帰国生が英語試験対策で苦労するポイント

帰国子女高校入試の英語試験に出題される問題の形式は様々です。

読解問題、文法問題、英作文 など、日本の高校受験生が当たり前のように普段から対策している内容でも、帰国生の生徒さんにとっては、現地校やインターナショナルスクールでの英語試験と異なり、戸惑ってしまう生徒さんも少なくありません。

とはいえ、帰国子女高校受験で求められる英語レベルそのものは、海外で学校生活を送られている生徒さんに取っては、決して高いとは感じないはずです。

内容的に決して難しくないからこそ、問題形式にしっかりと順応して、本番試験では高得点を狙いにいく必要があります。

Reading comprehension, Essayそれぞれ対策の難しさがあり、これらは受験する学校の傾向に合わせて準備を重ねておくべきですが、その中でも帰国生の生徒さんは文法問題に苦労されているケースが多いです。

多量の英語を日常的に浴びることで、耳や口から習得してきた、いわゆる感覚的な英語は、 細かなロジックを必要とする文法問題には弱いです。

(私たちも日本語の細かな文法を説明しろ、と言われてもなか難しいことがあるのと同じですね。)

ただ受験の英語や日本の高校のカリキュラムひいては日本の大学受験では、英語学習における英文法の割合が高く、高校受験でも出題配点は高くなります。

今回はその中でも、帰国生の生徒さんが最も苦労するタイプの

  1. 文法問題
  2. 誤文訂正問題

に焦点を当てて、渋谷教育学園幕張高等学校で2012年に出題された問題を解説していきます。

今回の一問は渋谷教育学園幕張高等学校の2012年の過去問から

  • The musical innovations by Charlie Parker, which continued to influence the musical stylings of artists today, are celebrated all over the world over as works of genius.

さてどこが間違っているかわかるでしょうか?

ぜひ一度手をとめて考えてみてください。制限時間は1分です。

受験英語では、「誤文訂正問題」と言われるジャンルの問題になりますが、このタイプの問題を正確に解答するには、文法・語法の正確な知識が必要です。

まずは必要最低限の文法・語法の知識を身につけ、その上で、誤文訂正問題に出題される問題ポイントを身につける必要があります。

誤文訂正問題は、すぐにコツをつかむ生徒さんもいる一方で、最後の最後までポイントに気づけない生徒さんも多く、得意不得意が明確に別れる分野ですので、受験を検討している学校で出題がある場合は早め早めに対策することが得策です。

「関係代名詞」&「時制」を正しく理解していますか?

本問題は誤文訂正問題の問題パターンの中では難易度は最低ランク、必ず得点しなければいけない問題です。いくつか誤文訂正問題に取り組んでもらう際の確認事項がありますが、その一つが「時制」です。

時制は大きく分けて12種類あります。

種類例文
現在形I study.(勉強する)
過去形I studied.(勉強した)
未来形I am going to study. / I will study.(これから勉強をする)
現在
進行形
I am studying.(勉強している)
過去
進行形
I was studying. (勉強をしていた)
未来
進行形
I will be studying.(勉強をするつもり)
現在
完了形
I have studied.(勉強をしてきた)
過去
完了形
I had studied French for 10 years before I moved to Algeria.
(アルジェリアに引っ越す前にフランス語を勉強していた。)
未来
完了形
I will have studied for French test by 5 p.m.
(17時にはフランス語のテスト勉強をしている。)
現在完了
進行形
I have been studying for French test.
(フランス語のテンス勉強をしてきた。)
過去完了
進行形
I had been studying for French test.
(フランス語のテスト勉強をしていた。)
未来完了
進行形
I will have been studying for French test.
(フランス語のテスト勉強をしているだろう。)

これら12種類の時制を踏まえたうえで、時制がおかしい箇所は無いかを確認してください。時制が間違っていると「あれ?いつのことを表してる?」となり、混乱を与えかねません!

さて、次に「関係代名詞」をみていきましょう!

関係代名詞を使って英文を作る際に必要なポイントを表にまとめました。

Point関係代名詞使う条件
1「先行詞」を確認する関係代名詞によって説明が追加される名詞
2関係代名詞:who先行詞が「人」のときに使う
3関係代名詞:which先行詞が「人」以外のときに使う、例えば動物
4関係代名詞:that先行詞が何であっても使える
※「人」のときはwhoが望ましい

例えば、

”This student is from Japan.

She is studying Finance in the USA.“

この二つの文章を関係代名詞を使うと一つにまとめられるんです! ちなみに、先行詞は”This student”ですね。

  • “This student who is studying Finance in the USA is from Japan.”

一つにまとめる際に以下のような間違えをしなように注意してください。

“This student who she is studying Finance in the USA is from Japan.”

関係代名詞”who”が主語の役割を果たすのでsheは不要なんです!

では、本問題の正解はなんでしょうか?

正解は、

  • The musical innovations by Charlie Parker, who continues to influence the musical stylings of artists today, are celebrated all over the world over as works of genius.

ですね。「渋谷教育学園幕張中学校の2012年の過去問から帰国生の苦手な英文法問題を解説します!」のシリーズで、時制を複数回にわたってみてきたので、すぐに気づいた方も多いかと思います。

現在のことについてなので、”continues”で現在形にしなくてはいけないんです。そして、関係代名詞の”which”が使われていますが、Charlie Parkerという人物についてなので、ここでは”who”を使うことが望ましいです。

英文を作成するときには、時制を意識してくださいね!そして、関係代名詞を使いこなして、より具体的な表現を英語でもできるようになりましょう。

誤文訂正問題対策はお早めに!

いかがだったでしょうか?

前述した通り、誤文訂正問題は得意不得意のわかれる、つまり英語の得意な生徒さん同士の戦いでもある帰国子女入試において点数の差がつきやすい単元ともいえます。

文法や語法の知識は一度身につけてしまえば、読解問題やEssayでも利用でき、結果的に英語力の全体的な向上につながります。

  1. 受験校に誤文訂正問題が出題されるひと
  2. これまであまり文法学習をしてこず、感覚的に英語を学んできたひと
  3. 高校受験で英語を武器にしていきたいひと

どれかに当てはまる人は、ぜひ文法をしっかりと学んで、誤文訂正問題を得意にしてください。