TESOLとは、英語を母語としない人に英語を教えるための専門分野です。海外で英語を学ぶ子どもや帰国生にとって、英語を「知っている」ことと「使える」ことには違いがあります。では、英語を教える側は、どのようなことを学んでいるのでしょうか。
この記事では、TESOLを実際に学んだ講師の経験をもとに、TESOLとは何か、どのようなことを学ぶのか、そしてTESOLで学んだ考え方が英語学習にどう生かされるのかをわかりやすく解説します。
TCK Workshopの無料学習相談では、海外在住・帰国生のお子さまの英語学習について、現在の学習状況や目標に合わせてご相談いただけます。英語を勉強しているのになかなか伸びない、どのような学び方が合っているかわからないという場合も、ぜひお気軽にご相談ください。
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TESOLと聞くと難しい資格のように感じるかもしれませんが、まずは「英語を母語としない人に、どうすれば英語を学んでもらえるかを考える分野」と捉えるとわかりやすいでしょう。

TCK Workshop プレミアム講師。横浜国立大学教育人間科学部卒業、University of Otago(NZ)への交換留学を経て、東京大学大学院総合文化研究科に2年在籍。 小学校および中高英語の教員免許を持つ「教育のプロフェッショナル」。教育学に基づいた科学的なアプローチで、AP Japaneseや日英小論文、難関校受験対策まで、アカデミックな指導を専門とする。
TESOLとは?英語を教えるための専門分野
TESOLは「英語を教えること」を専門的に学ぶ分野
TESOLは、Teaching English to Speakers of Other Languagesの略称です。TESOL International Associationでは、TESOLを英語を母語としない人に英語を教える分野の総称として説明しており、TESLやTEFLなども含む広い領域として扱われています。
ここで注意したいのが、「TESOL」という言葉が必ずしも一つの統一された資格を意味するわけではないという点です。大学院や大学などでTESOLを専門的に学ぶケースもあれば、教育機関などが提供するTESOL関連のコースを受講するケースもあります。TESOL International Associationも、TESOL Certificate Programは提供機関によって異なることを説明しています。
つまり、TESOLという言葉を見たときには、「どこで、どのような内容を学んだのか」まで確認すると、その学習内容をより正確に理解できます。
TESOLでは英語力だけでなく「教え方」を学ぶ
英語が話せることと、英語を教えられることは同じではありません。
例えば、英語が得意な人であれば「この表現を使えばいい」と答えることはできるでしょう。しかし、英語を学んでいる子どもがなぜその表現を理解できないのか、どのような順番で説明すれば理解しやすいのか、どの程度の難しさなら挑戦できるのかまで考えるには、言語教育についての知識が必要になります。
TESOLの学習では、第二言語の習得や学習者の特徴、指導法など、英語を教えるためのさまざまな知識を扱います。TESOL International Associationも、英語を教える専門家には、言語習得や研究に基づいた指導法についての知識が必要だとしています。

TESOLで学ぶのは、単純な「英語の知識」だけではありません。「この生徒には、どう教えたら伝わるだろう」と考えるための視点を身につけることも大きなポイントです。

TESOLでは何を学ぶ?実際の学習内容
ディスカッションを通して英語教育を考える
ウェビナーで紹介されたTESOLの学習では、授業前に教材を読み、授業ではディスカッションを中心に学ぶスタイルが印象的だったそうです。
特に大学院レベルのTESOLでは、英語を教える方法を暗記するだけではありません。「なぜこの指導法が有効なのか」「どのような学習者に適しているのか」といったことを考えます。
例えば、子どもと大人では学習方法が異なる可能性があります。また、文学作品を使うのか、テクノロジーを使うのかによっても授業の設計は変わります。
実際にTESOL関連の教育では、言語学習、心理学、教材、テクノロジーなど、さまざまな観点から英語教育を考えることがあります。
「英語を使って何かをする」という考え方
TESOLで学ぶ考え方の中でも特に印象的だったのが、「英語そのものを目的にしすぎない」という考え方です。
例えば、子どもに「英単語を100個覚えましょう」とだけ伝えても、なぜ覚える必要があるのかわからなければ、学習へのモチベーションを維持することは簡単ではありません。
一方で、
「英語で好きなゲームについて説明する」
「海外の友達に自分の学校を紹介する」
「英語でプレゼンテーションをする」
など、何か目的があり、そのために英語を使うのであれば、英語は「勉強するもの」から「目的を達成するための道具」に変わります。
第二言語習得研究でも、言語へのインプットだけでなく、他者との相互作用やアウトプットが学習に関係すると整理されています。
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TESOLから学ぶ「効果的な英語の教え方」
文法や単語だけを積み上げれば良いわけではない
英語学習では、単語や文法を一つずつ覚えていく方法があります。これは英語を学ぶうえで欠かせない基礎です。
一方で、それだけが英語学習のすべてではありません。
TESOLで扱われる言語教育では、語彙や文法などの知識を身につける方法と、実際に大量の英語を読んだり聞いたりしながら意味を捉える方法など、複数の考え方があります。
つまり、「文法を勉強するか、英語をたくさん使うか」の二択ではなく、学習者の年齢や目的、現在の英語力に合わせて組み合わせることが大切になります。

子どもには「目的のある英語」を
特に海外在住の子どもや帰国生の場合、英語を使う目的を授業の中に取り入れることが有効です。
例えば小学生なら、単語帳だけを使って学習するのではなく、好きなスポーツやゲーム、海外生活など、本人が興味を持っているテーマを英語学習につなげる方法があります。
英語教育研究でも、実際のコミュニケーションや意味のある課題を通して第二言語を使う「タスク・ベース」の学習は研究されており、2026年にCambridge University Pressで公開された研究レビューでも、若年学習者へのタスクを用いた言語教育が扱われています。
「英語を勉強させる」のではなく、「英語を使って何かをする」という発想を取り入れることで、学習の意味が変わってきます。
現在の英語力より少し上の課題に挑戦する
もう一つ、ウェビナーで紹介された重要な考え方が「スキャフォルディング」です。
スキャフォルディングは、日本語では「足場かけ」と表現されることがあります。簡単に言えば、学習者が一人では難しいことでも、適切なサポートを受けながら少しずつできるようにしていく考え方です。
例えば、いきなり難しい英語のプレゼンテーションをさせるのではなく、
- まず簡単な単語で自分の意見を言う
- 次に理由を1つ加える
- 例を加えて説明する
- 最後に英語でまとまった発表をする
というように段階を作ります。
重要なのは、簡単すぎる課題でも、難しすぎる課題でもなく、「少し頑張れば届く」課題を用意することです。
第二言語教育では、インプット、相互作用、アウトプット、フィードバックなどを組み合わせながら学習を進める考え方が研究されており、こうした段階的な支援は英語を学ぶ環境を考えるうえでも重要な視点になります。

英語が伸びないとき、「もっと難しい教材を使おう」と考えてしまうことがあります。しかし、必ずしも難しいものを与えれば伸びるわけではありません。今できることを確認して、その少し先にある課題へ進むことも大切です。
AI時代の英語学習とTESOLの考え方
AIで英語を学べる時代になった
現在は、AIを使って英会話の練習をしたり、自分の英文を確認したり、英語で質問をしたりすることができます。
例えば、AIに英会話の相手になってもらい、英語で質問してもらうという使い方も考えられます。以前よりも、一人で英語をアウトプットする環境は作りやすくなっています。
一方で、AIを使えばすべての英語学習が完結するとは限りません。
特に、自分の考えを整理したり、複数の意見を比較したり、何を伝えるべきかを判断したりする学習では、人間の先生による問いかけやフィードバックが役立つ場面があります。
TESOL International Associationも、英語教育では継続的な専門能力の向上が重要であるとしています。

AIは「先生の代わり」ではなく学習を広げる道具に
AIを英語学習に取り入れるときは、「AIに全部教えてもらう」と考えるよりも、「英語を使う機会を増やすための道具」と考えると活用しやすくなります。
例えば、
・授業で習った表現をAIとの会話で使ってみる
・英作文を書いた後に別の表現を考えてもらう
・英語で質問する練習をする
・自分の興味のあるテーマについて英語で調べる
といった使い方ができます。
英語教育では、コミュニケーション能力を重視する考え方が長く研究されてきました。Cambridge University Pressの言語教育研究でも、コミュニケーションやタスクを中心としたさまざまな指導法が扱われています。
AIが進化した今だからこそ、「何を学ぶか」だけではなく「何のために英語を使うのか」を考えることが、より重要になっていると言えるでしょう。
TCK Workshopが大切にする英語学習
海外在住の子どもや帰国生の英語学習では、一人ひとりの環境によって必要な学習が変わります。
現地校で英語を使っていても、英語資格試験では思うように点数が取れないことがあります。反対に、文法や単語はよく知っていても、自分の考えを英語で説明することが苦手な場合もあります。
そのため、英語力を一つの数字だけで判断するのではなく、
・現在どの程度英語を使えているのか
・どのような場面で英語を使うのか
・英検、TOEFL、SATなど何を目標にしているのか
・帰国後にどのような進路を考えているのか
といった点を整理することが大切です。
TCK Workshopでは、海外在住の子どもや帰国生を対象に、英語資格試験や帰国生受験など、それぞれの目標に合わせた学習をサポートしています。
無料学習相談では、「英語は話せるけれど試験になると点数が取れない」「帰国後の受験に向けて何から始めればいいかわからない」といったご相談も含め、お子さまの状況に合わせて学習方法を考えることができます。
まとめ
TESOLについて知ると、「英語の教え方」は単に文法や単語を教えることではないとわかります。
・TESOLは、英語を母語としない人への英語教育を扱う専門分野
・TESOLという名称が一つの統一資格を意味するわけではなく、学ぶ機関やプログラムによって内容は異なる
・英語を教える際には、学習者の年齢や目的、英語力に合わせて指導方法を考えることが大切
・英語そのものを目的にするのではなく、「英語を使って何をするのか」を考えることも学習につながる
・現在の力より少し上の課題に、適切なサポートをつけながら取り組むことが重要
・AIは英語を使う機会を増やす道具として活用できる
・AI時代だからこそ、学習者の目的や考えを理解しながら指導する人間の役割も重要
TESOLで学ばれている英語教育の考え方は、英語を教える先生だけのものではありません。海外で英語を学ぶお子さまや帰国生にとっても、「なぜ英語を学ぶのか」「英語を何に使いたいのか」を考えるきっかけになります。
英語学習の方法に迷っている場合は、まず現在の英語力と目標を整理するところから始めてみましょう。TCK Workshopの無料学習相談でも、お子さまの海外生活や帰国後の進路、英語資格試験などを踏まえて、学習についてご相談いただけます。
