帰国子女受験での高校受験を検討している受験生、そいて保護者の皆様。現在すでに勉強中の方にも、これから準備をスタートしようという方にも、数学を学習する上で知っておいて欲しいこと、意識した方が良いことを、学年・単元別に整理していきます!

正負の数:マイナス×マイナスがプラスになる意味を説明できますか?

中学生になって、初めて登場する新しい概念「−(マイナス)」。3から5を引くとマイナスになることは小学生でもなんとなく理解していることも多く、そのままなんとなく足し算、引き算、掛け算、割り算と計算ができるようになってしまうことも多くあります。

確かに計算そのもののルールは特別難しいわけではないので、反復練習を行うことで正しい答えが出せるようになるのは間違いないですし、テストレベルで考えるとそれで十分ではあります。

ただし、ここで勉強する際の姿勢の問題として、これまでにない新しい概念が登場した時には、「なぜその概念が必要なのか。」「それは何を意味しているのか。」ということを考える習慣にして欲しいと思います。例えば「−3と−5は−3の方がなぜ大きいのか。」「マイナス×マイナスがプラスになるのはなぜか。」などスラスラとではなくとも、自分や他人を納得させられる回答ができるでしょうか?

もちろん答え方は一通りではありませんし、様々な別解があってしかるべきだとは思いますが、ここでは自分の口で説明できるようになる、ということを大切な一つのステップとして欲しいと思います。(数直線を用いるとわかりやすい説明はできると思います!)

ここのステップがクリアさえできれば、

  • 分数・小数を含んだ計算や四則演算の組み合わさった問題
  • 符号としての+/−、演算記号としての+/−の違い

など多くの生徒様がつまずく問題もしっかりと解決の糸口を見つけていくことができます。

もちろん、しっかりと意味を理解したあとは計算練習あるのみです。計算問題に思考力は必要ありません。問題のタイプを瞬時に判断し、あとはひたすら手を動かすだけ、といったくらいの気持ちで単純作業として計算に取り組めるように、抵抗がなくなるまで反復練習をしましょう。

文字式:数学力より国語力が試される!?

中学生以降の数学では「未知数を文字でおき、計算処理を進める」ことを行うようになります。

文字式の作り方のルール自体も特に煩雑ではありません。×を省略したり、÷は分数の形で書いたり、文字が複数ある場合はアルファベット順に記載したり、などなど。

文字式の単元で多くつまずきが見られるのは以下の2点です。

  1. 分数の計算や分配法則がうまく処理できない
  2. そもそも問題文に書かれていることを式にできない

特に1の問題に関しては、数字の計算であればスラスラできるのに、文字が含まれるとできなくなる、という場合が多くあります。そんな時は、数字だけの計算の時に具体的にどのようなステップで頭を働かせているか一つ一つのステップを再確認しましょう。文字が含まれても取り組み方は変わりません。

そしてより根強いのが2の問題です。

例えば「1個100円のみかんを6個買いました」はすぐに600円とわかるにも関わらず、「1個x円のみかんをy個買いました。」だと思考停止してしまう場合があります。これも1の問題と同様に、数字の場合を改めて考え直し、今回のケースだと金額と個数を掛け合わせれば答えがでることを認識できるようになれば解決できます。

が、文字式では多くのパターンの文章問題が登場します。平均、単位の変換、速さ、割合など多くの生徒さんが苦手にするところですが、小学生内容の復習も含めて、しっかりと時間をかけて、なぜその処理をするのか、というところに重きをおいて時間をかけて取り組みましょう。ここで数学の問題読解能力を高めないことには、今後数学力が伸びていきません。

方程式・不等式:日本式の解き方で効率化を!

海外のMathのカリキュラムで方程式(Equations)を学習すると、日本の数学での方程式や不等式とは異なる計算をすることがあります。もちろん本質的には同じことをしているのですが、日本の方程式、不等式の処理の仕方(「イコールを飛び越えると符号が入れ替わる」)の方が(本質的ではありませんが)効率的です。

正負の計算のところでも述べたように、方程式・不等式もまずはその式そのものの意味と処理が成り立つ理由をしっかりと理解しましょう。「イコールを飛び越えると符号が入れ替わる」理由が理解できていない生徒さんには多く出会います。

もちろん最初から全ての原理原則を理解できなければならない、ということではありません。数をこなすうちに、「なるほどそうだったのか!」と思えるようなこともたくさんあるので、まず手を動かして取り組んでみる、という精神は私は個人的には大好きですが、数学に苦手意識がある場合や、あまり時間がないという場合にはあまり効率的ではなくおすすめでできないので、全て「まずは理解をすること、そのあとに反復練習をすること」、この順番を誤らずに取り組んで欲しいと思います。

特定の苦手分野がある場合は、苦手な原因がその単元以外の部分での理解の欠如やあるいは読解力の問題など数学以外の部分での問題に起因する場合もあります。数学が苦手はきちんと何が苦手を分析するところから解決がスタートします。