IBを受けている生徒の中には、英語や日本語などの文学の授業を選択する人が多くいるかと思います。文学の授業は理数系の科目とは全く違う勉強法が必要となってくるので、慣れていない人にとっては不安の多い科目になってきますよね。

そんなIBの文学授業の最終試験には、Paper 1とPaper 2の、二つの筆記試験があります。

Paper 1は、試験当日になって初めて見る作品を分析しますが、Paper 2では今まで勉強してきた作品の中から2作品を選び、出題された質問のひとつに沿って比較エッセイを書くことが求められます。

出題される“General questions”は4つあり、その中からひとつ選び、【1時間45分】でエッセイを書き上げます。

Paper 2は、スタンダードのクラスも、ハイアー・レベルのクラスも同じ形式の試験を受けるので、SLでもHLでもしっかりと準備をして取り組む必要があります。

今回この記事では、大きくまとめて以下の2点を軸に、IBのLiterature(文学)授業の、一般的なPaper 2対策についてご紹介します!

IB LiteratureのPaper 2対策
  • 試験に向けて事前に準備ができるもの
  • 本番での試験対策

ただし、Paper 1同様、試験の内容や細かいガイドラインは年度ごとに細かく変わっていくことがあるので、自分の学年度のシラバスや教科のガイドラインはしっかりと確認しておくようにしましょう!

試験に向けて事前に準備できること

まずは、試験に向けて事前にできることを順に紹介していきます。

しっかりと本を読みこもう!

まず最初の、そして最大のアドバイスは

Paper 2対策として授業で重点的に読む作品は必ず全て読み込みこと

学生の宿題の味方ともなっている、有名文学作品の重要なテーマや登場人物の情報、物語の要約をまとめてくれているサイトなどは、探せばいくらでも出てきます。

ですが、それらを頼るならあくまでも参考程度にして、やはり自分で本のページをめくり、メモを取りながら読み進めていくことに意味があります

それに、そのようなまとめサイトは先生方もみんな把握していますし、基本的にはありきたりな情報しか書かれていないので、こういうサイトを頼ってばかりいると踏み込んだ分析は絶対にできません。

しっかりと授業のディスカッションに参加できるような知識と理解力を、本文を読みながら身につけていくようにしましょう

これがIBの試験本番で、必ず役に立ちます!

それぞれの本の大切な情報をまとめよう!

それぞれの作品に関する、下記のポイントをしっかりと把握しておくことも大切です。

把握すべきポイント
  • 時代背景
  • テーマ
  • 作者の背景(作者の生きていた時代、執筆していた頃の時代背景)

Literary devices (文学的技法)も、ひとつのノートにまとめておくと、Paper 1対策にもなって一石二鳥です。

Paper 2は、どれだけ課題として読んできた文学を理解しているか、どれだけ分析できているか、ということが問われている試験です。

“General questions”でどんなことが聞かれても、しっかりとそのテーマに沿った、文学作品の共通点や違いを説明できるスキルが必要です。そのためにも、それぞれの文学作品の重要なテーマや、作者が特に重視していた事柄などはしっかり把握しておくといいでしょう。

あとは練習あるのみ!

ありきたりなアドバイスですが、やはり”practice makes perfect”、練習することがなにより大切です。

時間制限の中でエッセイを書き切ることに慣れる、もそうですが、過去問を見ていくと、やはりどのようなテーマに着目すべきか、どういう質問がされがちなのか、という傾向も見えてきます。

もちろん、年度によってシラバスがガラッと変わることもありますし、その年のIB本部の好みや、出題のパターンに偏りがあることもあります

そのため、最終的に一番大切になってくるのは以下の3つの力を、バランスよく本番で活かせることです。

大切な3つの力
  1. 引用などを含めた、文学に対する知識(記憶力)
  2. 自分の文学作品に対する分析スキル
  3. 初見のお題に対して、瞬時に文学の知識をそれに応用(adapt)できるスキル

最後までわからない、把握できない要素が「お題」です。初見のお題でどれだけひとつのまとまりのあるエッセイを書けるか、が勝負の決め手です。どんなお題が出ても冷静に対処ができるように、Paper 2もまた、しっかりと試験慣れしておく必要がありますね。

本番での試験対策

ここからは試験に臨む時のアドバイスを3つご紹介します!

まずはお題を確認し、理解しよう!

まず、お題を最初に確認してからの取り組み方についてのアドバイスです。

IBのPaper 2のお題は、基本的には抽象的な、文学作品に対するテーマを問うようなものが多くなっています。

例としては、社会階層の描写について、ジェンダーの描かれ方について、など。

重要になってくるのが、テーマを選んだあと、書きたい作品を2つ選んでからどのようにしてテーマに沿った答えが出せるか、文学の知識を応用していけるスキルです。

例えば、選びたい作品が直接的に出題されているお題について触れていない場合、どのように作品の内容を「調整」してお題に合うように語れるか。このような臨機応変さが大切になってきます。

もちろん、無理に話を捻じ曲げてお題に合うようにエッセイを書くことを強く勧めることはできませんが、柔軟な発想を通して上手く比較していくスキルが求められます。

引用をきちんと使おう!

引用無しにPaper 2は語れません!

引用として使えそうな文章(重要なセリフや短いシーンなど)はなるべく暗記しておきましょう!エッセイに“quotes”があるとないとでは、成績が大きく変わってきます。

本番のエッセイで書きたい作品の重要なセリフなどを、しっかり暗記しておくためには、早め早めの準備がなおのこと必要になってきますね。

さまざまなテーマに合わせて、ひとつの作品から6〜7個ほど引用に使えそうなフレーズを覚えておくことをオススメします。引用した文を軸に、2段落ほど分析をまとめられるくらい、quotesを覚えていると安心かもしれません!

もちろん、お題となっている設問からブレることない引用文を選ぶことも大切です!お題に沿った引用文を使うことが、高得点を狙うカギとなっているので、ここもきちんと準備を進めていきましょう!

構成も大事、丁寧に考えよう!

ひとつのエッセイとして、構成は丁寧に!提示されている時間をフルに、じっくりと使って、エッセイを書き切ることも重要なポイントです。

時間がない!と焦ってアウトラインを書くことを省いてしまったり、時間配分を間違えて結論があいまいになってしまうことは絶対に避けたいですね。

やってはいけないこと
  1. 時間がない!と焦ってアウトラインを書くことを省いてしまうこと
  2. 時間配分を間違えて結論があいまいになってしまうこと

構成はシンプルなもので大丈夫です。最終試験なので、お洒落な言葉でごまかさずに、要点を述べてサクサクと進めていくことが重要です。

イントロダクション(序論)やコンクルージョン(結論)は簡単なもので問題はありません。ひとつひとつの論点をしっかりと述べていく方が、はるかに大切です。

意見や主張を一つ述べたら、必ずそれをきちんとした根拠で裏付けをする。この繰り返しがなにより大切です。ここでしっかりと引用を使って、どうしてそのような解釈に至ったのかを説明できるようにしましょう。

また、Paper 2は「比較論文」であることを忘れないように!

ひとつの主張を出したら「別の作品ではこのように違ったニュアンスの表現がされている」「別の作品でも似たような描写がされている」と、すかさず【比較】の要素を出していきましょう。

最後の結論まで気を抜かず、しっかりと引用文を使って丁寧に説明を重ねていけば、IBの文学授業のPaper 2ではきちんと高得点を狙っていくことができます!準備を進めて、自信をもって挑みましょう!

まとめ

いかがでしたか?

IBの文学授業におけるPaper 2は、以下のポイントが特に重要です。

  • どれだけ深く理解しているか
  • どれだけ初めて見るテーマに合わせて即興で意見をまとめ、構成のしっかりしているエッセイにまとめることができるか

試験直前に課題作品を読み込むようなことは、まずしたくありませんね

しかし、英語ネイティブの人でも、このような試験に対するコツを掴むまでには、時間がかかったりもします。その他にも、IBDPのカリキュラム全般に関する不安は拭えないかと思います。

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