小論文、どうやって勉強しよう…?

多くの大学の帰国生入試で受験生に課される、小論文試験ですが、合否を決め手となる試験と言っても大げさではありません。

しかし、いざ勉強しようとすると勝手が意外と分からないもの。

新聞を読んで、本を沢山読んで、過去問を解いて…努力を重ねても「あれ?私、本当に進歩してるのかな?」と思う日々の繰り返し。

ただ、安心して下さい!そう思っているのはあなただけではありません!

私も一時期は勉強法が分からず迷走していました。

しかし、試行錯誤を繰り返す中でなんとか自分に合った勉強法を編み出し、第一志望の大学に合格することが出来ました。

ここでは、東大に合格した私の小論文の勉強法の一部を、小論文の勉強方法が分からずに悩んでいる帰国生の皆さんに共有したいと思います!

小論文試験に必要な二つの力とは?

小論文試験に必要な力には大きく分けて二つあります。

それは、「アイデア力」と「構成力」です。

「アイデア力」は、文字通り、問いから自分の小論文の軸となるアイデアを生み出す力。

「構成力」は、生み出したアイデアを、分かりやすく、筋道立てて構成し、説得力と魅力を兼ね備えた文章にする力。

この二つの力を鍛えるためには、「アイデア力」と「構成力」で、それぞれ別の対策をすることが必要になってきます。

では、その対策には、具体的には何があるのでしょうか?今回は「アイデア力」の鍛え方をお伝えしたいと思います。

「アイデア力」の鍛え方

「アイデア力」を向上させるためには、様々な知識に「触れ」、それについて「考える」ことが必要です。

ここで気をつけて欲しいのは、様々な知識に「触れる」ことが大事なのであって、触れた知識の全てを無理に「暗記する」必要はないということ!

論語に、こんな一文があります。

「子曰く、学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばされば則ち殆うし(あやうし)。」

この一文は、

「何かを学んでも、それについて自分で考えることをしなければ、身につかず、反対に、自分で考えるだけで、学ぶことを怠ってしまえば、考えが偏って危ない。」

ということを言っています。

つまり、学ぶことも大事だけれど、それと同じくらい、考えることも大事なのです!

もちろん、基本的な知識は覚えておいて損はないでしょう。本番、使える語彙や知識が多いことはプラスになります。

ですが、覚えることに必死になって、考えることを忘れてしまっては本末転倒。

知識に「触れること」とそれについて「考えること」、その二つのバランスを上手く保つために私が行っていたのが以下の三つの勉強です。

その1:日本の「政治経済」の教科書を二周すべし!

私が大学の教授だったら、帰国生に何を求めるか?

私は「滞在国と日本を比較し、分析する力」だと思いました。

海外で見てきたものをただ披露するだけでは、他の帰国生と差はつきません。どの帰国生も、何かしらの「海外経験」はあるはずだからです。

日本と海外を比較した分析にこそ、一人一人の個性が表れます。大事なのは、「何を経験したのか」ではなく「経験から何を考えたのか」なのです!

比較をする以上、日本の社会ついての知識もある程度必要になります。

そこで役に立つのが、日本の高校生が使う「政治経済」の教科書

日本社会の大まかな仕組みが、とても分かりやすく書かれています。

「高校を卒業した人には、最低限これくらいは知っておいて欲しい」

と大学や国が思う内容がのっているわけですから、安心して学習の目安に使えることが一番のメリットでしょう。

では、何故この教科書を二周する必要があるのでしょうか?

それは、1周目は、内容を大まかに把握して、2周目には、実際に自身の滞在国との比較や、教科書の記述に対する「ツッコミ」を書き込んでいって欲しいからです。

そして、その書き込みをした教科書を試験直前まで繰り返し参照するようにしてください。その時には、最初から最後まで通して読む必要はありません。

小論文を書いていて、「あ、これ使えるかも!」と思った部分だけ読めばいいのです。

その2:ネタ帳を普段から持っておくべし!

帰国前、帰国後にかかわらず、小論文に使えるネタというのは案外色んなところに転がっています

テレビの番組、街中で見かけた広告、友人との会話…日常生活に潜む色んなテーマを、どんどん掘り出していってください!

そして掘り出したものに関して、自分が何をその時考えたかをその都度メモする習慣をつけましょう。

「自分の考えたことなんだから忘れないでしょ!」と思うかもしれませんが、それが結構忘れてしまうものなのです。

人は日々変化しています。

「今日の私」と「明日の私」は全くの別人。

考えることも違います。

「その日の私」が思いついたナイスアイデアは、是非、その日のうちに書き留めておいてください!

その3:入門書一冊を自分の「バイブル」にすべし!

これを読んでくれている帰国生の中には、もう既に行きたい学部が決まっている人もいるのではないでしょうか?

決まっていなくても、どの学部に行きたいか、ある程度絞れている人もいるかと思います。

そんな人には是非、その学部の学問分野の入門書を一冊買って、手元に置いておくことをおすすめします。

欲張る必要はありません。たった一冊でいいのです。

そして、その一冊を、何度も繰り返し読んでください。

分からない単語があれば、調べてその意味を書き込んでください。

ここ面白いなと思ったところについて、深掘りしてみてもいいでしょう。

とにかく、その一冊を軸にして、興味ある学部に対する理解を深めていきましょう!

「学部に関する勉強は、実際入ってからすればいいじゃないか」

そんな声が聞こえてきそうです。

もちろん、大学側も受験生に学部に関する細かな知識を期待してはいないでしょう。

けれども、期待していないからこそ、あえて勉強すべきではないでしょうか。

あなたが学部の教授だったとして、数多くの小論文を見る中で、もし、学部で学ぶ知識を盛り込んだ答案があったらどう思うでしょうか?

  1. 「この子は本当にこの学部に興味があるのだな」
  2. 「主体的に学ぶ力があるのだな」

そう感じるのではないでしょうか?

入門書を読むことは決して必須ではありません。けれど、必須ではないからこそ、周りと差をつけるチャンスになるのです。

まとめ

さて、今回は小論文に必要な「アイデア力」と「構成力」の内の、「アイデア力」にフォーカスして、

  1. 日本の「政治経済」の教科書を二周すべし!
  2. ネタ帳を普段から持っておくべし!
  3. 入門書一冊を自分の「バイブル」にすべし!

という三つの勉強法をご紹介しましたが、いかがでしたか?

少しは小論文の勉強の仕方のイメージが湧いたでしょうか?

次回は、もう一つの力、「構成力」を鍛える為の勉強法をご紹介する予定です。