海外現地校やインターで数学を勉強しているお子様達・あるいは親御さまから「数学を日本語で、さらに日本の数学を勉強すべきか、それとも現地の数学に集中すべきでしょうか?」というご質問をよくいただきます。

そもそも日本の数学を勉強に取り入れたい理由のほとんどは、どうやらお母様お父様が日本の数学の方が難しいからと考えていて「大は小を兼ねる」というように考えていらっしゃるからではないカットもいます。日本式の算数は非常に人気が高く、

「日本のやり方で/日本の参考書を使って数学を教えて欲しい」

というご依頼は結構多いんです。

日本の帰国生高校入試や大学入試で数学のpaperがある場合は、これは当然のように日本式の数学を学ばなければなりません。ですが、そうではなく現地校やインターで補習の為に日本式の数学を利用すべきか、ということについては、私は「そんなものは100%、やらなくていいです」と答えます。

また、「この子は日本語でも英語でも構わないんですが、数学はどっちで勉強するのが良いです?」と聞かれます。

答えは簡単です。「本人が楽な言語で」です。

英語があまり得意でなければ、無理に英語で学ぶ必要もないし、日本語があまり得意でなければ、無理に日本語で学ぶ必要もないです。

「英語で数学を学べたら、英語も数学もできるようになるから一石二鳥では??」

といった理由で、英語が学習言語でもないのに「英語で数学を教えて下さい」という依頼も頂きますが「絶対にNO」です。何のプラスにもなりませんこんなことをやってしまうと、どっちもできなくなるのが落ちです。

数学は数学です。英語は英語です。切り分けて考えるべきです。なので、言語は自分の好きな言語で。教材はというと、

  • 現地校/インターの成績やSAT、IBといった内容がゴールなのか、
  • 日本の受験がゴールなのか

ということ次第です。

日本の受験ならば日本の教材で勉強をしましょう。

現地やインターのテストのためなら、教材は現地のものを利用しましょう。

日本の難しい教材を利用して現地校やインターの数学の勉強の補習をしているという方。また、近くの地元の個別指導塾や個人塾で日本の受験専門の先生に無理やり教えてもらっている人達。これは危ないパターンです。お互い疲れます。お子様が何より頭の中意味わからなくなってしまいます。

日本の数学のレベルが高い、といった漠然とした印象や将来日本の大学でまなぶかも、といったことなどから、何人かが「日本語教材で中学数学をチャレンジさせてください!」というご依頼もありましたが、全員つまづきました。

解説を英語でしてあげても無理でした。学校でやっている内容とのギャップが激しすぎてやがてモチベーションも保てなくなります。さらに文章問題の日本語や解説の時の用語が専門用語が入ってくるため、頭に入りません。理解も追いつきません。必ず途中で本人が「よくわからない」「これ嫌だ」と言い出すわけです。

改めて日本の数学の参考書や教科書などを見てみると、結構日本語がビッシリと書いてあるんですね。文章題も多いですし、それだけでなくやはり問題のレベルが高い。

“Let’s just not do this. Okay?”

こうなるまでに、3か月も持ちませんでした。

数学を学びたいなら、一番得意な言語で学ぶべきです。目標を明確にし、適切な言語により適切な学び方をしないと数学はできるようになりません。

数学は数字やロジック、公式そのものは万国共通です。だからこそ言語間の変換は比較的簡単にできるのですが、これは、どちらかの言語で一通り一巡した人ができる話です。

数学を両言語で学ぼうなんてしなくていいんです。日本の参考書は日本の学校で生きるための算数・数学です。

言語変換はしっかりと片方の言語でマスターしてから。

数学は言語の勉強ではありません。数学は算術と数字にまつわる論立ての勉強ですから。