海外のインターナショナルスクールや日本の国際学校で国際バカロレア(IB)ディプロマプログラムに挑戦する生徒にとって、最初の大きな関門となるのが科目選択です。IBディプロマは一度選択すると2年間その科目を履修し続けることが原則であり、途中で変更することが非常に困難な仕組みになっています。だからこそ、自分の興味関心だけでなく、将来の進路やスコアの取りやすさなど、多角的な視点から戦略的に科目を選ぶことが大切です。

TCK Workshopの無料学習相談では、お子様の志望校や得意科目に合わせた最適なIB科目選択の戦略を個別にご提案します。2年間変更が難しいからこそ、プロの学習アドバイザーと一緒に確実な一歩を踏み出してみることをおすすめします。

古久保
先生

IBプログラムが始まると、日々の課題やエッセイの提出に追われる日々が始まります。最初の科目選択で自分に合ったバランスを見つけられるかどうかが、2年間の充実度を大きく左右します。

古久保先生
学習相談員

講師:古久保 麻友

TCK Workshopのトッププロ講師。小学生時代にイギリスの現地校、中高はドイツのインターナショナルスクール(IB校)に通い、ICU大学(9月入学)へ進学。小中高受験や編入、英語資格、IBなど幅広い進路相談に対応。英語資格対策や中学受験・編入指導を得意とし、サレジアン世田谷・赤羽、ICU高校、学芸大国際などの合格実績あり。日本語作文、志望理由書、面接対策、IB DP(Japanese/English)指導も可能。

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    国際バカロレア(IB)ディプロマの仕組みと科目の種類

    国際バカロレア機構の公式資料によると、IBディプロマプログラム(DP)16歳から19歳までの生徒を対象とした2年間の教育プログラムです。世界共通の厳格な基準で学べる点が特徴で、日本の暗記型の学習とは異なり、探究力や国際理解を深く鍛えることを重視しています。この国際バカロレアには年齢に応じたプログラムがあり、3歳から12歳まではPYP、11歳から16歳まではMYP、そして高校の最終2年間にあたる16歳から19歳までがDPという一連の流れで構成されています。

    IBディプロマを取得するためには、6つの教科グループからそれぞれ科目を選択するとともに、3つのコア科目を履修することが求められます。6つの教科グループは、言語と文学(グループ1)、言語習得(グループ2)、個人と社会(グループ3)、科学(グループ4)、数学(グループ5)、芸術(グループ6)で構成されています。芸術の代わりに他のグループから科目を追加することも可能ですが、基本的にはバランスよく幅広い分野を学ぶ設計になっています。

    これに加えて、哲学的な思考を深めるTOK(知の理論)、自ら選んだテーマで論文を執筆するEE(課題論文)、学校外での課外活動を評価するCAS(創造性・活動・奉仕)という3つのコア科目が課されます。最終的なスコアは、各科目の試験や内部評価(IA)を合わせた45点満点で算出され、このスコアが世界の大学進学において重要な指標となります。履修する内容や取り組むべきタスクが非常に多いため、最初の科目選択が2年間の負担を大きく左右することになります。

    IBの科目選択でよくある5つの疑問にプロが回答

    科目選択を始めるにあたって、多くの生徒や保護者が直面する代表的な5つの疑問について、プロの視点から詳しく解説します。

    疑問1:好きな科目と点が取れる科目はどちらを優先すべき?

    古久保
    先生

    好きな気持ちは大切ですが、それだけで選ぶと膨大な課題量に圧倒されてしまうことがあります。2年間その負荷に耐えられるかという現実的な視点も持って、バランスよく選択することをおすすめします。

    結論からお話しすると、好きという理由だけで選ぶのは避けるべきですが、好きを完全に無視するのも適切ではありません。科目を選ぶ際は、3つのフィルターを意識することが大切です。

    1つ目のフィルターは、志望大学の必須科目を満たしているかどうかです。2つ目は残りのスロットで好きと得意が重なる科目を選ぶことです。あるいは3つ目として、全体の負荷のバランスを見て、負担が大きくなりすぎないように調整することです。すべてを高負荷な科目にすると、コア科目に手が回らなくなるリスクがあります。

    国際バカロレア機構の大学進学ガイドラインによると、大学の進学先によっても評価の傾向が異なります。アメリカの大学の多くは科目の組み合わせよりも総合点や課外活動を重視する傾向がありますが、イギリスの大学の多くは特定のハイレベル科目のスコアを厳格に要求する文化があります。例えば、歴史が好きだからと選んだものの、膨大なエッセイの量に対応できずスコアを落としてしまうような失敗パターンもあるため、2年間続けられる負荷であるかを慎重に見極めることが大切です。

    また、生徒の第一言語や英語力に応じた判断もポイントになります。インターナショナルスクールでの学習が長く、ネイティブ感覚で授業を受けられる場合は問題ありませんが、日本のバックグラウンドが長い場合は、すべての科目のベースとなる英語力の負荷を考慮して決めることをおすすめします。

    疑問2:ハイレベル(HL)とスタンダードレベル(SL)はどう選ぶ?

    IBディプロマでは、選択する6科目のうち3科目をハイレベル(HL)、残りの3科目をスタンダードレベル(SL)として履修します。稀に4科目をHLにするケースもありますが、国際バカロレア機構のガイドラインでも3科目で十分とされており、過剰な負荷を避けるためにも基本の3科目にとどめるのが無難です。

    HLを選ぶ基準は、将来行きたい大学の学部が求めている教科であること、そして自分が得意なものであることです。進路ごとの典型的なパターンとして、エンジニアリング系であれば数学(マス)や物理(フィジクス)のHL、医学系であれば生物(バイオロジー)や化学(ケミストリー)のHLが要求されることが多いです。ビジネスや経済系であればエコノミクスや数学のHL、国際教養系であればイングリッシュやサイコロジー、ヒストリーのHLがよく選ばれています。

    まだ志望大学が明確に決まっていない場合は、学校で提供されている科目の中で、過去の卒業生の傾向などから比較的スコアが安定しているものや、自分の得意分野に近いものをHLに選び、SLはなるべく負荷を下げられる科目で固めておくという戦略をおすすめします。

    疑問3:全員にとってスコアが取りやすい科目はある?

    結論として、すべての生徒にとって一律に点が取りやすいという魔法のような科目は存在しません。しかし、国際バカロレア機構が毎年発行している統計データ(Statistical Bulletin)を見ると、世界的に平均点や最高評価の割合が統計的に高い科目は確かに存在します。

    ただし、データ上の数字が良くても、それが自分自身の通う学校の環境や担当の先生に当てはまるかは別問題です。データはあくまで1つの目安として捉え、実際の学校の先輩や卒業生から積極的に情報を集めることが大切です。課題の量や先生の採点の厳しさなど、リアルな環境に基づいたリサーチを行うことで、科目選択の失敗を防ぐことができます。

    疑問4:マスのAA(分析とアプローチ)とAI(応用と解釈)はどちらが良い?

    古久保
    先生

    マスの選択は大学の出願要件に直結する最も重要なポイントの1つです。簡単そうだからという理由だけで選ぶのではなく、自分の思考スタイルや志望する国・大学の条件に合わせて選ぶ必要があります。

    IBの数学は、代数的な推論や証明、微積分を中心に学ぶAA(Analysis and Approaches)と、統計やテクノロジーの活用を重視するAI(Applications and Interpretation)の2つに分かれています。日本的な数学のカリキュラムに近いのはAAのほうです。

    世界各国の大学のアドミッションガイドラインを比較すると、この2つの扱いには明確な違いが見られます。イギリスの大学では、エンジニアリングや数学系、競争率の高い経済学部などにおいて、マスAAのHLを必須または強く推奨しているケースがほとんどです。そのため、イギリスへの進学を視野に入れる場合は、AIを選ぶと選択肢が狭まってしまうリスクがあります。

    一方で、アメリカやカナダの大学では英国ほどAA HLを一律要求しない大学も多いですが、大学・学部によってはAA/AIやHL/SLを明確に区別します。ただし、理系(STEM)分野への進学を目指すのであれば、どの国であってもAAを選んでおくほうが無難と言えます。国際バカロレア機構の統計データによると、AIは試験のバウンダリー(合格基準)がAAよりもやや低めに推移する可能性が示唆されており、世界的に見ても高得点を取ることが必ずしも容易ではない点にも注意が必要です。

    疑問5:日本語Aと日本語Bはどちらを履修するべき?

    日本語の選択は、将来の進路が日本国内の大学を含むか、あるいは海外の大学のみに絞るかによって大きく異なります。

    日本の大学の帰国生枠受験を視野に入れている場合は、多くの大学が入試要項において「日本語A(第一言語としての日本語)」の履修を出願条件として課しています。この場合は選択の余地なく日本語Aを履修することになります。ただし、日本語BやJLPTなど他の日本語資格を認める大学もあるため、志望校ごとの要項確認が不可欠になります。海外の大学のみを目指す場合は、自身の日本語力や全体のバランスに合わせて、日本語Aにするか日本語B(外国語としての日本語)にするかを選ぶことができます。例えば、英語が非常に優位な生徒であれば、イングリッシュAをグループ1で選択し、ジャパニーズBをグループ2で選択するという組み合わせで、全体のスコアを高める戦略も有効です。

    日本語を母語として使ってきた生徒であっても、日本語Aの授業は非常に高度です。日本の高校の教科書に登場するような文学作品や論文を扱い、それに対する深い分析や小論文の執筆を求められるため、大学レベルのエッセイ力が求められます。日本語だから簡単に高いスコアが取れるだろうと安易に選んでしまうと、入った後に苦労することが多いため、現状の言語力を見極めて慎重に判断することが大切です。

    【関連記事】IB科目選択についてはこちらもご覧ください。

    失敗しないIB科目選択のための3つのステップ

    ここからは、実際に後悔のない科目選択を進めるために、明日から実践できる具体的なアクションプランを提案します。このステップに沿って準備を進めることで、2年間の学習計画の解像度が大きく上がります。

    ステップ1:志望大学・学部の要件を早期にリサーチする

    最初のステップは、まだぼんやりとでも構いませんので、将来進みたい大学の候補や学部について考え始め、その出願要件を調べることです。国際バカロレア機構の公式ガイドラインや、各大学のアドミッションページを確認し、必須科目や推奨科目として指定されているIB科目をリストアップしましょう。

    例えば、Grade10の夏休みなどのまとまった時間を活用して、志望校候補を3〜5つほどピックアップしてみることをおすすめします。早い段階で必要となるHL科目が分かっていれば、逆算して科目選択を迷いなく進めることができます。

    ステップ2:学校内外の経験者から情報を集める

    2つ目のステップは、インターネット上の情報だけでなく、身近な経験者から実際の状況を聞き出すことです。学校の先輩や友達、インターナショナルスクール内の日本人コミュニティなどを通じて、実際の科目の難易度や課題の量、先生の指導スタイルについてリサーチをしましょう。

    この科目の宿題は毎週どれくらい出るのか、どの分野が特に大変だったかといった具体的な経験談は、科目選択の貴重な判断材料になります。自分と同じような言語バックグラウンドを持つ先輩の選択パターンを参考にするのも非常に有効な方法です。

    ステップ3:科目変更の期限と条件を事前に確認しておく

    3つ目のステップは、学校のIBコーディネーターの先生に、科目変更に関するルールを事前に確認しておくことです。IBディプロマは一度決めたら2年間変えられないのが原則ですが、プログラムが始まってすぐの初期段階であれば、条件付きで科目の変更を認めている学校もあります。

    万が一、授業が始まってからどうしてもレベルが合わない、想像していた内容と違ったとなった場合のために、いつまでに申し出れば変更が可能なのか、その締め切り日や満たすべき条件を把握しておくことが、リスク管理として非常に大切です。

    ネクストステップ:好き・得意マトリックスの作成

    上記の3つのステップに加えて、保護者の方とお子様で一緒に好き・得意マトリックスを作ってみることもおすすめします。6つの教科グループごとに、自分自身の好き度と得意度をグラフや表に洗い出すことで、どの科目をHLにし、どの科目をSLにして負荷をコントロールすべきかが視覚的にクリアになります。客観的な自己分析を行うことで、無理のない最適な組み合わせが見つかりやすくなります。

    【関連記事】IB科目選択についてはこちらもご覧ください。

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    3. TOEFLライティング添削講座

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    科目選択の変更が難しいからこそ、現在の時期が最もじっくりと検討できるタイミングとなります。TCK Workshopでは、お子様の状況に合わせたオーダーメイドの計画をご提案しますので、少しでも気になる点があれば、まずは無料学習相談からお気軽にお問い合わせください。

    まとめ

    ・IBの科目選択は、好き嫌いだけでなく大学の必須要件、点の取りやすさ、2年間の負荷の3つを同時に考える必要があります。

    ・大学の進学先によって、要求されるHL科目の組み合わせや評価基準が異なります。

    ・マスのAAとAI、日本語のAとBは、将来の進路に合わせて慎重に選ぶことが大切です。

    ・後悔しないためには、早期の大学リサーチ、学校の先輩からの情報収集、科目変更期限の確認という3つのステップが有効です。