高校生では明らかに範疇を超えてしまう領域になり結局暗記するしかない、といったことも多々あります。

だから多くの生徒が勉強方法につまづくことがある。また、物理と違い、目に見えない原子レベルの世界での話が多いためイメージしずらかったりもします。

「数学も嫌い、暗記もあんまり、英語もまだまだ発展途上です…でも理科を一つ取らないと…」

という究極な問いに対しての答えは「Biology SL」でしょう。なぜなら量が一番少ないから。とはいっても、上述の通り、暗記すべきことは多いので、それなりに覚悟して履修しましょう。

科学を学ぶ意味

17世紀ヨーロッパで、感覚とか思想とかじゃなくてちゃんと論理的な推論と実験によって色々な知識をまとめていこうよ、と天才たちが人生をかけて進歩させ続けてきた、ってのが科学革命なんて言われています。なので、一つ一つ断片的に学ぶというよりは、実は歴史を追ってみたりするともっと面白い。人間の価値観が180度変わる大事件が何度も勃発するわけです。

さらにそこに宗教やら強い思想やら政治やらとが絡んで科学は進歩をし続けていきます。どんなに状況が悪くても、最初は誰にも認められなくても、時代と観測結果により、「あれ。あの人が言っていたこと、本当っぽくない?」ということが起こってきました。

結局人間は色々と説得材料がしっかりと揃えばどんなに直感や信念とずれていても、受け入れなくてはならない。そこで世界の見方が変わります。さらにそこから派生する科学技術で世界そのものが変わることもあります。

科学を勉強をすることの価値は単に暗記やテストにより知識を養うといった些末な話ではなく、論理的な推論と人類の価値観の変遷を見ることで、直感や感情だけで物事を考えるのではなく数字や論理で物事を捉える力を養うことにあります。社会に出たら最も必要な力のうちの一つとなります。

だからこそ、数学嫌い・理科嫌いという考えを一度取り払ってでも、是非科学に一つでも触れてみてください。高校で無理でも、大学で触れる機会があればそれでも良いと思います。社会人になる前に一度でも科学的な学問体系に真剣に触れることで価値観や考え方をより豊かなものに変えることができるかもしれません。

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