2026年1月からのTOEFL iBT大幅変更は、多くの帰国生や海外経験者にとって、従来の学習戦略の見直しを迫る大きな節目となります。
前回の記事では、新形式においてはリーディングとリスニングにアダプティブ方式が導入され、スコアの算出方法や試験時間が変わり、さらにライティングやスピーキングのタスクがより実践的なコミュニケーション能力を測るものへと進化することがわかりました。

「アダプティブ方式で難易度はどうなるのか?」「メール作成やバーチャル面接にどう対応すればいいのか?」といった疑問は尽きません。この変更を単なる難化と捉えるのではなく、実力に見合った英語力を効率的に証明できるチャンスと捉えることが重要です。

本記事では、TOEFL iBTの新形式を徹底的に分析し、高得点獲得を確実にするための具体的な対策ポイントと、学習戦略の転換方法を、専門的な視点から詳細に解説します。新形式の特性を理解し、一歩先を行く効果的な準備を始めましょう。

ジョイス先生

講師:ジョイス リアム

TCK Workshop トッププロ講師。高崎経済大学卒業。ニュージーランド滞在4年。 自身が帰国直後の高校受験逆カルチャーショックを乗り越えた経験を持ち、そのノウハウを指導に還元。 英検1級やTOEFLなどの資格対策に加え、中学受験における「英語・算数・面接・小論文」をワンストップで指導できる稀有な存在として、受験生から絶大な信頼を寄せられている。

    この記事は、TCKworkshop主催のウェビナーを基に作成しています。TCKworkshop公式Youtubeチャンネルでは、指導経験豊富な講師が実際の指導を通して蓄積した帰国生の受験、英語学習などについての情報をお伝えしておりますので、ぜひご覧ください。

    TOEFL新形式対策の最優先事項:早期の基礎固めとAIへの戦略的対応

    新形式TOEFLは、単に英語の知識を問うだけでなく、「その知識をいかに実用的な場面で素早く、正確に運用できるか」に焦点を当てています。対策を始めるにあたり、特に重要な二つの柱を確立しましょう。

    1. アダプティブ方式に対応する「序盤の集中力」を鍛える

    アダプティブ方式では、テストの序盤(第1モジュール)の正答率が、その後の難易度と最終スコアのレンジを決定します。後半で優しい問題が連続しても、ハイスコアには到達できません。

    戦略的な学習

    従来の固定形式とは異なり、序盤の設問に時間をかけすぎずに高い正答率を出す練習が必要です。ETSから今後リリースされるであろう公式教材や模擬テストを活用し、難易度が中程度の問題でミスをしない確実性を高めることが重要です。

    一問一答形式への慣れ

    リーディングでは、一度回答を決めると前の問題に戻れない一問一答形式が採用されます。問題を解くごとに「戻れない」という意識を持つことで、回答を決定する際の集中力と正確性を高める訓練が必要です。

    ジョイス先生

    AIが難易度を判断するテストでは、最初の数問を丁寧に解くことが、従来のTOEFL以上に大切になります。序盤でミスをすると、高難易度の問題にアクセスする機会を逃し、結果としてスコアの上限が下がってしまう可能性があるからです。特にリーディングでは、時間配分を意識しつつ、前半の回答の質を高めることが重要です。

    2. アカデミック以外の多様なコンテクストに触れる

    TOEFL Reading対策のために様々なトピックを学ぶ学生のイメージ

    新形式では、日常的な会話やSNSの投稿、広告など、出題されるトピックの幅が広がります。これは、大学というコンテクストに限定されない、グローバルな環境で英語を運用する能力を測る意図の表れです。

    イマーシブな学習環境を作る

    普段日本語で触れているニュースや趣味の情報を、意識的に英語で得るようにしましょう。例えば、海外のニュースサイトの記事を読んだり、英語圏のYouTuberの動画を見たりすることで、アカデミックではない専門用語やカジュアルな表現にも慣れることができます。

    幅広い語彙の獲得

    従来のTOEFL対策で重視されてきたアカデミックな語彙に加え、日常的な場面で使われる口語表現やイディオム、ビジネスシーンで使われる専門用語など、幅広い分野の語彙を獲得することが、多様な文章や会話に対応するために求められます。

    帰国子女のTOEFL対策ロードマップを年齢別に知りたい方は、こちらの記事も参考にすることをおすすめします。


    4技能別:新タスクに直結する具体的な対策

    新形式では、ライティングとスピーキングのタスクが大幅に変更されました。これらの新しいタスクに特化した具体的な学習法を導入することで、効率的なスコアアップが可能になります。

    リーディング・リスニング:適応力と速読・速聴力の強化

    アダプティブ方式では、問題の難易度が変わっても安定して高得点を取る「英語の基礎体力」が重要になります。

    1. 速読力の向上と「多様な文章形式」への慣れ

    • アカデミックな題材の維持:
      ETSの公式情報やガイドラインによると、TOEFLは大学進学のための試験であり、アカデミックな読解力が引き続き重要です。引き続き、歴史、科学、芸術などの分野の長文読解に取り組み、背景知識を蓄積することが重要です。
    • 非アカデミックな題材の追加:
      これまでのTOEFL対策ではあまり重視されてこなかった、短いメッセージや告知、図表の読み取りなどにも対応できるように練習を重ねることが重要です。SNSの投稿やレストランのメニューといった日常的な素材に隠された意味や意図を素早く読み解く能力を養いましょう。

    2. リスニングでの「コンテクスト理解」の徹底

    リスニングでも多様な日常会話や場面が増えます。会話の背景にある文化や、話者の意図(感情、目的)を正確に捉える練習が必要です。

    • シャドーイングの徹底:
      シャドーイングは、聞いた英語を即座に再現する練習であり、音と意味を結びつけ、発音の正確性を高める上で非常に有効です。リスニングで多様なトピックに対応するためには、聞いた英文を正確に再現する力が不可欠です。

    ライティング:「実務的な構成力」と「文法的な正確さ」

    TOEFL Writingのイメージ

    ライティングでは、従来の独立型エッセイから、メール作成(Write an Email)や短文構築(Build a Sentence)など、より実践的なタスクが導入されます。

    1. 短いメールを論理的に構成する訓練

    • メールの構造を理解する:
      「Write an Email」では、わずか7分間で、目的、要点、結論を簡潔かつ明確に伝えるメールを作成する必要があります。ビジネスメールやフォーマルなコミュニケーションの構造を事前に調べ、件名、挨拶、本文、結びの各要素をテンプレート化し、瞬時にアウトプットできるように練習することが効果的です。
    • 完結で目的が明確な文章:
      冗長な表現を避け、情報を絞り込み、相手に「何を望んでいるのか」が明確に伝わる簡潔な文章を作成する訓練が重要です。

    2. 「Build a Sentence」への対応

    • 文法力の再点検:
      与えられた単語を並べ替えて自然な応答となる短文を構築する「Build a Sentence」タスクは、文法的な正確さを問うものです。基本的な語順、時制、主語と動詞の一致といった基礎文法を、見落としがないか再点検することが重要になります。

    帰国子女が直面するアカデミック・ライティングの課題について、さらに深く知りたい方はこちらの記事をご確認ください。

    スピーキング:「即時応答力」と「発音・流暢さ」の向上

    スピーキングでは、「Listen and Repeat」と「Take an Interview」というタスクが導入され、発音の正確さ質問への即時的な応答力が重視されます。

    ジョイス先生

    「Take an Interview」では、単なる知識ではなく、自分の考えを論理的に表現する力が問われます。例えば、「環境問題についてどう思うか」といった質問に対し、結論、理由、具体例というシンプルな構造で即座に回答を構成する訓練を重ねることで、制限時間内に説得力のあるスピーチを行うことができるようになります。

    1. 「Listen and Repeat」対策としてのシャドーイング

    • 正確な再現力の養成:
      「Listen and Repeat」は、英語の音声をいかに正確に聞き取り、再現できるかを試すタスクです。前述のシャドーイングの練習を継続することで、発音、イントネーション、リズムをネイティブスピーカーに近づける力を養うことができます。これは、日本英語検定協会の公式情報でも、効果的なリスニング・スピーキング学習法として推奨されているアプローチです。

    2. 「Take an Interview」への対応:日常トピックでの意見構成

    • 汎用的なトピックの準備:
      「Take an Interview」では、日常的な質問や一般的なトピック(例:好きな趣味、旅行、将来の計画など)に対する意見を求められます。45秒程度という制限時間内で、質問の意図を正確に捉え、導入、本論、結論をスムーズに話す練習が必要です。
    • Q&A形式の練習:
      シンプルなQ&A形式での練習は、即時的な応答力を鍛えるのに最適です。質問に対する回答を「はい/いいえ」で終わらせず、その理由と具体例を瞬時に付け加える練習を習慣にすることが重要です。


    対策を効果的に進めるための学習戦略の転換

    TOEFL新形式に向けて戦略を考える様子

    新形式TOEFLへの対策を成功させるためには、学習戦略そのものを旧形式から転換する必要があります。

    1. 苦手分野を特定し、個別指導で効率を高める

    アダプティブ方式は、受験者の実力に合わせて問題の難易度が変動するため、自分の真の弱点がより明確になります。

    • 自己分析の徹底:
      従来の学習では「なんとなく」進んでいた部分も、新形式では「実力に合った問題」として問われるため、弱点の克服がスコアアップに直結します。
    • 個別指導の活用:
      帰国生入試を専門とするTCK Workshopのようなオンライン家庭教師を利用し、苦手とする「メール作成の構造」「アダプティブ方式の序盤戦略」「インタビュー形式での論理構成」などに特化した指導を受けることで、効率的に弱点を克服し、目標スコアに最短で到達することが可能です。

    2. 公式教材・情報を優先する

    新形式のタスクやアダプティブ方式の特性について、非公式な情報や過去の教材に頼るのはリスクが高いです。

    • 最新情報の確認:
      ETSからの公式ガイドラインや、今後リリースされる新しい公式問題集を最優先で入手し、対策に利用するようにしましょう。実施前の制度を実施済みと誤解しないよう、常に最新の公式情報に基づいて準備を進めることが大切です。

    帰国子女受験の最新情報や全体像を把握したい方は、こちらの記事もご参照ください。


    まとめ

    2026年からのTOEFL iBT新形式を攻略するための重要な対策ポイントは以下の通りです。

    • アダプティブ方式戦略: テスト序盤(第1モジュール)での確実な正答を目指し、一問一答形式で戻れないことを意識した集中力と正確性の訓練が必要です。
    • 多様なコンテクストへの対応: アカデミックな英語に加え、SNSやメール、広告などの日常・実務的な文章や会話にも積極的に触れ、幅広い語彙力と理解力を養う必要があります。
    • ライティング対策: 短いメールの論理的な構造を理解し、7分間で簡潔に目的を伝えられるよう練習します。
    • スピーキング対策: シャドーイングで発音の正確性を高め、「Take an Interview」対策として、汎用的なトピックに関する意見を45秒程度で構成する即時応答力を鍛えることが重要です。

    無料教育相談と特別講座のご案内

    2026年からのTOEFL新形式は、多くの受験生にとって新しい課題をもたらします。特にアダプティブ方式や実践的なタスクへの移行は、従来の対策だけではカバーできない部分も出てくると考えられます。

    TCK Workshopでは、TOEFLの新形式に関する最新情報を常に把握し、お子様の現在の英語力、目標スコア、そして出願時期に合わせて最適化された個別指導プログラムを提供しています。

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    お子様が新形式TOEFLで目標スコアを達成するために、いつ、何を、どのように学習すれば良いのか、専門的な視点からのアドバイスが必要です。

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