- 「日本語でどの程度まで数学や理科を勉強したほうがよいか?」
- 「日本の参考書を補助教材として利用するのはよいのか?」
といったことを中学3年生以降の生徒様からよく質問をいただきます。
「日本人が英語で数学を学ぶときに日本語の語彙がどれくらい必要なのか」とお子様が悩むことはないでしょうか。
生活が長くてそもそも日本語より英語のほうが楽である場合は日本語で理解したり学んだりする必要性がないかもしれません。ですが、例えば小学高学年や中学生以降で海外に渡った場合は恐らく違います。
数学(や理科を)勉強する時に、最初のうちは出来た単語全てを日本語で調べて日本語に変換しているかと思います。数学や理科に出てくる専門用語は英語のままだと解らないので当然辞書で意味を調べながら学習する期間が最低でも2年くらいは続くかと思います。
では、英語ができるようになってきたときにどうすればいいのか?
英語がある程度できるようになったならば、日本語を調べたりする必要はあるのか?
そのような疑問に答えていきたいと思います。
最初に学んだ数学表現をきちんと覚えて理解しよう
小学校や使われる数学用語はまだ簡単ですからそんなことに悩む必要もありませんが、学年が9,10年生ともなると出てくる数学の語彙もなかなか専門的なものも増えてきます。中学校以降Algebra, Geometryあたりから語彙がかなり増えていきます。挙げればキリがないですが、例えば
英語 | 日本語 |
---|---|
Midsegment theorem | 中点連結定理 |
Chord | 弦 |
Completing the square | 平方完成 |
Power theorems | 方べきの定理 |
Addition formulas | 加法定理 |
Half-angle formula | 半角の公式 |
Rational Function | 有理関数 |
Polynomial | 多項式 |
Scalar product/dot product | 内積 |
Parametric equation | 媒介変数表示 |
Series | 級数 |
Standard deviation | 標準偏差 |
のような、英語による数学表現の意味や、逆に日本語の数学表現を英語に変換することはできますか?
日本語 | 英語 |
---|---|
三平方の定理 | Pythagorean theorem |
垂直 | Perpendicular |
変化の割合 | The rate of change |
同一直線上にある | Colinear |
判別式 | Discriminant |
解と係数の関係 | Sum and product of the roots |
正六角形 | Regular hexagon |
極方程式 | Polar equation |
等差数列 | Arithmetic sequence |
等比数列 | Geometric sequence |
漸化式 | Recursive form |
微分係数 | Derivative |
原始関数 | Antiderivative |
結論から言うと、日本語の数学表現については覚えなければならないことはありません。もちろん知っていれば最高ですが、しょせん贅沢です。
頭の中でどちらの言語で思考しているのかにもよりますが、専門用語について英語で覚えて英語で理解していれば、わざわざ日本語でなんと表現するのか覚える必要は一切ありません。逆もしかりです。
日本語メインのお子様であれば、個人的には「教材は英語で、日本語の解説により理解を深める」が最も効率よく深く学べると多くの生徒を見てきて思います。
英語でスラスラ理解できないのに無理に全部英語で学ぶ必要はないですし、かといって日本語で書かれた参考書も、語彙の部分でつまずいてしまうので理解が悪くなります。(カリキュラムも質も方向性も異なるのでそもそも日本の参考書で海外のカリキュラムを補習するってのはズレている。)
ですので、本質的な理解は自分の最も得意とする言語で行うのが良いわけです。教材は現地の教育に準拠したもので。語彙についてはミックスでいいんです。というよりミックスがいいんです。私たちはほとんどの授業で専門用語は英語で、説明は日本語で行うことが多いです。
「じゃあ、頂点を出したいから平方完成をしよう。そのあとxに代入してyを求めよう。そうすれば最大値がどこかもわかるよね。」
これは、
「じゃあvertexを出したいから、completing the squareだ。その後にxにplug-inしてyを出そう。そうすればmaximumがどこかもわかるよね。」
となります。
「ちょっとそんな言葉に不自由がある感じで大丈夫なの…⁇」と思われるかもしれませんが、ただ、これくらいが本人たちがものすごくわかりやすいんです。
英語と日本語を自在に操り指導できるからわかりやすい
少々話はずれますが、
- 「両方の言語でも何て言うのかがわからない。」
- 「何をするのかは解るんだけど…」
という生徒も時にいます。
これはアウトです。
これは一番危険な状態で、学習内容の中で極めて重要なキーワードや章立てのタイトルになっているような言葉を覚えていないのは、シンプルに勉強不足または記憶力に重大な問題があります。
日本語で言えなくてもいい。ですが、必ずその場合は出てくる用語や重要な表現は英語で言えるようにはならないといけません。
問題が解ければいいじゃん。って本人は思うことでしょうが、自分が言語化できないものは理解も浅くどこかで絶対に躓くことになります。
私自信がこういう時期も経験したのですが、数学に限らず
「ああ、あれね。あれあれ。そうそう、あれあれ。なんて言うんだっけー。」
と、日本語でも英語でもなんて言ったらいいかが解らない、単純にボキャ貧状態で放っておくと大人になってから痛い目に会います。
語彙のキャッチアップは本当に実態が掴みづらく難しいですよね…
一気に両方が難しければまずはしっかりと片方を。のちにもう片方を。片方がしっかりしていればしているほど、相互的に語彙がリンクされる力が強くなります。
時間はかかりますが是非長期的に学習を楽しんでもらいたいと思います。