IB Mathの『Internal Assessment』、通称IA。IBDPを履修している生徒さんで、これについて頭を悩ませるという方は非常に多くいらっしゃいます。そもそもIAとは決まった「模範解答」のないものなので、自由度が高い代わりに何について書けばよいか分からなくなってしまうというケースが多いようです。

今回は、そんなMath IAについて、おすすめの取り組み方や心構えについてお話していきたいと思います!他科目も含めたIA全般の注意点などについては以下の記事なども是非ご覧ください

さて、IBDP中盤頃からそろそろ気になってくるIAですが、成績という点からみれば、IAは数学の成績全体の20%を占めています。20%というと、確かに決し馬鹿にできる数字ではありません。しかし、「あんだけウジウジ悩んだり時間をかけけて調べたり、夜な夜な頑張って書き上げてもたった20%か」とも思いませんか……?

待てよ。そもそも、力のかけ方を間違えているんじゃないか???

全体の20%を占める比重の課題なら、DPの2年間の20%以上の時間をかけてはだめ」という風に解釈してもいいはず。IAは手を抜いてもOKということではありませんが、IAに力を入れすぎて他の勉強がおろそかになり、結局Final Examの成績で足を引っ張ってしまった……ということになっては本末転倒です。

IAについてはオフィシャルサイトから過去の生徒達の話まで、様々な情報をチェックしていますが、やはりIAで好成績を納めた人達からは共通の解答が返ってくる傾向にあります。ここからは、肩の力を抜いてIAに取り組むために、Math IAに取り組むうえでのコツやポイントをお伝えしようと思います!

とはいえ、IAは字数も多く、始めて英語でエッセイを書くという場合にはどうしても難易度が高くなってしまいがちな課題です。模範解答のないIAは、IBの中でも特に自習がしづらく、自分一人ではどうしても自信が持てないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

弊社TCK Workshopでは、指導経験豊富な講師陣が、皆さまのIA対策から普段の学習まで、しっかりとサポートさせていただきます。「IAに時間を取られ過ぎて他の科目がおろそかになってしまった……」ということにならないためにも、まずは無料学習相談から是非お気軽にお問い合わせください!

IAは大学の勉強の練習

さて、IAに取り組むうえでの心構えをお話するにあたって、まずは何のためにIAを書くのか?IAを書く意義ってなんだ?という点についてお話していきたいと思います。

IAは人生の集大成でもなければ、IBの最重要パーツでもありません。大学で言う卒業論文のようなもの、と説明される場合もありますが、温度感も求められていることもあまりに違うように思います。

IAの意義は、将来大学で書く「論文」と言われるものを高校生のうちに経験してみよう、という点にあります。いわば論文の練習。基本的に、IAの取り組みとは大学で行う論文執筆と同じようなもので、トピックを決めて、リサーチをして、何かしらの結論を出すわけですが、ここで求められているのはAcademic Honestyというもの。

Academic Honestyとは、小学生や中学生が書くような作文や自分の意見や発見はこうだいったことではなく、学術的根拠、信憑性が備わっているか、を示しながら書くということで、高校生のうちからこの練習をできるということが、IAの最大の意義なのです。

IAを経験しておくことで、大学での論文執筆も、ある程度素養がある状態で始められる。物凄いアドバンテージじゃないか!と思います。「根拠を示す」「信憑性を示す」というのは、社会に出ても必要な非常に大事なスキルですので、それを早いうちから練習しておけるというのは非常に有意義なことだと思います。

要するに、IAで求められているのは、この「Academic Honesty」の概念をしっかりと理解して、根拠や信憑性を示しながら書けているか、という点なのです。もちろん、質の高いリサーチができるに越したことはありませんが、IBDPの中で大学や研究職レベルの論文を書く必要はありませんし、そこまで高度な内容にしようと気負う必要はないのです。無理に背伸びしたりハードなトピックを選ぶのではなく、今まで習ったことや興味がある分野の問題について、自分なりにしっかりと堅実に、根拠を示しながらきちんと「論文」としての体裁を作れているか?という点が、IAを書くうえで重要な観点になるのです。

さて、IAでしっかりとスコア出すには主に以下のようなことが大事だと言われています。

  • 自分の興味関心があるものをトピックとして選ぶ
  • Criterion(評価)をとにかく意識すること
  • 時間に余裕をもって取り組むこと

その通りです。

ここで一番重要になるのが、トピック選びです。

IAのテーマは「使うことができる数学」から

IAのテーマ決めについては、皆が「興味関心があるものを選びなさい」と言いますし、もちろん、私もIAについての相談を受けた際には興味関心があるトピックを選ぶのが良いとアドバイスをしています。

しかし、これがぐるぐるっと回ってどのように生徒達に伝わっているのかというと、

  • 他人とは違う何か個性のあるオモシロイトピックでないとだめだと思っている
  • 関心が強ければ何でもよい。政治や環境問題など、抽象的なものなどから選ぶ
  • 「もしこれが○○だったら…?」のような空想を語る

などなど……。

上のような状況に囚われてしまうと、ほぼ間違いなくIAを書き始めてから迷子になってしまいます。確かに、考える分にはオモシロイと思われるようなテーマもありますし、個人個人の興味関心は色々なものですから無限ともいえるトピックが存在しているように思えることは事実です。

しかし、IBの評価にも書いてあるのですが、Math IAで最も重要な事は「数学を用いて身の回りの事を説明・分析・実証してみよう」ということなんです。選ぶトピックは、数学を使って、あくまで「説明・分析・実証」ができるものでなくてはならないのです。

ここでいう「数学」は自分たちが習った範囲の数学のことです。自分たちが扱える範囲の数学です。いきなりテーマから入ってしまうと、そもそもその背景にある数学が大学数学や専門的過ぎてしまうということもよくありますが、それではIAを書くことはできません。

テーマが膨大過ぎたり、使う数学が高度過ぎたり、そもそも「数学でどうやって考えるんだ???」となってしまうトピックは、IAには向きません

やってはいけないトピックの選び方
  • スクランブル交差点を歩く人たちの動きをモデル化
    • 統計?幾何学解析?どんな数理モデルを使うのかさえ素人には分からず、IAのトピックとしては難し過ぎるように思われます。
  • 100年後の地球の人口はどうなっているか??
    • テーマが大きすぎて、数学の範囲内では予測のしようがありません……。無理に理想化しすぎると、非現実的な予測になってしまいます。

一見、興味をそそるテーマに見えても、上記のようなものをトピックに選んでしまっては、今の数学の知識だけでは研究のしようがなく、書きたくても書けないという状況に陥ってしまいます

「じゃあ、どうやってトピックを選べばいいんだ?」となるわけですが、効率的にIAに取り組むのなら、「使う数学」から決めていくのがおすすめです。「僕は二次関数をつかった何かにしよう」という風にあらかじめ「数学の中の単元」を決めて、ここから自分の興味関心に繋げるんです。

良いトピックの選び方
  • 例えば、好きな数学・使う数学が「二次関数(Quadratic function)」だった場合
    1. 建築様式に用いられる構造で二次関数はどのように用いられるのか?
    2. 虹は二次関数なのか?

など…

何でもいいんですが、これだと少なくともオチが解っているわけです。二次関数を用いてモデル化出来るかどうか、という話ですから、二次関数を既に学んでいる生徒であれば実現可能なテーマですよね。

結局、自分たちが知っている数学が実社会でどのように使われているのか、応用できるのかを見たいわけですから、トピック選びは「数学」から入るべきなのです。

これがわかっただけでもスッキリする人たちは大勢いると思います。この点さえクリアできれば、あとは所定の書き方や進め方(IAのフォーマットなどについては学校で決められているケースが多いので、その点については学校の先生に確認するようにしておきましょう)で淡々と進めていくことができるはずです。

まとめ

IB Math IAのポイント
  • IAはあくまで学術的な「論文」を書くことの練習。高度で奇抜な内容にしようと気負う必要はない
  • IAの肝はトピック選び実現可能な、数学で実証できる等身大のテーマを選ぼう!
  • トピック選びは「数学の分野・単元」を先に決めてから実生活の中のテーマに落とし込んでいくのがおすすめ

IAは、世界を変えるほどの大発見を求める課題ではありません。研究者が書くような論文を求めているわけではなく、あくまで学術論文の練習として、基本所作を経験している段階です。

もっともっと気軽に取り組んで自分の経験値として積み上げましょう

IAは最終的に学校の先生が採点をするものなので、学校の先生と密に連絡を取ってしっかりと相談・アドバイスを受けておくことも大切です。使えるリソースはすべて使い倒して、IB中盤の壁、IAを突破しましょう!

とはいえ、学校の先生があまり親身に相談にのってくれない……という場合もありますし、IAのテーマ選びについて「本当にこの内容で大丈夫かな……」とお悩みの方も多いのではないかと思います。弊社TCK Workshopでは、経験豊富な講師陣が皆さまのIAおよびIB生活を精一杯サポートさせていただきます!IBについてお悩みの方は、是非一度、無料学習相談および無料体験学習からお気軽にお問い合わせください。