はじめに
広尾学園やかえつ有明など、帰国生を多く受け入れている学校では入試試験に日本語作文を取り入れていることが多くあります。
帰国生入試を受ける生徒さんの中には英語設問は問題ないけど日本語作文が…といった方が多くいらっしゃいます。
本記事では帰国生が中学受験で問われる国語力・日本語作文力のレベルや対策を詳しく解説いたしますので、そういった悩みをお持ちの方は参考にしていただければ幸いです。
日本語学習の重要性
帰国生徒によく見られる悩みには、
・長期の海外生活による漢字や日本語表現への苦手意識
・英語作文との違いに戸惑うこと
・表現力の幅の狭さからくる自信の欠如
などが挙げられます。
こうした課題に対して日本語学習を行うことで、
・新しい生活環境へのスムーズな適応
・バイリンガルとしての言語能力のさらなる発展
・思考力や教養の土台となる言語運用力の強化
といった効果が期待でき、帰国後の不安や課題の解消につながります。
帰国生入試・日本語作文
入試で問われる日本語問題の種類について
帰国生入試における日本語作文では、出題形式は大きく3つに分けられます。それぞれの特徴は以下の通りです。
課題文型作文
あらかじめ用意された課題文を読み取り、その内容を踏まえて自分の意見や考えを文章にまとめる形式です。読解力と思考力、そして論理的な表現力が求められます。
テーマ型作文
「家族」「将来の夢」「海外経験」などのテーマに対して、自身の経験や意見を自由に述べる形式です。発想力や構成力、自分の考えを筋道立てて表現する力が重視されます。
国語問題型
漢字の読み書き、語彙、文法、文章の書き出しなど、日本の一般的な国語試験に近い形式です。日本国内の教育課程に準じた知識と運用力が求められます。
それぞれの形式によって対策の方向性が異なるため、志望校の出題傾向に応じた準備が重要です。
学校別の試験内容の違い
帰国生入試における日本語(国語)の試験内容は、学校ごとに形式が異なります。主に以下のようなタイプに分かれます:
・課題文型作文(与えられた文章を読んで自分の考えを述べる形式)
例:かえつ有明、広尾学園、立命館宇治 など
・テーマ型作文(指定されたテーマについて自身の経験や意見を述べる形式)
例:学芸大附属国際中等教育学校、ドルトン東京学園、同志社国際 など
・一般的な国語問題(読解問題や語彙・文法問題を含む)
例:文教大学付属中学校、海城中学校、慶應義塾湘南藤沢中等部(SFC) など
このように、出題形式によって求められる力が異なるため、志望校の傾向に応じた対策が必要です。
国語学習のエッセンスについて
国語学習の3つの基本事項
国語学習の基本は、大きく3つの柱に分けることができます。
・読解力
説明文や物語文など、多様な文章を正確に理解し、内容を把握する力が求められます。単に設問に答えるだけでなく、筆者の主張や文章中のキーセンテンス(要点となる文)を的確に読み取る力が重要です。
文章の理解を深めるためには、背景知識(テーマに関する一般的な知識や経験)を持っておくことが効果的です。また、文章構成の基本である「序論・本論・結論」の流れを意識して読むことも、全体の構造把握に役立ちます。
・作文力
テーマ型・課題文型の作文では、自分の考えや意見を論理的かつ明確に伝える力が求められます。そのためには、文章の構成(導入・展開・結論)を意識し、説得力のある具体例を盛り込むことが重要です。
また、「例えば」「しかし」「私は〜と思います」といった接続詞や文脈表現を適切に使うことで、読みやすく、論理的な文章になります。
読解と同様に、背景知識は作文においても大きな力になります。多様な話題に触れ、知識を広げておくことで、内容に厚みを持たせることができます。
さらに、書いた文章を見直し、必要に応じて書き直す習慣をつけることも、作文力向上の鍵となります。
・漢字/語彙力
語彙力と漢字力は読解や作文の基礎です。文章を正しく理解し、適切に表現するには豊かな語彙と正確な漢字の知識が欠かせません。
学習教材を一つに絞り、繰り返すことで定着が深まります。まずは在籍学年より一つ下のレベルの漢字を確実に使いこなせることを目指しましょう。
国語学習のスケジュール
小学4年生から国語対策を始める場合、受験期までのおおまかなスケジュールは以下のようになります。
- 4年生
教科書レベルの読み書き問題に取り組み、漢字をコツコツと学んで基礎力を固める時期です。語彙力や文章の読み方の基本を丁寧に積み上げていきます。
- 5年生
標準レベルの問題に対応できるように力を伸ばします。あわせて志望校の出題傾向を意識した学習も始めると良いでしょう。
弊社では、各校に求められる国語力や対策方法についてのご相談も承っています。 - 受験期(6年生)
志望校に特化した対策に入ります。応用問題や過去問演習を通じて、これまで培った読解力や文章構成力を実践的に活用していきます。
また、出願エッセイの練習や作文指導にも力を入れる時期です。
ただし、すべてが計画通りに進むとは限りません。個人差や環境の変化もあるため、できるだけ早めに対策を始めることが重要です。
入試対策について
学校別の入試対策についても解説させていただきます。
広尾学園
試験方式:中学 国際性AGコース
配点
英語100点・国語50点・算数50点の3教科構成です。
英語の配点が高いとはいえ、国語で30〜40点を安定して取れないと、他の受験生と比較した際に不利になります。
国語の特徴
-説明文では、論理的な文章を正確に読み取る力が求められます。
-小説問題では、起承転結など物語の構成に慣れておくことが重要です。
-作文では、これまでの学習や経験を振り返り、自分の意見だけでなく具体的な体験を盛り込んで書けるかが評価のポイントとなります。
かえつ有明
試験方法:中学国際生入試
目標点数:Honors 70%、Advanced 60%
特徴:出題テーマは文化や海外生活に関するものが多く、筆者の主張が文章の最後に書かれていることがよくあります。たとえ文章全体を読みきれなくても、最後の段落を意識して読むことで内容を把握しやすくなります。
日本語作文の配点は比較的低めとも言われていますが、英語力の高い受験生が集まる学校であるため、日本語でしっかりと得点することで他の受験生との差をつけることができます。
難易度は広尾学園よりわずかに易しいとされていますが、400字程度の文章を書く必要があり、十分な練習が必要です。文章構成に気を配りながら筆者の主張を正確に読み取り、自分自身の具体的な経験に触れて詳細に記述することが重要です。
また、茗渓学園のように、かえつ有明と近い形式で出題される学校もあります。そのため、かえつ有明の対策を進めることで、他校の対策にも並行して活用することが可能です。効率的に複数校への準備ができるという点でも、かえつ有明の出題傾向を押さえておくことは非常に有効です。
オススメ教材
帰国生の日本語試験対策としてオススメする教材を以下にまとめます。
読解演習
「中学 標準問題集 国語読解(中学生用)」
「中学入試国語のつまずきを基礎からしっかり(小学生用)」
作文演習
「たった7日で超攻略 国語・作文」
「高校入試 作文・小論文対策」
「かえつ、学芸国際、富士見丘の過去問」
漢字・語句演習
「中学入試 出る準過去問 漢字」
これらの教材は、帰国生の日本語力向上に役立つ内容を網羅しています。教材を選ぶ際には、現在のレベルや目指す学校の特徴を考慮して、適切なものを選びましょう。
まとめ
帰国生の日本語作文力を向上させるためには、読解力、作文力、漢字・語彙力をバランスよく鍛えることが重要です。
志望校の傾向に合わせた対策を早めに始め、実践を繰り返すことで、試験にしっかり対応できるようになります。教材選びと学習計画を適切に行い、効果的な対策を進めましょう。
TCK WORKSHOPで帰国生入試対策をしましょう!
TCK WORKSHOPでは、帰国生入試に特化した国語対策を提供し、読解力・作文力・漢字力を強化します。実践的な演習と個別指導で、効率的なサポートを提供しております!